Day.34 うつ病mimicの診療メモ【総合診療トピックゼミ】
<うつ病に類似した症状を示す内科疾患>
◇甲状腺機能異常
甲状腺機能が低下すると、代謝が落ちてエネルギーの枯渇したような様子に見えるため、うつ病が頭をよぎったら、まず除外が必要な疾患です。採血でTSHやFT4の確認を行います。
◇副腎不全
易疲労感がうつ病の症状に映ります。また、ホルモンの疾患なので、全身に様々な症状が出るため、不定愁訴?ということはメンタル?と思考が流れないようにご注意です。
◇脳炎
脳炎でもうつ症状が出ることがあります。発熱や項部硬直が認められるようなら、MRIや髄液検査を検討します。
◇悪性腫瘍に伴う精神症状
悪性腫瘍が発覚すると、落ち込んでうつ病になることは納得かと思います。一方で、この逆、つまり悪性腫瘍発覚前の初期症状にうつ病がある可能性についても、近年指摘されるようになっています。体重減少など、腫瘍を伴う他の所見があれば、検査を考慮します。
<うつ病のスクリーニング>
次の2つを質問して、いずれかが該当するなら、スクリーニング陽性です。精神科紹介やPHQ-9の実施など、さらなる評価を検討してください。
Question.1
抑うつの気分:この1か月、気分が落ち込んだり、ふさぎ込んだりしたことはないですか?
Question.2
興味の喪失:この1か月、物事に対する興味を失ったり、楽しくないと思ったことはないですか?
<Column>
結局のところ、非精神科医にとっては、精神科疾患だと感じたときに、いかに非精神科疾患を除外できるかが大切だと思います。精神科疾患だと思っても、内科的な問題があるケースは少なくないですからね。