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「小春、父さんの仕事はな地図に残る仕事なんだ」 小春日和、昔は春の言葉だと勘違いしていた。 秋の終わり、木枯らしが吹く中でも日の光は暖かく。 麗らかが通る道を脇にそれて私は寂しい道をたどる。 毎週末この丘を登るようになってからもう2年も経っていた。 奥の方に見える民家には黒地に黄色の文字がデカデカと書いてある。 『ネコと和解せよ』 見るたびにうんざりする。 看板の前では猫が体を舐めて寝転んでいる。 「やれるもんならやってるっつうの…」 私は猫に一瞥をくれる