12輪目「陽鞠とカマキリ」
やっほー!私、花道 陽鞠!この前ブラック企業を退職した24歳の乙女!
前回は、乃空たちがカラカラヒマワリ、ひまたちはそれぞれの敵と対峙してシオカラの救出したの!
でも、祈壱が…。
花道 陽鞠「祈壱…!」
ウスバ「でっかいよ…!?」
ヤンマ「どんどん大きくなってくる…!?」
秋元 千咲「ここは一旦離れましょう!」
美鳥 時雨「皆の者!一旦安全なところへ!!」
花道 陽鞠「離れてー!!!」
ムクムク…。
どこまで大きくなるの…、
祈壱…!
マリーエ「あんなに大きくなる奴…、見るの初めてだよ!」
紫安 華夏「あいつ…」
コノシメ「恨みがそこまででけぇ…ってことか…」
白雪 明乃「お姉さんに裏切られたこともショックだったでしょう…」
紫安 華夏「でも、それって…、…力比べしてたのに…?」
秋元 千咲「それでもかけがえのない姉弟なのよ…」
白雪 明乃「どんなに縁を切ろうとしたって、家族と縁は切れないし、家族であることに変わりはない」
空園 乃空「…そうよね…、どんな形であれ、大切な家族に裏切られたんですもの…!」
花道 陽鞠「祈壱…、…辛かったよね…、…何年もかけて私を探してくれたんだもんね…」
美鳥 時雨「うむ。…我らがやることはただ1つ!」
花道 陽鞠「祈壱を元の優しい人に戻す!!!」
あっ!限界まで大きくなったみたいね!!
ティーダ「うぐぁぁあ…」
花道 陽鞠「とうとう巨大カマキリに…!」
美鳥 時雨「このまま街に進ませてはいけない!」
フィーデス「みんなで食い止めよう!」
秋元 千咲「あのでっかい鎌に当たったらひとたまりもないわね…!」
美鳥 時雨「うむ…」
秋元 千咲「むやみに近づくのは危険だわ!鎌の動きを封じることができれば…!」
ビュンビュン!!!
空園 乃空「見て!あの鎌で竜巻を起こしている?!」
美鳥 時雨「なっ!?危ない!!グリーンサンフラワーサムピング!!」
ヒュン!
美鳥 時雨「うむ…、先ほどの竜巻は拙者が止めたが…」
秋元 千咲「まだ本気じゃなさそう…」
花道 陽鞠「それに、このまま進ませたら街が破壊されてしまうわ!」
白雪 明乃「そうね…」
サピエン「おまけに動きも速いですし…」
ウスバ「とにかく、俺たちがみんなを運ぶからさ、集中的に攻撃する組と街への侵入を防ぐ組を結成してなんとかしよう…!」
スペース「相手の戦力は実戦しないとわからなさそう…」
花道 陽鞠「とにかく戦うしかない…!そうしないと…」
美鳥 時雨「祈壱を止められない」
フォルティ「とりあえず、陽鞠は説得する方に回さない?あいつは陽鞠のことが好きなんでしょう?」
秋元 千咲「それなら陽鞠ちゃんの援護組も必要ね…」
シオカラ「私も戦います」
コノシメ「シ、シオカラ!?」
ウスバ「無理しちゃ駄目だよ〜!」
ヤンマ「そうさ、兄さんはまだ回復しきれていない!」
シオカラ「それでも私は皆さんと一緒に戦いたいです。ティーダという奴と決着つけたいです…!」
紫安 華夏「…」
空園 乃空「…、シオカラ、あなたは戦力外ね」
乃空…、キツい…。
シオカラ「でしょうね…」
空園 乃空「トンボになれるならせめて街を防衛する側に回りなさい。あなたに適任だと思うけど…」
シオカラ「確かに戦力外です。…、でも、まだトンボにはなれます。贖罪として、皆さんに協力させてください」
コノシメ「…、そうだな。その方がシオカラにとっては負担が小さいだろう」
空園 乃空「それなら私がシオカラに乗るわ。いいわね?」
シオカラ「よろしくお願いいたします」
ヤンマ「俺は陽鞠を援護するぜ」
美鳥 時雨「では、防御力が最も高い拙者が参ろう」
花道 陽鞠「時雨…!」
紫安 華夏「アタシは攻撃組よ!勇気のひまわりメイデン、立ち向かうべし!」
マリーエ「だったら私に乗ってねん!」
紫安 華夏「うん、よろしく!」
秋元 千咲「なら、私は街を」
ウスバ「千咲ちゃん、俺がついてるよ〜!」
秋元 千咲「心強いわ、ウスバ君」
白雪 明乃「じゃあ、私は祈壱君に立ち向かうわ!」
コノシメ「俺も最初からそのつもりだ!」
サピエン「よーし、決まりましたね!」
役割分担できたことで…!?
