映像で食べていくとは?#3 | 映像制作の仕事をしたい!そう思ったら最初に考えて欲しいこと【後編】
みなさんこんにちは!
前回からしばらく空いての更新となってしまいました…
先週は中々にバタバタしていて撮影が多くクタクタでございました。
ようやくひと段落ということで書き殴っております!
▼はじめに
まず簡単にこれまでのおさらいからしていきたいと思います。
【前半】では
映像を作りたいのか?それともお金を稼ぐ為に映像を作るのか?
自分がどちらのタイプであるのかを自覚することの大切さと、
その方法をお伝えしました。
そして【中編】では、
具体的にどんなポジションをやりたいのか?(全部やりたいはナシ)
これをお伝えする前談として、
映像業界にはどんなポジションがあるのか?
をざっくりと解説しました。
そしてようやく
なぜ「全部やりたいはナシ」なのか?
の真意をお話していきたいと思います。
ということで改めて、、
今回の記事は後編(3本ダテ)となっております。
過去のものをまだお読みになってない方は、
ぜひお読みいただけると嬉しいです!
では早速本題に入っていきましょう。
▼なぜ「全部やりたいはナシ」なのか?
「映像で食べていくとは?」
これは僕がノートで書き続けてる言葉で、
これから映像業界を目指す人が映像制作でお金を稼いぐための考え方という部分にフォーカスをしています。
なので、、、
すでにこの業界でキャリアを築いている人の中には複数のポジションを非常に高いレベルでこなせる人はいる
趣味でこれから映像制作を始めたい人には「全部やりたいはアリ」
というのはぜひ覚えておいてください。
決して複数ポジションのスキルを持つこと・学ぶことが悪ということではないです!
その上で、映像業界に初めて携わる人がお金を稼ぐとなると気をつけないといけないポイントがあります。
その部分をお伝えできたらと思います。
-1人で全て担当して作り上げる映像なんて仕事としてたかが知れている
映像制作にはとても多くのポジションがあります。
中編でもお伝えしたように、監督・技術・編集・制作、、
そしてさらにその中でも当然、上司部下的な分かれ方(メインとアシスタント)のようなものから、明確に業務範囲が分かているものまで多種多様です。
そして、みなさんも感じられているかと思いますが映像業界は分業制です。
でもこれは当たり前で、超人気大作映画やメジャーブランドのTVCMなどは当然予算がそれなりになります。
予算があれば、各ポジションに実績のある大御所達を集めてクオリティーが高い映像制作に勤しめるでしょう。
では予算が少ないとどうなるでしょうか?
例えば、、
本来は4人スタッフが必要だか3人になる
大御所ではなく経験の浅い若手のスタッフを集める
本来は3日間使って撮影を行いたいが、2日間で詰め込んだスケジュールになる
などになるでしょう。
つまり、予算がないからクオリティーと労働環境を妥協しているのです。
しかし、、これでも正直成り立ちます。
というか制作現場では良くあることですし、必ずしもダメということでもないのです。
クオリティーと労働環境を妥協したとしても、仕事の依頼者がクオリティーに納得し、スタッフが厳しい環境の中でもギャラの落としどころを見つけて納得できるのであれば、まったく問題ありません。
しかしながら、、これがさらに酷くなるとどうでしょうか?
・頼れる監督がいない
・カメラマンがいない(撮影機材もない)
・お金を管理する人がいない
など根本的な部分に直結します。
こういう時は撮影自体が成立しない場合もあるのですが、
無理やり成立させるとすると解決策が1つしかなく、、、
<全部やる>
になるのです。
ほとんどの場合、、
全て自分がやらないといけない映像制作というのは
求めるクオリティーに対して予算が極限に少ない案件です。
予算が極限にない案件で、
果たして自分が思うまま映像制作をできるポジション、あなたが望むお給料や、労働環境が手に入るでしょうか?
