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【ワットプラノーン】涅槃仏の形って作られた時代や国によって違うねんなぁ
ペッチャブリーは自転車でいくつもの良い寺院を回れる、寺好きにはナイスな地域です。
バンコクのように車が多くないし、悠々と観光できるのも良い。
滞在中は朝からホステルの自転車を借りて、色んな寺院を見に行ってきました。
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立派な涅槃仏があるよ、と教えてもらって行ってきた【ワットプラノーン】はプラナコーンキリ国立歴史公園(通称カオワン)のすぐ近くにある小規模な寺院です。
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それにしてもカオワン近くだからか、おさるさんが多い!
ちょっとビビりましたがカメラを向けても全然襲い掛かってくる気配も無く、我関せずという感じです。
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ペッチャブリーで野生ベニガオザルの研究をしている、豊田先生のnoteが面白くて、京都大学総合博物館のミュージアムショップで『白黒つけないベニガオザル』を買ってから、タイでお猿さんを見るとこの子はなんて種類なのかなーと思ってしまいます。
さて、階段を上っていくと一風変わった礼拝堂があります。
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中に入ってみると、壁一面に大きく壁画が描かれています。
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小さな仏像と僧侶の像、僧侶の舎利があるだけの礼拝堂なのですが、壁に描かれた仏陀の体内にいるような不思議な気持ちになりました。
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中央には、施無畏印を結んだ仏陀の絵が壁いっぱいに描かれていおり、東側と西側の壁には1人ずつ合掌した弟子が描かれています。
保存状態があまり良くないのですが、それを差し引いても厳かな気持ちになれる良い空間でした。
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その隣にも礼拝堂があります。
右側を見てもらったら分かるのですが、岩肌に沿って無理やり建てた感じ。
後で紹介する涅槃仏も元々野ざらしだったところに後から建物を設置したので、ここもそうなのかもしれません。
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中には王族の服を着た仏像があり、丸顔でとても優しいお顔です。
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ではメインイベント、美しく整った尊顔と評判の涅槃仏に会いに布薩堂へ。
中には想像以上に大きな涅槃仏がいらっしゃいました。
元々は野ざらしで祀られていたのですが、その姿を見たラーマ4世から屋根を付けるようにと仰せつかったため後から覆うように建物を建てました。
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1997年の涅槃仏の修復作業中に、仏像内部の空洞に青銅、焼き粘土、漆喰、砂岩、銀メッキの木材など、さまざまな素材で造られた仏像が発見されたため、現在は涅槃仏の前に祀られています。
またカオワンは石灰岩で出来ているため、洞窟が多く、そこにもたくさんの祠があり仏像が祀られていたそうです。(現在洞窟部分は閉鎖中)
そのほとんどはアユタヤ様式後期の仏像だと考えられています。
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この涅槃仏は他の涅槃仏とは異なり、仏陀の頭の下に2つの蓮の花の形をした枕があるところで、1つ目の蓮は頭を支え、2つ目の蓮は肘を支えています。
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私はいつも情報を整理してから寺院の記事を書くようにしているのですが、個人的発見がありちょっと興奮しました。
というのも、涅槃仏は、アユタヤ以前の古いものはインド様式で右腕が前方に出ていて、チャクリー王朝など新しい時代のものは肘をまっすぐ下に付け頭に触れるようにしている(寝ころびながらテレビ見てる時みたいな感じ)という考古学的特徴があるそうです。
有名なワットポーの涅槃仏と比べてみると確かにここの涅槃仏は肘が前に出ています。
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私はインドに行ったことが無く写真がないのですが、ネット上の画像では、インド・クシナガラ大涅槃堂の涅槃仏は右手のひらを枕にし頭を床に付けて横たわっているため肘は前方にきています。
ガンダーラの浮彫もたしかに完全に横たわった状態だったなぁと思うと、どういう経緯でひじを付いた図像になっていったのか気になりますね。
さて、立派な涅槃仏を見て満足したので次の寺院へ行くかーと思ったら、象のレプリカがありました。
これがなかなか興味深くて頭や身体にヤントラが書いてあるのです。
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これは寺院だから書いてあるのか、それともアユタヤ時代実際に生きている象にも書かれていたのか。
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ヤントラの意味は分かりませんが、下にはタイ語で「大いなる幸運」と書いているので縁起がいいらしい。
とりあえずお鼻をなでなでしておきました。
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今後の寺院めぐりで涅槃仏を見かけたら、腕や頭の位置などを確認しながら、制作年代と比較してみようと思わせてくれた寺院。
とても静かで雰囲気の良い寺院ですので、ペッチャブリーにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。
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