美鳥 時雨「皆の者!位置につけー!!!」
ひまわりメイデンたち「おー!!!」
乃空、シオカラ、千咲さん、ウスバは街の方に行ったわ!
そして、華夏、マリーエ、明乃、コノシメは真っ先に変わり果てた祈壱の方へ…!!
コノシメ「しっかり乗ってろよ、明乃!」
白雪 明乃「あいよー!!」
マリーエ「無理は禁物よ、華夏っち!」
紫安 華夏「もちろん!マリーエもね!」
美鳥 時雨「うむ。拙者が陽鞠をガードする!祈壱を説得できるのは恐らく陽鞠しかいない。祈壱の心にひたすら気持ちをぶつけてくれ!」
ヤンマ「頼んだぞ、陽鞠!」
花道 陽鞠「もちろんよ!」
美鳥 時雨「では!いざ出陣!!!」
ピューン!!
ティーダ「…!!」
紫安 華夏「おっと危ない!!」
マリーエ「あの鎌おっかないよ!」
紫安 華夏「下手に近づけないわね…」
白雪 明乃「隙を狙って…」
ヒュン!!!
白雪 明乃「えっ!?」
コノシメ「いきなり鎌を振ってきた!?」
白雪 明乃「なんて勘が鋭いの…?!」
秋元 千咲「早速苦戦してるわね…、あの2人…」
ウスバ「ティーダ…」
秋元 千咲「なんとかあの鎌を封じれらないの…?」
ウスバ「1番の秘策は…」
秋元 千咲「陽鞠ちゃんね…!」
ウスバ「みんなを信じて街を守ろう!」
秋元 千咲「そうね!街には1歩たりとも入らせないわ!」
シオカラ「…、どうして…」
空園 乃空「何?」
シオカラ「どうして私を仲間に引き入れたのです…?私は許されないことを…」
空園 乃空「…そうよ、あなたは見た感じナルシストだし、兄弟たちを心配させるし、その挙句ティーダに改造される…、あなたは残念よ」
シオカラ「…、そう言われて弁解の余地はありません」
空園 乃空「罪を償うために、私たちと来なさい。そして、仲間として共に戦いましょう」
シオカラ「…!」
空園 乃空「 悔しいんでしょう?祈壱の…、ツォルセットの操り人形にされて!」
シオカラ「…」
空園 乃空「でも、忘れないで。もっと悔しいのは…」
シオカラ「はい。存じております。乃空さん、私も共に…!」
空園 乃空「街を守りましょう!」
ティーダ「…!!」
コノシメ「うぉ!?」
白雪 明乃「あ、危ない!?」
テムパラ「凶悪な鎌だ…!!!」
白雪 明乃「当たったら一溜まりもないわ!コノシメ君、充分に注意して!」
コノシメ「おうよ!」
紫安 華夏「こら!!やめなさい!!」
ティーダ「…!」
ヒュン!!
マリーエ「きゃん!!」
紫安 華夏「なんて威力…!!」
フォルティ「竜巻が街に来たら…!」
紫安 華夏「えぇ、間違いなく吹き飛ぶでしょうね…」
マリーエ「ニュースにならないようにうちらでなんとか食い止めよう!」
紫安 華夏「えぇ、マリーエ、協力してね」
マリーエ「もちろん!」
秋元 千咲「私たちはここで竜巻を弾き返しましょう!」
ウスバ「うん!俺もやるよ!」
サピエン「竜巻がまた来るかもしれませんね…」
秋元 千咲「えぇ…!いつ来てもいいようにここから1つも入れないわ!」
空園 乃空「また来る!」
シオカラ「食い止める!!」
シュッ!!!
