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寺での当たり前はストレス

寺で生まれ育った私ですが、大学生の頃に一般家庭との違いを大きく認識し、ストレスを大きく感じるようになりました。今回は、一般家庭と寺の生活での違いについてご紹介いたします。

子どもも親の戦力

寺は、「親の職場」です。成長につれて親のお手伝いができるようになると、だんだん親から求められるレベルが高くなっていきます。私はおつかいデビューしてから、よくおつかいに行くようになりました。それも、母親から詳しい説明もなくメモを渡されたこともあり、わからなければ半泣きでお店の人や知らないおばちゃんに聞きながらのおつかい…

それ以外にも、お盆やお彼岸の行事に準備する御札などを、近所に配りに行ったりしました。これが、スーパーの買い物より気を遣ったんです。まず、大きい声で「ごめんください」と玄関から訪ね、挨拶と用件とちょっとした雑談。しかも、何ももらわずに帰るよう言われているため、お菓子などを渡そうとされても断るという大人とのやり取りが、小学校低学年にはハードルが高かったです。

しかも、心強いだろうと弟と2人で行かされることもあり、弟の機嫌が悪くなると面倒までみるタスクまで発生します。私、健気な子どもだったと思います…

年中留守にできない

寺は、いつ来客があるかわからないので、留守にできません。必ず誰かが留守番をする必要があります。誰かが亡くなったりした場合は、電話があったり、直接寺を訪れて知らされることもあるからです。

まだ、祖父母が健在の頃は、留守番をしてもらえたので家族旅行はできました。でも、祖父母が他界してからは、家族旅行はしていません。

私は、小学生の頃から1人で留守番の経験もあります。これ、一般家庭では考えられない状況だと思います。いくら、来客の大半が檀家や近所の人とは言え、たまに変なセールスや見知らぬ人が訪れます。

いくら門戸開放している寺とはいえ、小中学生の女の子が1人で留守番をすることを、親はおかしいとも危ないとも思っていないんです。用事が長引いて、なかなか帰ってこないこともあり、時には一緒に留守番している弟の機嫌が悪くなり、こっちが不安で泣きそうでした。

親が出かけるために、私が家事をする

大学受験が終わり、私が大学生になったら、母親は「やっと外出できる」と、家事を私に頼んでたまに外出していました。価値観が古く、「住職である父親には家事をさせられない」と考えていたからです。特に、「父親が洗濯物を外から取り込むところを人に見られたら、『住職にそんなことをさせている』と思われる」と母親が良く言っていました。こんな男性優位な考え方なので、もちろん父親は調理もできません。

こうやって、「家事は女がするもの」みたいな習慣ができるため、私は家事をこれ以上押し付けられないために、徹底して調理はしませんでした。母親から家政婦のように扱われたくなかったからです。

外出する時は親に許可が必要

大学生になると友達付き合いが増え、外出の予定も増えます。この頃から、母親と衝突することが増えました。外出するためには、留守番のこともあって、いちいち寺の用事を確認して許可を得る必要があるからです。

こんな感じなので、夏のイベントである花火大会やお祭りは、お盆の行事の時期と重なるため、ほとんど行ったことがありません。寺の繁忙期は朝が早いため、夜遅くに帰宅されると親に支障が出るからです。

しかも、「帰りが遅くて危ないなら、タクシーで帰る」と伝えた際、母親から、「タクシーの運転手に、寺の娘が夜遊びしてると思われて体裁が悪いから絶対ダメ」と返されました。

一方、弟は、大学から地元を離れて一人暮らしをしたため、寺の行事以外は自由を満喫できたようです。私と違って、日頃の留守番も経験していません。
こうやって、私の20代は人付き合いも制限され、弟との不公平感からどんどん不満を募らせていったのでした。

来客と思いきや、物乞い

寺には、たま〜に、物乞いが突然やって来ます。生活に苦しいからなど、困っているエピソードを伝えてきます。私、留守番の時に、対応したことがあるんです。弟は経験ないようですが…
対応により、機嫌を損ねると、「逆恨みで火をつけられても困るから気をつけないと」と親は話していました。こんな経験、ありますか?

まとめ

いかがでしたか?寺の生活に対して、偏見を持って嫌味を言う方も中にはあります。でも、暮らしている人間は、子どもも含めて家族一体で寺を守り、常にしがらみの中で、人に見られていることを意識した生活を送っているんです。宗派、地域、寺によって違いはあると思いますが、私は寺を離れてようやく自分のペースを手に入れました。次に生まれるなら、一般家庭に生まれたいです。また気持ちが落ち着いた頃に、続きをご紹介したいと思います。今日はこの辺で終わりにします。

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