見出し画像

伸び方いろいろ、目的別ストレッチ素材の選び方

もはや定番化したと言っても過言ではないストレッチ素材。この記事を読んでいるあなたもストレッチ素材の衣類を1着は持っているのではないでしょうか。そんなストレッチ素材には実はさまざまな種類があり伸び方もそれぞれに違います。というわけで今回は代表的なストレッチ素材とその特徴を解説したいと思います。

世界初のストレッチ素材

現在はさまざまな種類があるストレッチ素材ですが、世界で初めてストレッチ素材を世に送り出したのは世界的化学企業アメリカのデュポン社。1958年にゴムのように伸縮する性質のポリウレタン繊維(スパンデックス)を開発してから、その特性を生かして衣料用などに需要が広がりました。ポリウレタン繊維は現在でもストレッチ素材の主流です。

ポリウレタン系ストレッチ素材

現在でも主流であるとご紹介したポリウレタン系のストレッチ素材。ゴムのようにびよ〜んと伸びる感覚が特徴で綿やポリエステルなどと混紡されます。その混紡率は1%〜5%程度が一般的で、綿と混紡したストレッチデニムなどは1%入っているだけで、かなり伸縮します。とにかくびよ〜んと伸びる着心地が好きという方にはオススメのストレッチ素材です。

画像1

しかし、ポリウレタン系ストレッチ素材はゴムのような性質であることから他の繊維に比べ劣化が早いという弱点があります。具体的には伸びたあとの戻りが弱くなり、パンツなどは膝抜けなどの型崩れが頻繁に起きるようになります。現在はかなり改良されていますが、何年も着続けるような衣類には向いていない素材と言えるでしょう。

ポリエステル系ストレッチ素材

現在、海外、国内紡績メーカーからもポリウレタン系ストレッチ素材の欠点を克服したポリエステル系のストレッチ素材が数多く発表されています。その多くはナノテクテクノロジーにより糸の形状自体を変えて、糸そのものに伸縮構造を付与しています。

TEIJIN(帝人) ソロテックス®

帝人フロンティアのソロテックス®は簡単に言うとバネのような螺旋状の分子構造でストレッチを実現した素材。

画像2

伸びるだけではなく、戻り(伸縮回復性)にも優れていることから、型崩れしにくい特徴があります。また、天然繊維と複合しやすいので、さまざま風合いを実現可能。もちろん、ポリウレタン系ストレッチ素材のような劣化が起きにくいことも大きなメリットです。

TORAY(東レ) ライクラT-400®

東レが展開するポリエステル系複合繊維ライクラT400®はPET(ポリエチレンテレフタレート)とPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)の2種類のポリマー成分を複合して伸縮機能を実現しています。

画像3

ライクラ T400®ファイバーは、2種類のポリマーが複合されて1本の長繊維を形成する特殊な種類のバイコンポーネント繊維です。この2種類のポリマーは収縮率が異なるため原糸の段階かららせん状のクリンプ(捲縮)を有し、原糸を熱にさらす加工工程で、さらにクリンプが顕在化します。その結果、仮撚り加工糸を使用した生地や衣服に比べて、豊かな伸縮性が生まれ、快適なフィット感が続きます。

伸縮する仕組みは異なりますが、T400®もソロテックス®同様、伸びるだけではなく戻りが良く型崩れしにくいことが特徴です。

それぞれの特徴と用途

ストレッチ素材が大きく分けてポリウレタン系とポリエステル系に分類されることをご説明しました。それぞれに良いところがありますが、とにかくびよんびよん伸びる着心地がほしいという方にはやはりポリウレタン系ストレッチ素材がオススメです。特にゆったり着たい普段着ならポリウレタン系が良いと思います。その一方でスポーツウェアや仕事着などウェアを酷使するような着用シーンでは戻りが良いポリエステル系ストレッチが向いています。ポリウレタン系と比べると少々窮屈に感じるかもしれませんが、形態安定、形態回復性の良さは外せない機能性ではないでしょうか。

まとめ

ストレッチ素材はどうしても”伸びる”機能に注目が集まりますが、仕事着として毎日着るユニフォームを扱う我々は伸びたあとの戻りのほうに注目します。ちょっと言い方は乱暴ですが、伸びるだけなら誰でもできると思っているくらい。また、衣類を快適に着るためには伸びる以外に肌触りや通気性や吸水速乾性など、さまざまな機能性を考慮する必要がありますので、ただ伸びればいいってものではないのです。(^^)

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?