シオカラ「私の羽で弾き返してくれる!!」
空園 乃空「やるじゃない、シオカラ」
シオカラ「これは贖罪です。これまで街の人たちと乃空さんたちを巻き込んだ贖罪です。…、今は街を守ることしか私にできることはありません」
空園 乃空「そう…、でもせいぜい無理はしないことね」
スペース「私たちはもう仲間じゃない」
シオカラ「…!」
空園 乃空「そう、私たちはもう仲間でいいと思う」
シオカラ「はい…!!」
花道 陽鞠「祈壱!!祈壱!!!こんな危ないことはもうやめなさい!!」
ティーダ「…」
花道 陽鞠「ちょっと!祈壱!!やめ…!」
ヒュンヒュン!!!
美鳥 時雨「危ない!!」
花道 陽鞠「わっ!?」
なんて強い竜巻!!
アモル「ギリギリセーフだったわね…」
花道 陽鞠「こら!やめなさいったら!!自分が何しているか、わからないの!?」
美鳥 時雨「ヤンマ、大丈夫か?!」
ヤンマ「あぁ…、あんな竜巻なんかへっちゃらだ!陽鞠!ひたすら呼びかけるんだ!俺たちは大丈夫だ!」
花道 陽鞠「ヤンマ…」
美鳥 時雨「陽鞠、祈壱との思い出を叫ぶんだ!その方が本人の心に響くはずだ!」
フィーデス「これは陽鞠にしかできないこと。頼んだぞ、陽鞠」
花道 陽鞠「うん…、わかった…!時雨、ヤンマ…、そしてみんな!無茶だけはしないでよね!」
美鳥 時雨「承知!」
白雪 明乃「インディゴサンフラワーピックスクラッチ!!」
紫安 華夏「パープルサンフラワービート!!」
ヒュンヒュン!!!
紫安 華夏「駄目…、竜巻に飲み込まれちゃう…!」
白雪 明乃「やっぱりあの鎌の動きを止めないといけないのよ…」
紫安 華夏「でもあいつの鎌を縛れそうな技なんて…」
コノシメ「仮にあいつの鎌を縛れたとしてもまたすぐに動けるようになっちまうだろうな…」
マリーエ「凶悪だもん…」
紫安 華夏「やっぱり鍵は陽鞠ね…!!」
白雪 明乃「陽鞠ちゃん…!」
秋元 千咲「うぅ…!吹き飛ばされそうだわ…!」
ウスバ「わわわ…!俺たちが止められなかったら…!」
秋元 千咲「ニュースだけでは済まされない…!災害であちこち吹き飛んでしまうわ…!」
ウスバ「あの鎌どうしても止められそうにないのかな…」
秋元 千咲「あんな感じだと鎌を拘束できたとしてもまたすぐに…」
ウスバ「陽鞠ちゃん…!」
空園 乃空「竜巻がどんどん来る…!」
シオカラ「うぅ…!」
空園 乃空「…!シ、シオカラ…!?」
シオカラ「申し訳ない…、左肩に竜巻が…、ぐっ…!」
空園 乃空「シオカラ!!まずい…、このままでは…!」
紫安 華夏「うわっ!!」
マリーエ「ぐぁっ!!」
コノシメ「まずい!2人とも!!」
フォルティ「なんて強さ…!!」
白雪 明乃「何やっても効かないの!?」
コノシメ「ティーダの野郎…!!」
ティーダ「…」
ヒュンヒュン!!!
コノシメ「くっ…!!」
カキン!!
コノシメ「…?!」
美鳥 時雨「諦めるな!」
コノシメ「時雨!?」
花道 陽鞠「祈壱に私の気持ちが届くまで諦めない!!祈壱!!ねぇ、祈壱!!!」
美鳥 時雨「祈壱!!!陽鞠の声が聞こえぬか!!!」
ティーダ「…?」
美鳥 時雨「陽鞠がこうしてお主のことを何度も何度も叫んでいる!それなのになぜ陽鞠の声に耳を傾けない!?この痴れ者が!!!」
ティーダ「…!」
花道 陽鞠「祈壱!!!」
ティーダ「!!!」
陽鞠ちゃん…?
陽鞠ちゃん、怒ってるの…?
何か言ってる…?
花道 陽鞠「いい加減にしなさい!!!自分の恨みを晴らすために多くの人たちを巻き込もうとするなんて…!ひま、あんたなんか大っ嫌い!!!」
…!
嫌い…?
僕が悪いことをしてるから…?
花道 陽鞠「ねぇ!祈壱!!!」
陽鞠…ちゃん…?
花道 陽鞠「祈壱!!!」
ティーダ「!!!」
僕の名前を呼んでくれている…?
