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逍遥学派

 私の散歩スタイルは「逍遥」からは遠く離れていますが、実態は近しいものでしょう。道に迷うし歩みが遅いのでね。
 
 私は土曜に授業がありまして、一昨日11/9も授業を受けました。とても楽しくなかったですね、外国語の授業に楽しさは求めてもしょうがないですがね。して授業を終えて、友に連行されてお茶女の学祭に赴きました。なんか飯でも買おうかなぁと思って通りを歩いているとなんか値段がべらぼうに高いんですよね。たこ焼き4個600円はやりすぎだろ。まぁ出店の値段が高いのはいいとして、学祭パンフレットが100円するんですよ。訳わかんねぇ…。まぁそんなことを終えて家に帰ったあと、なんか暇だなぁと思ったわけですよ。最近はバイトを初めて余裕が出てきてしまって、大学にも慣れてきて、割と人付き合いもできるようになってしまって、非常につまらないんですよ。もっと自分の能力のないところで打ちひしがれたりして悲劇の被害者ぶってヒステリックを起こすのが気持ちよくて好きなのですが(最悪の篠澤広)、なんか最近上手くいってしまってねぇ、刺激に足りないわけでした。刺激が足りないのなら何処かに赴くしかないんですよ、私という人間の場合はね。そんなときに思い出したのが、弊学の学祭での寺社巡りサークルの展示。そのサークルは御朱印や寺社仏閣の写真を展示するだけではなく、活動履歴をぶぅわ〜ってテーブルに拡げていたのですが、その中で「山手線沿いを歩く」というのを見つけまして、その時の私は恋焦がれた活動がそこにあることに期待の念を寄せたのです。思ったのなら決行すべき。しかし山手線沿いって昼間は人が多いため歩き辛く、私が気持ちよく感傷に浸り歩くには騒がしすぎるんですよね。ではどうするか。深夜に歩けばいいじゃない、ということで、11/9〜11/10にかけて山手線歩くことを決めまして、その日中に弾丸散歩。自身の体力を鑑みてほしいですねぇ…。

 終電に乗って開始地点の池袋駅に。時刻は0時30分、大塚方面に向かって歩き始めました。大塚は街が好きで複数回赴いたことがあるので馴染み深い場所ですが、駅と駅の間の連結部は知っていなかったので飽きることはなく。また、夜マップの探索はしたことがなかったので新しい場所のような感じをおぼえました。進んで巣鴨、駒込。この辺りも頻繁に来るので街自体に目新しさはないですね。Googleマップを開くまでもありません。沿線をずっと進んで、田端、西日暮里、日暮里。現時点で8kmほど歩いたでしょうか。そろそろ少しずつ身体に疲れが出てきましたよ。私は以前から左の股関節にずっと痛みがあり、治すまでもないと放置していたのですがめちゃくちゃ痛かったですね。まぁ病院は行きません、高いので。日暮里のファミリーマートでお茶とエナドリとチョコボールキャラメル味を購入。私はチョコボールではピーナッツ味が好きなのですが、キャラメルの方が長く楽しめるんですよね。旅程はまだまだあるので、キャラメルに。にしても物価が本当に高いですね。チョコボール105円はちょっとやばすぎだろ…。

 してまだまだ止まらずに行きますよ、鶯谷、上野。このあたりは道が立派で大通り沿いに行けば良かったので楽でした。東京23区の東側は行く用事がないので新鮮で楽しいですね。南下して御徒町、秋葉原。御徒町の商店街を突っ切ったのですけれども、とても汚くて、居酒屋前のゲロを舐めてるネズミとかを見つけて気味悪く思いましたね。また、キャバクラの勧誘をされました。勧誘受けるの楽しいんですよね。活動始めたての芸能人になったみたいで、人から話しかけられる喜びを感じましたね。まぁ彼らは私という単位を見ていないので全てこちら側のみが抱く感傷ですが。さらに南下して神田。もう足が大分痛くなってきましたね。左股関節は完全に死に、もう歩くだけで左足が回らない始末です。そろそろ休憩したくなりましてね、皆さんコンビニで休憩したいときに思い浮かべるコンビニはなんですか。そうですね、ミニストップですよね。神田にはミニストップが存在しており、ポテチとハイチュウを買って30分程休憩しました。休むとかえって痛みを感じるの悪い仕組みですよね。無限に動き続けなきゃ死んでしまうんですねぇ。

 腰を上げて東京、有楽町。東京駅のビル群を闊歩する私を止めるものはいないという全能感がとてつもなく頭でグュワングュワンしました。実際には私の歩みを止める人間が居たんですよね、工事現場のおっちゃんです。このあたりからゾーン入りましたね。ゆく街全てが美しく見える"あれ"です。脳内をぐるぐるぐるぐると風景が入って抜けては入って抜けて、風景完全映像暗記モードです。ここの十字路の角に何があったか聞かれても答えられるんじゃないですかね。そのまま歩いて新橋、浜松町。そうそう覚醒状態も長くは続かず、状態が終わってしまう原因は浜松町の構造にありました。訳わからないんですよあの駅。道が何処にもないんです。行ったら行き止まりになっていて、結局戻ることになってしまい、少し萎えて興奮も収まり、普通に股や脚の痛みも戻ってまいりました。

