四半世紀に渡り読み終えていないよ
ふと 上下巻組の小説読み物をきちんと読み終えました まあ登頂成功率 驚くほど低いなあと。
「ガープの世界」が公開され家庭用ビデオデッキで映画鑑賞できるようになった頃だろうか、ロビンウイリアムズ演じるガープとその世界がとってもよかったもので、当時文庫(ジョン・アーヴィング著)を揃えたのです。
いつも上巻の途中まで読み進むのですが、きまってある辺りで興味が薄れて投げ出してしまうのです。何度かよしっ今度こそはとたびあるごと最初っから読み始めて毎回同じ経過を辿り。登場人物の纏わりごとを描写し物語を駆動してゆくタイプの作家であるらしいのですけれど、下巻に入ると俄然面白くなるという評を信じ、上巻後半に続くのやもしれぬ大オーバーハング若しくは居眠り平原(笑)を乗り越えあるいは突破することははたして今後あるのだろうか と。
一冊モノのごく普通に完結して物語上の区切りのある小説読み物は、例えば抽象的な思弁が続き登場人物や会話がほとんど出て来ない1930年代上梓のレジェンダリーなSF小説「スターメイカー」オラフ・ステープルドン(苦行だったかな?)や、幻想的耽美そして時にはわかりにくい文章を綴るという感想を持ってしまう読者もおるらしい「ラピスラズリ」「歪み真珠」「飛ぶ孔雀」山尾悠子さん(辞書とのっぴきならずで差し向かっては)など、まあ読了できるのですけれど。
こと、上下巻組に至っては「悲しき熱帯」レヴィ・ストロース(下巻の途中。上巻数ページにわたり記憶の中の一風景の想起、それも雲の情景そのいっこいっこの形を執拗に言語をもってしてつらつら描写するくだりが最もキツかった)、「哲学者の密室」笠井潔(上巻読了でソツなく終了)、「クラウドアトラス」デイヴィッド・ミッチェル(出だしで頓挫('ω')ノ)、「火星の人」アンディ・ウィアー(オデッセイ原作。下巻の中央部7割ほどの紙面分量は映画も見たことだしっロープウエイに乗ったという事にし盛大にぬかし読みをやらかしちまって)すこし思いおこしてみただけで、戦績は芳しくなく本来であれば由緒ただしく読み手として打ちひしがれるべき処であるのかもしれません。
小さな頃から一冊の本の背表紙がゴールなんだよね と刷り込まれているからだろうか 人間の日常的な場面においての関係性の描写全般に興味を持てない傾向にあるのかな う~~む とちょっと考えてみては。
失われた時を求めてやグインサーガや宇宙英雄ローダンシリーズなんて(読んだことは無く)読みはじめた日にはですね 飽きっぽいわたしはきっとこうなることしょう。
「えっっまだ終わりじゃないの?本当に?知ってはいるけれど。えっ、その小脇に抱えている本 なにやらとても面白そうに見えるんだけれど」
ちょっと物足りなく。付記。
その幾つかの作品群とエッセイ、随分と楽しませていただきました カートヴォネガット様 その 短編小説を書くときの8つの約束事
赤の他人に時間を使わせた上で、その時間はむだではなかったと思わせること。
男女いずれの読者も応援できるキャラクターを、すくなくともひとりは登場させること。
たとえコップ一杯の水でもいいから、どのキャラクターにもなにかをほしがらせること。
どのセンテンスにもふたつの役目のどちらかをさせることー登場人物を説明するか、アクションを前に進めるか。
なるべく結末近くから話をはじめること。
サディストになること。どれほど自作の主人公が善良な好人物であっても、その身の上におそろしい出来事をふりかからせるーー自分がなにからできているかを読者に悟らせるために。
ただひとりの読者を喜ばせるように書くこと。つまり、窓をあけはなって世界を愛したりすれば、あなたの物語は肺炎に罹ってしまう。
なるべく早く、なるべく多くの情報を読者に与えること。サスペンスなどくそくらえ。なにが起きているか、なぜ、どこで起きているかについて、読者が完全な理解を持つ必要がある。たとえゴキブリに最後の何ページかをかじられてしまっても、自分でその物語をしめくくれるように。
カート・ヴォネガット「バゴンボの嗅ぎタバコ入れ」より
noteの谷古宇 時生さんの記事より拝借させていただきました。
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