花道 陽鞠「祈壱はこんなことする人じゃないってわかってるわよ!!人を死なせたら許さないわよ!…この野郎…!!」
こんなこと…?
花道 陽鞠「あんた、医者なんでしょ!?なんで人の命を弄ぶような真似ができるの!!!」
命…?
花道 陽鞠「あんたさ、高校時代、いつもひまの相談相手になってくれたよね…!!?ひまをいじめっ子たちから守ってくれたよね!?完全に忘れてないわよ、こっちは!!」
…!
そっか…、陽鞠ちゃん…。
ティーダ「グァアアア!!!」
美鳥 時雨「ぐっ…!!」
花道 陽鞠「時雨!」
ヤンマ「まずい!バランスが…!!」
花道 陽鞠「ねぇ!私の友達を苦しめてさ!なんとも思わないの!?そんなことして楽しいの!!なんとか言ってよ!この馬鹿!!!」
ティーダ「…グ…、ウ…」
花道 陽鞠「祈壱!!!」
ティーダ「ア、ア…!!」
陽鞠ちゃん、すごく怒ってる…?
…、
そっか。
僕、クラスでは孤立していたんだっけ?
高校のクラスメイトの男子A「あー、こいつ難しくて変な本読んでる!」
高校のクラスメイトの女子「あはは!変なのー!」
高校のクラスメイトの男子B「化け物じゃん」
そんな僕をみんなが気味悪がって近寄って来なかったし友達になってくれなかった。
でも…、
花道 陽鞠「ふーん、最近の高校生は医学の本も読むのね」
花道 陽鞠ちゃん。
見覚えがある…!
運よく僕のクラスメイトになった子だ。
丁田 祈壱「あ、そ、その…」
花道 陽鞠「さすが海外で歯科医師免許取ったことだけはあるわね。噂のクラスメイトってあんたのことだったのね」
丁田 祈壱「え…?」
花道 陽鞠「ふーん、あんた、医者目指してるの?」
丁田 祈壱「な、なんでわかるの…?」
花道 陽鞠「いやー、なんかそんな気がしただけ。だいたい、それ以外の理由なんて思いつかないわよ」
丁田 祈壱「あ、あはは…」
花道 陽鞠「まぁいいわ。私は花道 陽鞠。あんたは確か…」
丁田 祈壱「丁田 祈壱…です。よ、よろしく…」
花道 陽鞠「えぇ!よろしく!」
あれから陽鞠ちゃん、そして…。
空園 乃空「えっ!?陽鞠、誰その人!?」
美鳥 時雨「お主は…、天才歯科医の…」
丁田 祈壱「丁田 祈壱…です」
花道 陽鞠「運よく天才とクラスメイトになれたわ!祈壱ったらクラスではいじめられてるんだから…」
空園 乃空「あら!それは酷い!」
美鳥 時雨「うむ…、クラスが違うからな…」
花道 陽鞠「まっ、祈壱、ひまたちが守ってもいいのよ」
丁田 祈壱「え…?」
花道 陽鞠「このクラスでマシなのはひまとあんたくらい。マシな人同士お互いに乗り越えよ!」
丁田 祈壱「う、うん…!!」
空園 乃空「私は空園 乃空。困ったことがあったら相談してね」
美鳥 時雨「拙者は美鳥 時雨。困りごとがあれば是非とも頼っていただきたい」
丁田 祈壱「う、うん…!」
あれから陽鞠ちゃんとその友達の温かさで心も温かくなったんだよな…。
花道 陽鞠「ひっくひっく…」
丁田 祈壱「陽鞠…ちゃん…」
花道 陽鞠「なんで…?なんで…?」
陽鞠ちゃんが泣いてる…?
花道 陽鞠「勝手に…、変えられちゃった…。勝手に…!なんで…?ひまが何したって言うのよ…」
美鳥 時雨「陽鞠、よく耐えた…!それだけでもよく成し遂げた!!」
花道 陽鞠「時雨…!!」
あれは高校3年生の頃…?
