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豆屋(番外編)|先物取引の仕組み

「先物取引で破産して家まで持っていかれた人がいる」

「借金の保証人と先物取引だけは手を出してはいけない」

「先物会社はヤ〇ザよりタチが悪い」

…私と同年代の40代以上の方なら似たような話を耳にした事があるのではないでしょうか??

実はこれらは私が先物会社への入社が決まり、家を出る際に父親から聞かされた話です。

当時は私も世間知らずの若造だったため、
『まさか、上場企業でそんな酷い会社があるわけがないだろう』と、意に介さなかったのですが、

実際に先物会社で仕事をして『全部ホンマやった。。』と実感しました。


…さて、話の途中でしたが、当ブログをより楽しんで頂くために、今回は先物取引の仕組みについて解説してみようと思います。


私が先物会社で仕事をしていたのはかれこれ20年も前なので、だいぶうろ覚えではありますが、思い出しながら書いてみます。
(小学生でもわかるくらいに、かみ砕いて簡単に書きます)

※ルールや法律など現在と違う部分もあると思いますが、あくまで2004年当時のルールに基づいてざっくりとした概要を書きます。あらかじめご理解ください。



・先物取引とは?

ものすごくかみ砕いて説明すると、「将来買おうとしている物が値上がりするリスクに備えて、現時点で価格を確定しておくこと」です。

確定した価格よりも値上がりすれば得するし、値下がりすれば損をします。
平たく言えば、この市場ルールを利用したギャンブルといったところでしょうか。


・どんな商品があるのか?

商品取引所で上場しているガソリンなどの石油関連、大豆などの穀物類、金などの貴金属類などが対象商品となります。

商品によって値動きなどに色々と特徴があったりします。(知らんけど)


・どんだけ儲かるの?(損するの?)

実際に私がよくお客さんに説明していた金の計算式を例にしてみます。(金の価格や証拠金の額は2004年当時の金額です)

・金の価格:1gあたり1,500円
・取引の単位:1,000g(1口)
・元金:100,000円(1口)

※元金は実際には「証拠金」と言います

<計算例>
・ケース1
金が100円値上がりして1,600円になった場合
100円 × 1,000g = 100,000円の利益

・ケース2
金が100円値下がりして1,400円になった場合
-100円 × 1,000g = 100,000の損失


…とまあ、ものすごくかみ砕くとこんな感じの計算になります。
(実際にはこれに先物会社の手数料などが差っ引かれますが、分かりやすくするため省略しています)

つまり、たった100円値動きしただけで、元金である100,000円が倍になるか、ゼロになるかです。まさにギャンブルですね。
(ちなみに今回は1口の計算なので、例えば10口だと10倍の1,000,000の損益になります)

20年前の金の値動きは比較的ゆるやかでしたが、それでも1日で50円くらいは動きましたからね~。恐ろしや。。

先物取引が極めてハイリスク・ハイリターンな取引であることが良くお分かりになると思います。


・危険その1『知らぬ間に×××倍の金額の取引をしています』


先程の計算式でお気づきの方もおられるかも知れませんが、先物取引はFXなどと同じレバレッジ取引です。(=自己資金よりも大きな金額を動かす取引の意

上記の計算式を例にしますと、元金は10万円ですが、実際にはその150倍の1,500万円の商品を売買しています。

これこそが、先物取引がハイリスク・ハイリターンである最大の理由なのです。

・危険その2『追証(おいしょう)』


先物取引の恐怖ポイントの2つ目が「追加証拠金」(通称:追証)です。

例えば、株の取引きなどは仮に値下がりしても、値上がりするまで何年も待つことが出来ます。

一方、先物取引では売買の期限が最大1年間と定められいるため、1年しか待つ事が出来ません。

さらに、元金が一定のマイナス水準を超えると、強制的に損切りされてしまいます。

損切りを回避するには、新たに「追加証拠金」を入金して元金を増やすしか方法はありません。

これにより、追証、追証と、先物会社に言われるがままにどんどん資金をつぎ込み、ついには資産を食い潰してしまう事があるのです。(先物会社は相場に関係なくお客が売買するたびに手数料で儲かる仕組み)



…っとまあ、思いのほか熱が入り長文となってしまいました。

もっとも、現在は先物取引もネット取引が主流だと思いますので、私が先物会社で働いていた頃のように対面取引で先物会社に騙されるといった被害は稀だと思います。追証の話などはあくまで昔話としてお聞き流しください。
(とは言え、リスクの高い危険な取引である事は今も昔も変わりません)

リスク面ばかり強調してしまいましたが、反面リターンも多い取引です。資金に余裕のある方は、自己判断・自己責任でお取引頂ければと思います。


以上、先物取引について、少しでもご理解頂ければ幸いです。

<本編につづく>


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