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タケシは、ギャンブル依存症を脱却した話(エッセイ)
タケシの朝は早い。
『ジリ、ジリ、ジリ~!!!』
目覚ましの音が鳴り響く。
眠そうな目をしながらタケシは目覚まし時計を止めて布団から出てきた。
タケシは、毎朝出かけるところがあった。
会社に行くのではない。
それは朝からある場所に並ぶ事であった。
毎日、早起きをして何処に並んでるのかと言うとパチンコ屋であった。
いつも通っているお気に入りのパチンコ屋がある。タケシは何時ものように順番待ちで開店前から並んでいた。
一番先頭に並ぶわけでは無いがいつも10番以内には並んでいた。
ほぼ毎日、朝のオープン前に並んでいるから同じような顔ぶれが並んでいる。曜日によりバラツキはあるがほぼ同じような顔ぶれである。
その人たちの顔を見ていると、ある意味ギラギラしていた。
仕事で成功をしてやる!
あいつには負けたくない!
家族を持ちたい!
なのどのギラギラ感ではない。
当たりの刺激が欲しいと言ったような【刺激】を求めたギラギラ感が漂っていた。もちろん勝ってお金が欲しいと言うギラギラ感もあったのだろうがタケシは、刺激のギラギラ感をまわりの人たちから感じていた。
おそらくタケシも同じようなギラギラ感が漂っていたのだろう。
パチンコ屋の店員が出てきてお店のドアが開いた。
入店待ちをしていた客が順番にパチンコ台を見定めながら入店をしていく。
タケシも昨日チェックしたパチンコ台を目がけて歩いていく。
運が悪いと他の客にそのパチンコ台が取られている事もあったが今日は無事に座る事が出来た。
なぜ、次の日に打つパチンコ台が決まっているかと言うと前日パチンコ屋の閉店頃までほぼ毎日いるからであった。
パチンコ屋の営業時間が9時から23時だから、普通の会社だったらブラック企業極まりない労働時間だが脳が刺激を求めているタケシにとっては、なんら問題ない事だった。
さっそく今日もお目当てのパチンコ台をタケシ何時ものように打ち出した。
いきなり大当たりが期待できるスーパーリーチ!
タケシは興奮しながらパチンコのハンドルを強く握りしめた。
言葉に出さずに心の中で『当たれぇ~。当たれぇ~。』と何度も繰り返し念じていた。
『あぁ~・・・。ハズレた。くっそー。次こそは。。』
タケシはパチンコ台に当ったり大声を出すタイプではないので心の中では様々な葛藤を感じながらパチンコ台を打ち刺激を求めていた。
また、スーパーリーチが来た。
タケシはまた心の中で念じてた『当たれぇ~・・・。』
もう、この世の者とは思えないものに憑依された時に唱える念仏のように何度も何度も念じていた。
その想いが届いたのか大当たり!
その後はフィーバーしまくった。なんだかんだ閉店までパチンコ台を打って今日の勝ち分は20万位になった。
この勝った刺激がタケシは忘れられなかった。
今日は勝ったが大負けした時の悔しさの刺激もタケシは忘れていなかった。
明日に打つパチンコ台を決めてタケシのパチンコ屋の一日が終わった。
翌日は土曜日
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