…そうか、陽鞠ちゃんが朝礼拝の司会で内容をめちゃくちゃに変えられちゃった時のことか…。
丁田 祈壱「陽鞠ちゃんは何も悪くないよ!だから、泣かないで…!」
花道 陽鞠「一生懸命準備してきたのに…、台無し…」
丁田 祈壱「酷い…!!…、陽鞠ちゃん、何があったのか原因を一緒に突き止めよう!僕が…、僕が陽鞠ちゃんを助けるよ」
花道 陽鞠「祈壱…?」
空園 乃空「私たちも協力するよ!…私も生徒副会長として何か力になりたい!!」
花道 陽鞠「みんな…!」
美鳥 時雨「拙者も尽力させていただきたい」
空園 乃空「なぜかまた違うクラスになっちゃったんだけど…、まぁ、親友であることに変わりはないよ」
美鳥 時雨「そうでござるな」
花道 陽鞠「…う、うん」
丁田 祈壱「まずは担任の先生に確認しよう!」
空園 乃空「あの奏楽者、私のクラスメイトだわ…。ちょっと話を聞いてみる!…時雨、その人から嫌がらせ受けてるんだっけ?」
美鳥 時雨「うむ。拙者も以前、あの奏楽者にやられてしまったからな…。担任に申し出ても何も対応されない憤りは今もある。…大事なお便りも教卓に隠されてしまったこともある。…その悔しさを陽鞠、共にぶつけようぞ」
花道 陽鞠「うん!!」
僕たちは例の事件について情報を集めた。
僕たちは真相を突き止めたんだ。
何日も何日もかけて。
担任の先生を通して確認したところ、陽鞠ちゃんの努力を踏み躙ったのがあの奏楽者と説教の先生。なんと、2人はグルであることが発覚。陽鞠ちゃんに内緒で勝手に変えたようだ。
時雨さんも同じように担任に申し出たがいじめられていても何も対応はされなかったとのこと。
乃空さんによると、時雨さんのクラス担任はあの奏楽者にエコ贔屓していたようだ。
時雨さんは他にも彼女から嫌がらせを受けていたが見事に証拠を残してくれていたおかげで問題はスムーズに解決する方向へ向かった。
…後日、あの奏楽者は音大への推薦が決まっていたのだが、今回…、いや、今までの件で推薦は取り消しに。
そして、彼女の凶悪な本性を知った同級生たちから冷ややかな目で見られ、とうとう高校を退学した。
また、時雨さんのクラス担任も当時礼拝の説教担当だった先生も今回の件で懲戒処分が下され、高校から去っていった。
花道 陽鞠「ありがとう、みんな」
空園 乃空「私もそいつのこと以前から気に食わなかったし、気にしないで!」
美鳥 時雨「これは陽鞠のおかげでもあるんだ。礼を言う」
花道 陽鞠「えへへ、そんなぁ♪」
丁田 祈壱「ところで時雨さん、よく証拠残してたね」
花道 陽鞠「苦しくなかった…?目を背けたいって思わなかった…?」
美鳥 時雨「気遣いに感謝する。…だが、目を背けては道は切り拓けぬからな」
空園 乃空「時雨…!カッコいい!!」
花道 陽鞠「よっ!ひまたちのリーダー!!」
美鳥 時雨「おいおい…」
丁田 祈壱「これで残りの高校生活平穏に過ごせるね」
花道 陽鞠「うん!」
花道 陽鞠「あんなに優しかった祈壱はどこに行ったのよ!!!」
ティーダ「…!ひ、ひま…、り…、ちゃ…」
しかし、お別れの時はあっという間にやって来てしまった。
花道 陽鞠「あんただけ違う進学先ね…」
空園 乃空「海外で医師免許取るつもり?」
丁田 祈壱「う、うん…。もっと視野を広げたくてね」
美鳥 時雨「うむ…、旅立ちは来週だったな」
花道 陽鞠「元気でね、祈壱」
丁田 祈壱「うん…。みんなもね」
卒業礼拝の後のこと。
陽鞠ちゃんにとって1番のドクターになるべく僕は一刻も早く医師免許を取れる外国の医学部がある大学に進学したのだった。
大学を飛び級で卒業して、誰よりも早く心臓外科の名医になれたのだ。
その数年後、見覚えのある女性に会った。
その人こそが…。
花道 陽鞠「あんた、私のことずっと昔から好きでいてくれたのよね…?…、私のために医者を目指して…、免許取ったんだよね…」
ティーダ「…それでも君は他の男と付き合った?」
花道 陽鞠「…そうよ…。…、あんたが私で好きでいてくれた気持ちは本当に嬉しい。…、なのに、他の男と付き合うなんて私…。ごめんね、祈壱の気持ちを踏み躙ったわよね…」
ティーダ「…、陽鞠…、ちゃん…」
花道 陽鞠「誰かを好きになるって本当に複雑ね」
ティーダ「…本当だよ。恋なんか1歩間違えれば復讐になる恐ろしいものだ」
花道 陽鞠「…うん…。祈壱、こんな私のために医者になってくれてありがとう。…、私のこと、ずっと昔から覚えてくれて、…好きになってくれて…、そばにいてくれて本当にありがとう…。…今更だけど、こんな私でもこれからもそばにいてほしい」
祈壱の動きが止まった…?
