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【ワットナーククラーン】タークシン王愛が強すぎる寺院
タイと言えば、の有名寺院、ワットアルンの周辺はトンブリー王朝期の首都だったためタークシン王にまつわる寺院がとても多いです。
今日は稀に見るほどタークシン愛が強い寺院をご紹介しようと思います。
タークシン王まみれ!
ワットアルンのすぐ近く、幹線道路を挟んで斜め向かいにある【ワットナーククラーン】
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寺院の門をくぐると、すれ違った人に「ワットアルンは向こうだよ!」と声をかけられました。
いやいやここを見に来たんだと言うと、嬉々として「健康をお祈りして帰って!」と教えてくれました。
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そういうご利益があるのかーありがとう、とお礼を言って奥に進みます。
するとタークシン王が描かれたド派手な垂れ幕発見。
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まあ場所的にタークシン王推しの寺院多いからなと思い、先に見えるお堂へ向かいますと…
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ちょっとタークシン王の銅像多すぎん?
入口にも腹心ふたりを従えた銅像が。
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読経の時間だったため、外から覗くと…
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ここにもタークシン王。
お勤めの最中だったので中には入りませんでしたが、様々なポーズをとった銅像があります。
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この寺院はトンブリー王朝時代には王宮(現トンブリーパレス)から近く、王室行事を催したりしたそうです。
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12月に2週間程しか公開されません
戦に明け暮れたトンブリー王朝時代は、寺院を新しく建設する余裕が無く、すでにその地域にある寺院を修復し使っていました。
この地区の人達のタークシン王愛は非常に強く、彼らにとって今のタイの領土に近い形を作り上げた地元出身のヒーローなのです。
金色が映える壁画
次に本堂へ行ってみます。
施無畏印に托鉢を持った大きい仏像が祀られています。
破風の造形がとても美しいですね!
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小さな路地の中にある静かな寺院なのですが、タイルに建物が映るくらいとても綺麗に掃除されていて気持ちいいです。
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入口には王族の服を着た仏像があり、手に玉のようなものを持っています。
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何よりここは堂内の壁画が素晴らしい!
修復してからあまり時間が経っていないのか、金箔の輝きが際立ちます。
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入口側、仏陀の正面は三道宝階降下。
タイ寺院の壁画は日本の絵巻のように、ひと画面に同じ人を何度も描く異時同図法が使われていることがほとんどなので、このシーンは何かなと調べながら見るのも楽しいです。
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仏像のうしろには降魔成道図。
登場人物ひとりひとりが大きく描かれているので迫力があります。
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なぜ薬師如来なの?
そしてこちらのお堂には少し変わった仏像があります。
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中には本堂入口に祀られていたのと同じく、手に薬壺か果物を持った仏像が祀られています。
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通常、タイの仏像は右肩を出し、薄い納衣が体にぴったりと添ったような図像ですが、こちらはたっぷりとヒダのある納衣が肩と足元を隠しており、胸下には飾り紐が巻いてあります。
結跏趺坐も如来の特徴を示すものです。
清時代・18~19世紀に作られた薬師如来坐像(東京国立博物館蔵)と比べてみると、とても似ていますね。
(著作権により画像は貼れないのでリンクをご覧ください)
一仏信仰の上座部仏教では如来はいないことになっています。
この仏像は寺の伝承では川から流れてきたとありますが、中華系タイ人の多い地域ですし、大乗仏教の仏像があってもおかしくは無いし、対清外交も影響しているかもしれません。
この仏像を見て、入り口で出会ったおじさんが健康を祈って!と言っていた意味がようやく分かりました。
ワットアルンの影に隠れてあまり有名ではありませんが、この地域の特色がよく表れている寺院です。
静かでとても良い寺院なので、ワットアルンに立ち寄ったついでに行ってみてください。
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