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本のご紹介13 星降る夜 坂口尚作品集3
「星降る夜」坂口尚作品集3 坂口尚
古い本で現在は入手が難しいのではと。現在はkindle版の「たつまきを売る老人(おとこ)」や「星の動く音 坂口尚SF短編集」などでこの書籍中の作品の幾つかを読むことが出来る。
この作品集、1と2は電子書籍化されているが何故かこの3はそうではないようで、三つのなかではこれが一番好きだったなあ。SF、奇想、クライム、寓意、詩情、ユーモア、味わい深い小品が並ぶ。
掲載されている作品は「陽だまり」「星降る夜」「秘密」「絆」「新世界」「ぶううめらぁん」「影ふみ」「野の花」「たつまきを売る老人」「国境の店」「めぐりあい」「化石」「穏やかな日」で1978年12月~1984年12月までのものである。大雑把に発表順に作品を追っていくと、線の細いシリアスな印象を受けるものと、線の太さに抑揚のある波打つような絵柄などを作品により使い分けているのだなあとなんとなく。
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1983年から「石の花」の連載が始まるので「陽だまり」を除けばそれ以前の作品となり、坂口はその後「VERSION」「あっかんべェ一休」など長編作品でその思索を深めてゆく(何度も読み返した長編はこの三作品でそのような感想を抱き)。
表題作である「星降る夜」はこころに沁みいる小品で、見開きの絵に深い感銘を受ける。「VERSION」最終部付近でもそんな感じの箇所があるけれど、坂口さんの見開きの「絵」ってなんか伝わってくるんです。セバスチャン・サルガトの写真とか勝手に何故かわからぬが連想してしまい。
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坂口尚のホームページ「午后の風」のプロフィールを。
さかぐち・ひさし
Hisashi Sakaguchi 1946—1995
1946年5月5日生まれ。東京都荒川区出身。
高校在学中の1963年に虫プロダクションへ入社。アニメーション作品『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』等で動画、原画、演出を担当。その後フリーとなり、1969年、漫画雑誌『COM』誌に『おさらばしろ!』で漫画家としてデビュー。以後多くの短編作品を発表。
1970年代末〜80年代初頭、既存のジャンルを超えた自由で個性的な漫画表現を開拓しようとする「ニューウェーブ」と呼ばれる潮流の中で、作家として存在感を高める。一方でアニメーションの制作にも断続的に携わり、24時間テレビのスペシャルアニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』『フウムーン』等で、作画監督、設定デザイン、演出等を担当した。
1980年〜82年、代表作の一つとなる『12色物語』を執筆。1983〜1995年にわたって、長編3部作となる『石の花』、『VERSION』、『あっかんべェ一休』を上梓。1995年12月22日、49歳の若さで逝去。
1996年、「第25回日本漫画家協会賞」で『あっかんべェ一休』が《優秀賞》を受賞。
2023年、「第50回アングレーム国際漫画祭」で『石の花』が《遺産賞 Prix du Patrimoine》を受賞