秋元 千咲「攻撃してこない?」
紫安 華夏「陽鞠の言葉が効いてるんだわ…!」
マリーエ「押せ押せひまりん!」
ティーダ「…!…、駄目だ…!」
花道 陽鞠「なんでよ!!」
コノシメ「あの野郎!また鎌を…!」
白雪 明乃「待って、コノシメ君!祈壱君は攻撃しようとしても…」
私の目の前でピタッと止まる…!!
花道 陽鞠「…」
ティーダ「こうして僕が妖怪だってことがバレて…、醜い化け物になってしまった僕なんか君のそばにいる資格なんて…」
花道 陽鞠「そんなの関係ないわよ!」
ティーダ「関係あるよ!僕たち妖怪は本来人間と共存なんて無理だ!」
花道 陽鞠「無理って言わないでよ!高校時代、あんたと一緒に過ごせたんだもの!もう…、共存はしているの!」
ティーダ「共存…」
ヤンマ「俺たち、千咲さんの家で暮らしてるし」
マリーエ「そうそう!妖怪が人間と暮らしちゃダメっていうルール、誰が決めたのよ?」
シオカラ「…、それに…、妖怪の医者が人間を治してはいけないというルールもないはずです」
ウスバ「妖怪だって人間と同じだもんね。色々と」
コノシメ「裏切れて悲しいっていう気持ちは俺ら妖怪だけじゃない。人間も抱く感情だ。そういうもんだ」
ティーダ「…」
祈壱は攻撃する気が…。
秋元 千咲「組織に裏切られて深い傷を負っている。心にね。わかり合えるんじゃないかな」
ティーダ「…」
美鳥 時雨「拙者らに聞かせてほしい。…、ツォルセットのこと」
空園 乃空「私たちひまわりメイデンにはその目的を知る義務がある」
白雪 明乃「知ってる限りでいいから教えてほしいわ」
花道 陽鞠「祈壱!!」
ティーダ「…、いいよ。…、でも、まずは君達の演奏を聴かせて。その後…、僕を浄化してほしい。これ以上僕の心が暴走しないうちに…」
花道 陽鞠「あんたに私たちの演奏を届ければいいのね…!」
ティーダ「うん、多分だけど、…今の君たちの必殺技だと僕を浄化することはできないだろうから…!さぁ、早く聴かせておくれよ…!!!」
美鳥 時雨「うむ!全員演奏の準備せよ!」
ひまわりメイデンたち「オーライ!!」
美鳥 時雨「ベース!美鳥 時雨!」
紫安 華夏「ドラム!紫安 華夏!」
空園 乃空「キーボード!空園 乃空!」
秋元 千咲「バイオリン!秋元 千咲!」
白雪 明乃「リズムギター!白雪 明乃!」
花道 陽鞠「ボーカル!花道 陽鞠!」
ひまわりメイデンたち「ミュージック!スタート♪」
♪七色ひまわり
暗い空の下 ひとりぼっちで座り込んでいる
土砂降りで 心がさらに湿ったけど
しばらくして晴れたら なんだかポカポカ
私は負けない ずぶ濡れの雨に
苦しくて行き詰まりそうな時は
太陽の光を浴びて 気分リセット
やがて美しく 雨の水滴で宝石みたいに輝く
天高く花開け 七色ひまわり
…?
アモル「待って、みんなの心が共鳴して…」
マリーエ「え!?マジ?」
ウスバ「す、すごい…!」
コノシメ「ひまわりメイデンたちの心の輝きが…!」
キラリーン!!