おそらく答えはNOです。
つまり、、
「全部やります!なんでもやります!」
というのは、一件と頼り甲斐があるように思えますが、
あなたの価値を下げる(労働条件がよくない案件を呼び寄せてしまう)可能性がある意思表明だということをぜひ心に留めておいてほしいです。
もしあなたがしたい映像制作というが
iPhoneの前で1人で喋りつづけてYouTubeにアップすることなのであれば問題ないでしょう。
しかしもしそうではないなら、
なにか一つでもプロフェッショナルになる、そんな考え方で映像業界と自分のキャリアに向き合ったほうが、あなたの目標に対しての近道となるはずです。
-おそらく本当の意味で〈全部〉ではないから
次に少し職種の話に絡めたお話をしたいと思います。
ここまで何度も、
映像業界では多くのポジションが存在するとお伝えしてきました。
以前ノートでもお伝えしましたが、まったく書ききれないくらい多くのポジションが存在しています。
その中で<全部>という言葉か、これから業界を目指す人にとって、
どれほど不鮮明で、不明確なものなのかはここまで読んでいただいた方なら感じでいただけた方もいるのではないでしょうか?
正直、今の私でも全部をできないのは当たり前ですが、"知らない"部分もあると思っています。
だからこそ"全部"を知る努力は必要ですし、これは実際にやってみないとわからないところも多々あります。
なので、みなさんが思うだろう(そして僕は実際に携わったり聞いたりして)
「こんなことも映像制作なの?」
というのも下記に挙げてみました
・車両運転
・駐車場リサーチ
・お弁当リサーチ
・スマホケース選びのための雑貨屋回り
・1日中電話営業
・撮影中の道路の交通整理
・先輩のお菓子買い出し
いかがでしょうか?
長距離バスのように何時間も運転する車両部のポジションもあれば、撮影中に現場に人が立ち入ってこないように交通整備をするポジションもあります。
みなさんが思うクールでかっこいいクリエイティブにはほど遠い印象を受けるかもしれません。
何をもって映像制作とするのか?
ということは非常に難しく、なんでもかんでも映像制作に当てはめてしまっては屁理屈のように見えてしまうでしょうか?
ただ、この業界でやればやるほど、全てこれは映像制作なのだと実感します。
自分がどこかに就職するために、もしくは案件を得るために、間口広くしたいという意味で「全部・なんでも」と使ってしまう気持ちはわからなくないです。
が、人間には当然得意不得意があるので、
そこをしっかり考えて上でのファーストステップを考えてみてください。
▼目指すべきは【全部できるけどあえて進んではやらない人】
ここまで「全部・なんでも」という意識の危うさについてお話してきました
では具体的に業務において「全部・なんでも」がなぜNGなのか、
そして目指すべきは【全部できるけど進んではあえてやらない人】について
お伝えしていこうと思います。
簡単に結論からまとめると
業界未経験の人だと損をしやすいですよ
ということをお伝えできればです。以下に仕事でよくある例をもとに以下の2パターンを比べていきましょう。
-<全部なんでもやります!>の場合
ではこの場合のよくある仕事の話の流れを一例を挙げてみます。
自分:「〇〇と▲▲ポジションやりますよ!」
相手:「ありがとうございます!◾️◾️の業務もお願いできたりしますか?」
自分:「もちろんできます!」
相手:「ありがとうございます。
では1日稼働××円でお願いしますね!」
-<全部できるけど進んではあえてやらない人>の場合
相手:「では今回は〇〇をお願いします。」
自分:「わかりました。いつも通り××円ですね」
相手:「はい。それと、、
今回人見つからなくて▲▲を××円できる人って知ってますか?」
自分:「××円は厳しいかもしれないですね、、一応、私も過去こんなこと
やってはいるのですが、、」
相手:「それはすごい!ちょっとご相談させてください!」
-複数のポジションをやると損をする可能性がある
複数のポジションを行うということは、これまでの知見や経験で複数のポシジョンを自身ひとりで兼業するということになります。
つまり複数ポジション分本来はギャラが払われるべきなのです。
しかし、予算が少ない現場であれば、
1人分(もしくは1人分+ちょっと)のような普段より少ない金額で進めてしまえればラッキーという考えが当然のようにあります。
おかしいですよね。複数のポシション分の働きをしているのに、
あなた自身は体が一つでしょ?という理論でギャラを正常に計上しないという場合もあるのです。
実際のところは複数ポジションを兼ねる場合、厳密に複数ポジション分の金額という以外にも、落とし所を探って進める場合が多いです。
ただ極端に予算が少ない現場などでは、
明らかに正常ではない金額ラインでの交渉が行われることが多々あるのです。
では今回2つのパターンを見比べてもらっていかがしょうか?
