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宏観異常現象、その懐疑について
海難からの奇跡の生還者が、事故の1週間ほど前から船内にネズミを見なくなっていた。とか、
水槽から飛び出すほど中の魚がナーバスになっていた。とか
野生動物のセンサーは鋭敏で、ゲリラ豪雨に立ち往生などは諸々察しのよろしくはない人間だけ。なんじゃないの?
漠然とそのように思っていたのは否定しない。
お気に入りの傘を暴風雨に壊されてもイヤなので、雨よけにはまるで役不足の立木のもとで折り畳みに難渋していると、葉の疎らな梢でただ豪雨に打たれるままに固まったキジバトがいるのを見た。
伸ばせば手が届きそうなその位置が、常宿の営巣場所であるとは思えない。
キジバトは環境の変化に対して冗長性が高く為におっとりして見えている....のかも知れないし、
傘がさせない程度の暴風雨なら想定内?で予測行動しなかったのかも知れない。
「途方にくれております」としか言いようのない情けないカオには憐憫の情を催されずにはいられなかった。
あるいは、自身の置かれた心境をそのシンプルな造作のハトの目にみただけ、なのかも知れないし、多分に主観的なことは否めない。
野生のセンサーは鋭敏だとしても種類で差異、又は同種でも個体差はありそうな事、
主観を客観であるかのように錯覚しがちな人間のするデータの読み取りは判読ミスが避けられそうにないこと。
確実に言えそうなことと言えばキジバトはゲリラ豪雨の予測に寄与しなさそうな事。
豪雨の後に陸が失われたとして、何か枝か葉っぱを咥えて帰ってきたら水がひいたか隆起したかで復活したのだろう。それはノアの推理であって、キジバトにはとくに功績はない。もちろん落ち度もないのだけれど。
事象によっても指標になり得ない野生種も随分とありそうな気がした。だいたい推測以上の事柄に当てはめる人間のご都合主義に問題がありそう。
と思えた。
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