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花を詰めすぎた花瓶が風に倒れた

 はいっザ・ブーム時代の「極東サンバ」の「10月」、宮沢和史作詞で。

 今は朝焼けさえも ひとごとに感じる
 花を 詰めすぎた花瓶が 風に 倒れた
 思い出は なにひとつ 語りかけてはくれない

 ということで失恋ソングなのですけれど、ここのメタファーとてもよいですね。これがですね例えば

 具を 詰めすぎた餃子が 風に 倒れた

 なんのことでしょうねさっぱりわかりません。また

 根を 詰めすぎた母が 内職中 倒れた

 いけませんねーっここに至るまで家計を放漫経営してしまっては。ほつれた髪、袖口が目に浮かぶようです。
 でですね、

 距離を詰めすぎた。 増田明美が 風に 倒れた

 後ろから詰めていったらプレッシャーからか甲斐あって偶然にも増田が風に倒れた。これ幸い儲けものです。さっさと放っておいて上位入賞を目指しましょう。

 質問を詰めすぎた 被取材者が 風に 倒れた

 これではいけません増田明美。どうしてそこまで知っている驚愕させることしきりの取材力を誇る増田ですが重箱の隅までほじくり返されてカラカラ軽くなった被取材者は風にも倒れるというものです。

 指を詰めすぎた やっちゃんが 風に 倒れた

 世間の風は冷たいものです世知辛い。一本でもぎょっと構えるというのにそんなに詰まってしまっていては、構えたまま下に敷いてあった舞台装置のロープが引かれ光の速さで目撃者は遠ざかってゆくでしょう。

 初手から王を詰めすぎた 藤井壮太が 風に 倒れた

 さすがは藤井壮太、初手から「詰めよ」を意識して脳髄をフル回転、序盤に力を抜いて指すということを知りません。おやつの前にブドウ糖を使い果たしてしまいツイフラフラ。自身の扇の風で倒れることに。まれに目撃されるこの事態に遭遇した対戦者はラッキーです。

 鼻にピーナッツを詰めすぎたら 倒れた

 あたりまえですいったい何の拍子でそうなっるというのでしょうか。親指でピーナッツをマシンガンのように弾いていたら?鼻から射出連射して卓上を舞う小癪な蠅を射抜き仕留めるため予備の弾を詰めすぎた?風に吹かれなくったって倒れます。そういうときは慌てず騒がず「口で息をする」ことを推奨します。

 ということで、この宮沢の詩のメタファーが如何に優れているのかが愚生が綴ったことで明らかになり、次の文章を綴りに別の記事へと行こっかな。
 ではでは(*'▽')。
 

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