一番のポイントは
金額と業務範囲の主導権がどちらにあるのか?
というところです。
少々大袈裟にしたり逆に省略したりした部分もありますが、ざっくりこのようなことが往々に起きています。
金額の具体でいくらなのか?というところは伏せましたが、
主導権は<あえて進んでやらない人>のほうにあるのがわかるかと思います。
単純な話ですが、
自分側から「あれもこれも私にやらせてください」
というのと
相手側から「これもお願いします」
とでは主導権が所在が違います。
もちろん大前提でとして、
上下関係はなく対等な形で業務をするのがベストです。
なんでもかんでも主導権を握るべき!というわけではありません。
しかし、自らが主張すべきところはしっかりと守っていくことが当然なのにも関わらず、仕事を受ける側の意思や業務範囲を飛び越えて、ギャラが勝手に決められてしまうような歪な関係になってしまうことがあるということです。
-実績が解決の武器になる
あえて進んでやらない人がうまく物事を進めれれる理由として、
もう一つ理由をあげるとすれば、
目に見える実績を持つ
というのがあります。
相手側から業務をお願いをされる立場になるには、過去の実績が確実に必要になってきます。この実績は純粋なポートフォリオでもあり、名刺代わりにもなり、自身の価値の証明になります。
業界に初めて入ろうとする人は当然ながら実績を持っていません。
実績がない中、薄く広く業務を着手しようとしてしまうと、
クリエイティブとしてではなく、純粋な労働力として扱われてしまいます。
純粋な労働力というのは限度ありますから、
(どれだけ頑張っても1日は24時間)、自分が生み出せる価値がすぐ頭打ちとなってしまいます。
まとめると、、、
・自身の業務でしっかりと実績を残す。
・その実績を持って、フェアに業務を進めることができる環境を探し続ける
この二つを意識することが大切なのです。
▼最後に
ここまで読んでいただいた皆さま、本当にありがとうございました。
今回3部に渡って、
映像制作の仕事をしたい!そう思ったら最初に考えて欲しいこと
についてツラツラと記事にしてきました。
簡単にまとめるとするならば、
まずは自分の映像への向き合い方を知って(映像を作りたいのか?お金を稼ぎたいのか?)、映像業界にはどんなポジションがあるのかを調べてみて、その上で自分が就きたいポジションを決める。
そして、そのポジションで実績を作れるように仕事に取り組み、
その実績を持って、しっかりと自分の映像への向き合い方に適した仕事を受け続けるということになります。
正直、、
最初に考えること多すぎ!!
と思われるかもしれません。
考えるよりも先に行動をしろ!という方もいるかもしれません。
なので少し言い方を変えるとするならば、
「やる」と決めたらならとことん調べて考えろ!
です!
調べすぎも考えすぎもないと私は思います。
あなたが映像業界で目指す場所や叶えたいものがあるならばしっかりとそれを見据え準備していきましょう。
今後も、
映像で食べていくとは?
をテーマに、業界知識やキャリアに関して様々なことをまとめていきたいと思っています。
この記事がいつかの誰かのためになれば嬉しいです。
ではまた!