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[バケモノの子]を観た感想[劇団四季in名古屋]2024〜細田守監督に思うこと〜



細田監督作品について思うこと

ずっと観るのを先送りにしていたバケモノの子。
そろそろ観てみるかという気になり、頑張って名古屋へ向かいました!
私にとって人生で3度目の名古屋劇場となりました。
前2回はキャッツです。(一番好きな四季のミュージカル)

バケモノの子は映画を見たことがなく、四季が舞台をするとなった時、
なんでこれを?!と思った記憶があります。

ちなみに私は細田守監督のことは前から存じており、
「デジモン僕らのウォーゲーム」や「時をかける少女」は、
非常に影響を受けた思い出の作品です。
何度もDVDを観たし、CDを買ったりするほどはまっていました。
サマーウォーズやおおかみこどもの雨と雪も設定画集を買ったりと
それなりに楽しんでいたのですが、
なんだかその後の作品から何かあまり魅力を感じなくなってしまい、
劇場に観に行くことが無くなっていました。

数年前に「竜とそばかすの姫」がメディアで押し上げられ、
気になったので観に行きました。
題材は面白かったのですが、なんだか細田監督、
雨と雪らへんから、複雑な家庭環境の子供を描くわりに
落とし前がつかない感じの終わり方をしてていやだな・・・。
これがある意味リアルか?そういう風に感じさせるのが意図か?
と、もやもや気持ち悪い印象が残ってしまったんです。
登場人物の心理描写がないせいか、
入り込めないし応援しにくい・・・。

そういう感じが今回観たバケモノの子にもあり、
映画は観てなかったけど、
自分が監督に感じていたモヤモヤがやっぱりこの作品にも!!
というのでかえって笑えてきました。

最初に行っておくと、四季の演出や役者の熱量は素晴らしかったです。
でも、これはストーリー的にリピートしたくなる魅力があるか、
人によるのだろうと思いました。

事実、まだまだ空席多いし。
舞台観て映画観よってあんまり思わなかったし。
(今度時間があったらみようと思う)

なんだか細田監督の悪口みたいになってしまいましたが、
「時をかける少女」のほろ苦い青春の空気感などは、
とっても情緒があり、ずっと心に残る思い出の作品です。

また新しい作品が出たら、観に行くと思います。



それでは舞台の感想に移ります。

今作のみどころ!

・熊徹のビジュアル。
 毛並みにリアリティがある。
 顔はもちろん、ボディ、手足までしっかり毛並みがある。

・各キャラクターの容姿が自然。
 キャッツより近くで見ても違和感ない特殊メイク。
 そうし様の耳がぴょんぴょんしてて可愛い。

・舞台装置が大掛かりで面白い。
 渋谷の表現、鯨の表現、シャボン玉など、
 演出による感動ポイントは満点。

・子供から大人にうつった時にびっくり

・プロジェクションマッピング
 表現が色々試行錯誤されており、観ていて楽しい。
 タイトル出しがかっこよく、ワクワクした。

・衣装
 バケモノたちが着ている、
 ツイードを裂いたような織物が可愛らしく、
 欲しいと思うほど魅力的だった。
 
・子役の純粋な演技
 思わず応援したくなる魅力がある。
 たくさんの子役が出てくるが、
 皆しっかりしており、感心する。



メインテーマがない?

バケモノの子は四季の他作品に比べて、
口ずさみたくなるようなキャッチーな
メロディーや歌詞が無いと思いました。
これはちょっと残念だな〜と思います。
同じオリジナルでも、ゴーストアンドレディ鑑賞後は
サブスクでサントラを頻繁に聴くようになったので、大きい差があります。
コーラスの厚みなどすごく、心に響く歌声があるだけに、
勿体無い気がします。
歌を楽しむ要素が少ないために、
ミュージカルとしては物足りなく、
リピート要素が薄いのだと思います。

圧巻の大道具

今作のMVPは大道具さんでは!と個人的に感じております。
渋谷の表現など、とても新鮮で引き込まれましたし、
熊徹の家や渋天街など、クオリティが高く、
自分も入り込みたくなる世界観でした。
白鯨の表現も初めて見るタイプの作りで、
四季ってばこんなこともできるのね!と、
興奮しておりました。
浮き輪のような素材でできているとお見受けしましたが、
動きの重厚感がしっかりとあり、迫力満点。
最後に泡がシャボン玉として3次元で表現されたりと、
ずっと目が楽しかったです。
観に来てよかったな〜と思える瞬間でした。


キャラに共感しずらい。故に応援しずらい。

色々と真新しい演出が見ごたえがあり、
楽しい舞台であることは確かなのですが、
いかんせんキャラクターに入り込めない作品でした。

これは四季は関係なく、原作の問題だと思います。

主人公の九太が、最初に孤独に戦う熊徹に
共感するところはわかります。
そして武力を研鑽する日々を送る。

17歳になった九太は、飲んだくれの熊徹に辟易とする。

人間界でかえでに出会い、学問に目覚める。
まだ十代で成長意欲満点の九太は、
余計に成長意欲のない熊徹にイライラとしたんでしょう。
実の父親に会った時、今まで辛かったろうと
決めつけられたことに激昂する九太。
すごく思春期らしいといえばそうなのですが・・・
ちょっとめんどくさい、
とっつきにくい主人公になちゃったな〜と感じました。
もう物語の後半でしたし、青年になった九太の心について行くのに
時間がかかるというか、急に少年期と別の主人公になっちゃった感じがします。

熊徹は九太の父親がわりを担っていたのかと言われると、
特段、親子らしい描写はなかったですし、
なんだか本当のお父さんと並んで歌っていることに
違和感感じました。
あなたたち、ベクトル違うんじゃないか?と。

熊徹も最後まで不器用な感じで、
宗子になりたいわけでもないのに、
喧嘩で猪王山と戦っているところに九太が来て
感動ムードに向かって行くのが違和感ありました。

なんか、もっと九太と関わったことで
熊徹の人格が出来上がっていって、
目的を持って決戦の地に行くとかじゃないの?!
といった感じでした。
原作知らないせいかもしれませんが(^_^;)

なので、熊徹より人格者の猪王山を応援したくなる気持ちが、
最初から変わりませんでした。

宗子になったおかげで九太と渋天街を守ることが
できたのでよかったのですが。

一郎彦が自分の存在に疑問を持ち、闇落ちしてしまうところは
かわいそうだと思いましたが、最後「あれ?何があったの?」
みたいなこと言っているのはちょっとびっくりしました。

え、自分が人間だって聞いたこと、忘れたの?!
じゃあまた事実伝え直しで、
大変なことになるじゃん(^p^)
と思ってストレス貯まりました。笑

ちょっと考えすぎですかね?

熊徹が実体を捨て、剣となって戦ったことは、
家族がいないからこそできた決断のような気もしますし、
九太の心とともにあれることを思うと、
二人が家族よりも近いものになったようにも思えます。

とまあ、思春期ボーイと不器用さんという主役に
入り込みにくい作品でしたが、
演出のパワーで楽しく観させていただきました。

鯨のシーンがもう一度観たいので、
今年中に2度目を観に行こうかなと思います。



秋晴れ

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