【書店愛】この夏休み、思いがけずこだわりの本屋さんと出会った話
夏休み中の娘と、とある用事のためお出かけをした。
自宅から2時間程度の場所だが、初めて行く場所だし夏休みということもあってちょっとした冒険旅行気分。
そしてお互い本を読むことが好きで、ちょうど今読みたいと思っている本がそれぞれにあった。
目的地に向かう途中、
「駅の中に本屋さんがないかな?」
「いちおう県庁所在地のJR駅だし、本屋さんぐらいあるかもね?
でも欲しい本があるかはわからないよ」
という会話をしていた。
今日の行き先はこのでもあたりでも人口が少ない場所。
私は、期待しているような本屋さんがなかったら娘をがっかりさせてしまうと心配した。だから前もって予防線を張っておいたのだ。
JRの駅について、乗り換えのバスに乗るため駅の構内を進んでいくとドラッグストアやコンビニ、カフェに混じって小さな本屋さんがあった。
小さいけれど思ったより良さそうな本屋さんだねと会話した。
「行きは時間がないから、帰りに寄ろう」
「うん、帰りに絶対寄ってね」
そして帰りの電車の乗り換えを待つ30分で、その駅構内の小さな本屋さんへ向かった。さらっと店内を一周すると、あら?けっこうこだわった品揃えだなと思った。
話題の小説の文庫や地元関連の本だとか、手書きのポップも丁寧で目を引く。でもこだわりすぎでもないという絶妙な選書。
時間がないのでレジにいる店員さんに近づくと、
「なにをお探しです?」と声をかけてくれた。
「〇〇、っていう本なんですが」
と著者名もわからない状態で聞いてみた。
「はいはいその本なら、文庫本でよければ」
と、ものの数秒で本を差し出してくれた店員さん。
このやりとりで、私は昔の書店を思い出して懐かしさを感じた。
私が小さい頃は地域に小さな本屋さんがあった。
本好きな店主さんがいつも店番をしていて、ほしい本を伝えると在庫を出してきてくれた。
そんな経験を思い出させる本屋さんに、思いがけず出会って嬉しく思った。
今の本屋さんは面積こそ大きくなったけれど、読みたい本は検索機で自分で探すシステムだ。そもそもたくさん本が置いてあっても、読みたい本に出会えないこともある。大きければ大きいほど良い、というわけではないのだ。
これは後日談なのだが、この駅構内の本屋さんをふとネットで調べてみた。
するとびっくり。
ある直木賞作家がオーナーとして書店を開き、店長はカリスマ書店員さんが務めているとのことだった。書店員さん独自の”大賞”を展開もされていて話題だという。
それであの本好きの興味をそそる品揃えだったのかと納得。
カリスマ店長が、さっとさりげなく本を差し出してくれたのも腑に落ちた。
近頃は私の住む地域でも、本屋さんが減っている。
でもこんな個性的で本好きに愛される素敵な本屋さんはなくなってほしくない。
カリスマ書店員さんのXアカウントを発見。
ちなみに、高校生の娘がこの夏休みに読みたいと言ったのは、こちらの蜜蜂と遠雷/恩田陸。娘は小説は紙の本で読みたい派。
私がほしいと思っていた本も、ビジネス書の小さな棚にもちろん置いてあった。こちらも紙の本で手元におきたいので購入。
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