スペース「あら!アイテムに変わったわよ!」
フィーデス「これはもしや…」
シオカラ「なんという眩い輝き!」
ヤンマ「6色のひまわりトーン!?」
白雪 明乃「やったわ!」
秋元 千咲「これで祈壱君を…」
美鳥 時雨「うむ。これが我らひまわりメイデンの演奏でござる!」
空園 乃空「音楽には言葉では表現できないことを伝えられるの!」
紫安 華夏「まぁ、うまく言えないかもしれないけど、…、音楽ってなんだか別の世界にいるような感じがするでしょう?」
秋元 千咲「華夏ちゃんの言う通りね。言葉では本当に表現しきれないことをいろんな人に届けられるの、素敵なことじゃない?」
白雪 明乃「こうして、私も音楽を通じて乃空お嬢様たちと出会うことができたのよ!祈壱君!君ももしかしたら音楽で陽鞠ちゃんたちと心を通わせたんじゃない?」
花道 陽鞠「祈壱…!そういや私たちよく教室で歌ってたわよね」
ティーダ「…!」
花道 陽鞠「あんたを元に戻すわ…!それから私たちと一緒にいてね!…ずっと…、ずっと…!!」
ティーダ「陽鞠…ちゃ…ん、みんな…」
紫安 華夏「さぁ!ちゃちゃっと終わらせちゃいましょ♪」
花道 陽鞠「よーし!6色の輝きよ!私たちに輝きを!!愛のひまわりパワー!」
空園 乃空「希望のひまわりパワー!」
美鳥 時雨「信仰のひまわりパワー!」
紫安 華夏「勇気のひまわりパワー!」
秋元 千咲「知恵のひまわりパワー!」
白雪 明乃「節制のひまわりパワー!」
ひまわりメイデン「ひまわりよ、カラフルに彩れ!レインボーサンフラワーフィニッシュ!!!」
ヒューン!!
ヤンマ「6色のひまわりが巨大なひまわりになった!」
ウスバ「いけるいける!」
マリーエ「綺麗!」
ひまわりメイデン「はぁーっ!!!」
シオカラ&コノシメ「いっけー!!」
ティーダ「…、心が…、潤った…!」
ドーン!!
パアァァァァ…。
サピエン「壊されたところが無事に戻りますね」
テムパラ「よかった…」
そして…、
花道 陽鞠「祈壱!」
空園 乃空「無事だよね!?」
丁田 祈壱「…、陽鞠ちゃん、みんな…?」
花道 陽鞠「ウワァァン!!!心配したんだから!!」
丁田 祈壱「…ごめんね、泣かせちゃったね…。よしよし…、いい子いい子…」
紫安 華夏「もう、祈壱。可愛い女の子を泣かせるなんて…、その罪は重いわよ」
丁田 祈壱「えっ?!ごめんよ、陽鞠ちゃん…」
ギュッ…。
花道 陽鞠「…」
丁田 祈壱「ごめん、こんな思いをさせて…。ごめんよ…、陽鞠ちゃん…」
花道 陽鞠「無事で…、会えて…、よかったわ…!!」
美鳥 時雨「そういや医院は元に戻らぬな…?」
丁田 祈壱「あ、あれは…、僕が作った幻だよ」
白雪 明乃「そうだったの…。でも無事で何より!」
紫安 華夏「そうね!」
美鳥 時雨「とりあえず変身を解除しようではないか」
花道 陽鞠「そうね!」
*変身解除*
空園 乃空「ここで話をするのもなんだし…」
秋元 千咲「私の家でお話でもしましょう。今日はもう遅いし、みんな、私の家で泊まった方がいいわ」
花道 陽鞠「賛成!」
白雪 明乃「明日はちょうど土曜日になりますし♪一応メイド長に申し出ておかないと…!」
紫安 華夏「アタシは社宅だし、別にいっか…」
美鳥 時雨「左様でございますか」
紫安 華夏「ええ」
みんなはそれぞれの家族、明乃はメイド長さんに千咲さんの家に泊まりたいって連絡したけど…、
全員オッケーが出たわ♪
秋元 千咲「みんな許可が出たようで何よりだわ!ベッドとか必要なものは私たちの方で用意してあるし…、この前のお買い物で必要なものも買ってあるわね」
丁田 祈壱「僕の分は…」
花道 陽鞠「ひまがお買い物に付き合いまーす!」
白雪 明乃「はいよん!…そんじゃあ、私たちは先にサンフラワーハウスに向かいましょ!」
みんなは先にサンフラワーハウスに向かったわ!
そして…、ひまたちもお買い物を終えてサンフラワーハウスに行ったわ!
