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育児散文 11ヶ月 #1 ぽこが、食らう

「うっわ、パンがない、ご飯がない…」
寝ぼけ眼で立った台所に一瞬で広がった絶望感。


あんまりに強い雨と激しい雷にちび2人(合計25キロ)を連れての外出を控えた結果がこんなところに現れてしまった。


アテにしていた冷凍パンも冷凍ご飯もなかったのだ。失敗した。


育児休暇も終了間際なのでジリジリと冷凍庫の中身を刷新しようとしていたのが仇と出た…やっちまった。


「なんもかんもが地味に地味に仇になってしらんうちに積み重なってしまっていて、それがガラ愚者と崩れるように頭上に一気に襲いかかってきてしまうタイミング」って、ある。

うん、それが今だ。
いまきてるね!
しかも今ってば「数日ぶりに2人ともを保育園にブチ込む」そんな朝だ。

ため息をつく。
うん、最終手段だ。


いざという時に出す最終兵器…
最終手段としてこれだけは絶対に冷凍庫から切らさないようにしている、これの出番だ。

シャトレーゼの、190円(税抜き)ピザだ。


もう、何回お世話になったかわからない。
うっかりやら、やらかしやらが多発するわたしの絶対的救いの神である。


フルグラも、ミューズリーもあるよ、確かに。
あるし、ぽん子も大好きなんだけど、めっちゃ食べるのに時間かかるのが難点
子供らがつついても起きてこないこんな朝にそんなものを食わす余裕なんてない

うん、仕方ない、仕方ないんだ
そう思いながら封を切る。

本当はこれ、夕ご飯の最終兵器なんだけどなぁ…などと思いながら。
いつもはシュレッドチーズをたっぷり追加して食べるところを、朝だからと控えめにしてほんのちょっぴりの罪悪感を覆い隠すことにする。


よし、これに食べても食べてもなくならないひいおじいちゃんのくれた巨大スイカのかけらを追加しよう。なんとか朝ご飯の目処がついた。

巨大スイカは遊ばないように一口大に切り分けてタネを取る
おっと、その前に軽く霜の降ったこいつもオーブンにブチ込む。
うん、しばらく頼らずにいられたもんね。

ぽんちゃん用のトレイの準備をあらかた済ませて自分のコーヒーを飲んで
ちょっとほっとしたところでタイミングよくぽこがおきてきた
うん、君いつも食べるものが完成すると起きてくる
よね。
これは君のじゃないけどね。
君のは、冷凍しておいたうどんと鶏そぼろでよかろう
ちゃんとぶよぶよに茹ですぎてのばして細切れにしてから冷凍しておいたからね


ぽんを起こす
登園準備と着替えの準備は昨日のうちにしておいたからちょっとだけ気が楽だ


なかなか起きない。


しかたない、ぽんちゃんには魔法の一言をつかってしまおう
「ぽんちゃんおきてー! 今日の朝ご飯はピザだよー」

飛び起きた。
「ピッッズァ?」
ピッツァとピザがいい感じに混ざって覚えられてしまっているのだが、この響きがめちゃめちゃ可愛くて何度も言わせてしまう。
「そーだよー、ピッッツアだよー」
「やったー! ピッッズァだ〜!」

その歓声に合わせて、つかまり立ちをしていたポコが踊る。
まだ1歩しか歩かないくせに、すっくと立って両手をふんふんと振るのはお上手だ
ピッッズァ♪ ピッッズァ♪


いいタイミングでオーブンが呼ぶ
♪ピーッ ピーッ ピーッ♪
さっきまでの絶望感は何だったんだろう。
たかが205円(税込)じゃないか。こんなに喜ぶなら安いもんだ

踊りながら食卓につこうとするぽんちゃんを制してトイレに連れて行く
2人がいなくなったと叫ぶポコを尻目にぽんの成功を一緒に喜ぶ
ぽんを食卓に着かせて、ようやくピッッズァの登場だ。
食卓に持ってくると、つられたポコも加勢して拍手が湧き上がる。

うん、さっき一瞬朝ごはんでもいいじゃんって思ったけど、撤回だ
興奮しすぎだ。このテンション、夜ご飯以上だ

と、思いきやさすが2歳児。
最初にかぶりついたのは、スイカだ
うん、そうだよね、子供ってそういうもんだよね。


母はぽこに給仕するので精一杯だ。
おげんきまるちゃんは、椅子から立ち上がる、逃亡する、座ったまま歩く、食べ物を投げると随分とやりたい放題なのだ。

そんななか「牛乳のおかわりください!」
滅多に出ないものが出てしまった。
ぽこにスイカの大きめのかけらをてわたして、キッチンに走る
何か手慰みがあればいつもポコはわたしを目で追うのに忙しく悪さをしない…
はずだった。


「ママーーー!! ぽこちゃんが!!!」
とつぜんの、おぽんからの緊急警報
急いで戻ると……


\ピッッズァアアアァ/

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\\\\   ピッッズァアアアア!////


何と、ポコがピザをわしづかんで頬張っているじゃないですか!
まさに、文字通りの頬張り

止める間も無く、あっという間に1/8の1/2ほど、つまり1/16くらい食べてしまった
とりあげようとしてもあんまりにガッツリ握っているし、口すら離そうとしない
スッポンかお前は


ぽこちゃん、離乳食の食いが悪くて心配してたんですけどわたし
なんすかその食いっぷりは、ちょっと。


母は、諦めました。
うん、いい笑顔だね。美味しかったか
そーかそーか


…そうか…離乳食のベチャベチャとかドロドロがいやなタイプか君もしかして。


結局、全体の1/8の3/4、つまり3/32≒10%ほどは食べてしまったということだ。うん、たいした量じゃないから、味はこいけどセフセフ!(ほんとか?)

…っておもうことにします。


ま、まあ、2人のえらい笑顔が見れたからまあいいか…
完全ワンオペおかーちゃん、なんだかんだで、大忙しです…


ああ、またぽんちゃんに「ママまた“まいっか”っていったー」って言われちゃうかな…まいっか…

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Lico.
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