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豆屋④|高円寺

無事に就職も決まり、高円寺にある独身用の借り上げ社宅に引っ越した私は念願の一人暮らしをはじめることになります。

中央線育ちの私は密かに憧れていた町だったため、寮が高円寺と聞いた時は胸が躍りました。

高円寺には古着屋や飲食店が多く若者に人気があり、他方、商店街にはねじめ正一の小説「高円寺純情商店街」で描かれているような昭和の下町感も残っており、新旧の良い所が融合したような、とても魅力的な町でした。

私の住んでいたアパートは、商店街を抜けた早稲田通り沿いにあるワンルームのレオパレスでした。大きさは4畳程度と狭く、隣の部屋の携帯のバイブ音が聞こえるくらい壁の薄い部屋でしたが、ロフトも付いていたので一人で住むには快適でした。

高円寺という町は実際に住んでみると、想像以上に住みやすく、休日には路地を散策して新しいお店を見つけてみたり、飲食店も多いので一人暮らしにはとても助かりました。駅前にスーパーも2店舗くらいありました。

「小杉湯」という昔ながらの下町風情の銭湯があり、ここに行くのも楽しみの一つでした。(現在はリニューアルしてきれいになったみたいです)

都心へのアクセスも良く、若者にも年寄りにも優しい町

とにもかくにも、私の社会人ライフが始まったわけですが、この時はまだ自分が世にも過酷な先物営業の世界に足を踏み入れてしまったとは知る由もありませんでした。

<つづく>

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