丁田 祈壱「お、お邪魔します…」
紫安 華夏「さてさて、客間でお話でもしましょうか」
丁田 祈壱「う、うん…」
そして、客間で改めてみんなと今後のことについて話したわ。
秋元 千咲「さて…、祈壱君。私たちと一緒に戦ってくれる?」
丁田 祈壱「…あぁ、もちろんだよ…。これからは君達のドクターとして全力でサポートさせてもらうよ」
花道 陽鞠「祈壱…!」
丁田 祈壱「それと、僕、陽鞠ちゃんと過ごしたい。…いい?」
花道 陽鞠「!!!」
丁田 祈壱「陽鞠ちゃん、あれからずっと1人暮らしなんだよね?…お父さんが亡くなって…、お母さんは再婚して陽鞠ちゃんを置いて行ったんでしょう…?お姉さんたちと一緒にどこかに…」
紫安 華夏「えっ…、ひどっ!」
秋元 千咲「陽鞠ちゃんだけを置いていくなんて…」
そうだ。できない子だからということで置いて行かれた私の親権はパパの方に行ってたんだわ。
花道 陽鞠「まぁ…、そうね…」
マリーエ「ひまりん…」
花道 陽鞠「…喜んで歓迎するわ」
丁田 祈壱「…!陽鞠ちゃん!嬉しいよ!!」
むぎゅっ!!
秋元 千咲「(嗚呼…、なんてラブラブなの…♡)」
マリーエ「ヒューヒュー!!」
花道 陽鞠「ちょっと、祈壱!抱きつかないで!!人前なんだから!!」
丁田 祈壱「ふふ、やだ、はなさない♡」
花道 陽鞠「いや〜ん!!」
丁田 祈壱「逃がさないよ♪」
むぎゅ〜!
コノシメ「こりゃしばらく離れそうにないな」
ヤンマ「だな…」
紫安 華夏「これって…、リ」
秋元 千咲「はい、これ以上言わない♪」
ウスバ「ところで〜」
マリーエ「ん〜?」
ウスバ「俺たちもティーダ…、いや、祈壱みたいにこの世界に相応しい名前、考えてみなーい?」
コノシメ「言われてみりゃそうだな…」
シオカラ「そういうわけで私たちの日本人ネーム、募集中です」
秋元 千咲「あら、それは面白そうね」
紫安 華夏「入選したら何かもらえるの?」
美鳥 時雨「うむ…」
空園 乃空「それなら、みんな平等に参加賞を渡すべきね。参加賞はもちろん、まごころ空園のまんじゅうよ!」
花道 陽鞠「素敵!」
空園 乃空「入選した人は…、お楽しみに♪」
ヤンマ「まぁ、それはそれで面白そうだな」
シオカラ「まぁ、我々も一応候補を考えておきましょう」
コノシメ「だな!」
秋元 千咲「あと、今後のことを考えるとみんな、休日はサンフラワーハウスで泊まった方がよさそうね。特に陽鞠ちゃん、乃空ちゃん、時雨ちゃんは職業訓練の勉強会としてね」
秋元 千咲「華夏ちゃんは確かアパート暮らし?」
紫安 華夏「えぇ。寮扱いの社宅ね」
秋元 千咲「オッケー!華夏ちゃんはリモートワークだからネット回線があればどこでも仕事できるけど…、私のところに来れば寮費は少々削減できると思うし…、どう?」
紫安 華夏「そうね…、迎陽花事業所に行くことは滅多にないし…、千咲さんのお家からは意外と近いから…、まぁ、木金土日はお世話になるかもしれないわ」
秋元 千咲「うん。了解よ。あとは明乃さんは乃空ちゃんの専属のメイドさんだから護衛目的であれば多分、上長たちが事情を理解してくれると思うわ」
白雪 明乃「よーし!その点も含めてメイド長に話しておきますね!」
空園 乃空「メイド長にはもちろんのこと、家族とよく話しておきます!」
秋元 千咲「さぁ!そろそろお夕飯にしましょう♪今日はピザを買ってきたわ!みんなで食べましょう!」
紫安 華夏「やったー!!」
こうして、私たちは新たな力を手に入れて…、6色のひまわりの輝きで祈壱を優しい人に戻すことに成功したわ!
さて、明日はちょうどお休みだし、千咲さんのお家でお世話になるわよん♪
さて!今回のお話に出てきたひまわりトーンはこちら♡
じゃ、
またね〜!