「筋肉成長のカラクリ:筋肥大の科学的プロセス」
筋肥大のメカニズム
筋肥大のメカニズムはざっくりいうと、「筋肉にストレスが加わる」⇒「筋肉を合成させるホルモンが分泌される」⇒「筋線維が太くなり筋肉が肥大化する」、です。
筋肉にストレスが加わるストレスとは
筋トレにより与えられれるストレスは以下の4点です。
①強い筋張力の発揮、②筋線維の微小な損傷、③無酸素性代謝物の蓄積、④筋肉を低酸素状態にする。
①、②に関しては「物理的ストレス」、③、④に関しては「化学的ストレス」であり、ぎりぎり1回拳上できる重さ、IRM(Repetition Maximum)で「物理的ストレス」が70~90%、「化学的ストレス」が30~50%が目安である。
「化学的ストレス」に関しては、軽い負荷で多くの回数をこなすことで、筋肉内に水素イオンやアンモニアなどの疲労物質が蓄積し、同時に酸素やATP、クレアチンリン酸の不足、活性酸素の発生などが起こり、筋肉内の環境悪化が筋肉にストレスを与え、「物理的ストレス」同様に筋肥大を促す。
なお、人体は同じ刺激が続くと慣れが生じるため、鍛えたい筋肉に対して双方からの刺激を加えるのが効果的です。
筋肉を合成させるホルモンとは
筋肉にストレスが加わると、成長ホルモンが脳の下垂体から分泌され、肝臓に働きかけ、筋タンパク質合成を促進させるIGF-1(インスリン様成長因子-1)が合成、分泌され、筋肉が成長します。
また、同様に心身を男性化させ筋肥大を促進するテストステロンが主に精巣、一部副腎から背分泌され、これが筋サテライト細胞を活性化し、筋肥大を促進させます。
筋肉生成のメカニズム
筋肥大とは
筋肥大とは、筋肉(骨格筋)を大きくなる現象です。
具体的には、骨格筋を構成する筋原線維の本数を増やすか、筋原線維を太くすることにより筋肥大します。
筋原線維の本数が増えるメカニズム
筋原線維を構成するサルコメア(筋節)と呼ばれる、筋肉収縮タンパク質だが、現状この本数を増やすメカニズムは十分解明されていない。
筋線維が太くなるメカニズム
筋線維は長さが数センチにも及ぶ大きな細胞で、複数の細胞核をもつ多核細胞です。そして一つの細胞核で支配できる細胞の体積には上限があるため、筋線維を太くするためには、細胞核数を増やす必要があります。
筋原線維の細胞核が増えるメカニズム
筋線維表面に点在している幹細胞である「筋サテライト細胞」を活性化させることで、細胞分裂により筋芽細胞(筋線維のもととなる細胞)を作り、これを融合して筋官細胞(複数の細胞核をもつ多角細胞)とし、筋線維(筋細胞)と融合することで、筋線維の損傷を修復します。こうすることで筋線維の細胞核の数が増えていきます。
筋サテライト細胞を活性化させる方法
筋サテライト細胞を活性化させる方法は、高強度の筋トレによる筋肉の軽微な損傷、テストステロンの分泌があります。