 山手線は縦に長い。田町、高輪ゲートウェイ、品川。高輪ゲートウェイ駅っていらなくないですか?乗り換えはないし品川にも割と近いし。駅の写真を撮りにいくためにわざわざ奥に行かなきゃいけなかったので高輪ゲートウェイアンチになりそうです。品川駅については、山手線の内側のほうは思ったより発展していませんでしたね。発展しているのは東京湾側でした。そんなわけで特に目新しさもない大通りをまだまだ進みます。いよいよ南下も終了し、遂に北上の時間です。品川で折り返しを過ぎたといった塩梅でしょうか。

 次の駅は大崎。この駅辺りで休もうと。もう足の裏が痛くてですね。常に軽くびっこを引くような感じでした。ミニストップがあったので寄ったのですが……ミニストップって椅子のない店舗もあるんですね…休めないのでほっとレモンだけ買って公園で30分休みました。このあたりの街は結構私好みでして、スーモで家賃を調べてみたら、1K18平米で7万5千円して東京の恐ろしさを知りましたね…。山手線沿いはたけぇのよ。まぁ将来多摩住むからいいかぁと再び歩き始め、五反田、目黒。目黒駅に着くと品川区の看板が立ってまして、不思議に思い地図を見て初めて知ったのですが、目黒駅って目黒区にないんですね。「名古屋城の最寄り駅が名城公園駅じゃない」みたいな感じ。これ3年以上前の人にしか伝わんねぇな。さらに北上して恵比寿、渋谷。渋谷は嫌いです。街が嫌い。なんの面白みもないですからねあそこ。恵比寿は好きです。街の雰囲気がとても素敵。恵比寿自体はそこまで都会じゃなくても、ビル群が遠くに見えるのがとても脳に焼き付きました。渋谷にすき家があったのでチー牛を注文。共食いですね。蔑称として用いるには勿体ないくらい本当に美味しいですよあれ。皆さんも是非食べてみてください。
 
 現在時刻は9時、残る駅は原宿、代々木、新宿、新大久保、高田馬場、目白、池袋。7駅。割と残ってますね…。遂に最終兵器の動員を決定しました。最終兵器とは、音楽。戦時中も音楽で苦しい状況を乗り越えようとしていたそうな。私の今の状況をそれに例えるというのはとても浅はかで失礼なことですがね。というわけでまずは『ミラクルナナウ(゚∀゚)!』と『古今東西ちょちょいのちょい』を聞く。これだけで新宿まで頑張りました。次は『栄光の男』と『いなせなロコモーション』。これで高田馬場へ歩みを進める。最後は『ミュージック』と『目が明く藍色』と『aoi』。なんとか池袋駅に着きました…。総距離約40kmにものぼる"旅程"。時刻は11時34分。凡そ11時間の旅。もう足がパンパンですね。到着後しばらくは興奮物質で動いていられますが、どうせ直ぐに駄目になるだろうと思い、少しの用事の後直ぐに家に戻りました。

 帰ってシャワーを浴びて直ぐに寝ました。なにせ0 時から歩いているのでね。出発前に仮眠をとったとはいえ、とても疲れたのです。起きた後に改めて思い返すと、本当に11時間の出来事とは思えないんですよね。「脳が情報を処理するときにあまりに情報が多いと時間が引き延ばされている感覚がする」あれ、私、大好きなんですよね。街を見るのも楽しいですがこっちが目的といっても差し支えありません。1日14時間くらい勉強したときもあの感覚するじゃないですか。私は努力が苦手な性分なのでそんな大変なこと、今の私にはできないんですよね。手軽にあれを摂取する方法って本当に何処かに赴くしか。私の"足取り"は遅いですよ。言うならば「逍遥」。逍遥学派を名乗るには、誰かと議論をしなければならないじゃないですか。さらに議論を第一にしなければならないじゃないですか。しかし私が感傷に浸る際に人は要らないんですよね。寧ろ一人のほうが沁みます。感傷に浸るまでは一人で、受けた感傷を共有、語り合う際には当たり前ですが複数人でいたいんです。語り合うには同じ体験をする必要があるので、必然的に構造上このどちらもを得ることはできません。いいですねぇ、私ではどうしようもない上手くいかないもの。私が求めていた"刺激"そのものじゃあないですか。もしかしたら私はこのどうしようもない構造の「被害者」になるために、常々何処かに赴いているのかもしれませんね。

    ご読了ありがとうございました。

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