魔法の絵筆で彩の世界を取り戻せ『チコリー色とりどりの物語』
塗り絵は好きか?どちらかといえば好きだ。学生時代の美術は一応好成績だった。
それはさておき、モノクロになってしまった世界を魔法の絵筆で救う癒やしのゲームがある。先日よりPS5でプレイをしている。
Chicory: A Colorful Tale チコリー 色とりどりの物語
2021年に発売されたトップダウン視点のアドベンチャーゲーム。現在PCやプレステ、Switch、xboxなどで配信中。シームレスな塗り絵システムと、癒されるデザインが魅力。なお協力プレイも可能。
始まりは好きな食べ物から
ゲームをはじめると早速、好きな食べ物を聞かれる。ちょっとしたネタバレになってしまうので、さらっと進めるが、私は「ブリ大根」にした。
本当は岩塩や筑前煮を検討したが、ゲームに「塩」や「筑」漢字が収録されていないようで表示されなかったので、ブリ大根だ。
入力を終えると物語が始まる。
この世界では、世界に色をもたらすことができるたったひとつの「魔法の絵筆」とその使い手であるアーティストによって平和が保たれている。使い手は歴代継承されており、現在の使い手はゲームタイトルにもなっているウサギの「チコリー」だ。
実際にプレイヤーが操作するキャラクターはこのチコリーではなく、チコリーのファンであり、お家の掃除係。(キャラデザインはイヌ)
物語の説明を終えると画面を操作することが可能になる。鮮やかなで綺麗なチコリーの作業部屋の掃除を任されており、部屋をホウキで掃除していく。
最初は操作に慣れるのが若干難しく感じるが、自分のスティック操作で画面を塗って行くことができるのは、なかなか新鮮で楽しい。
掃除中の異変、世界から色がなくなってしまう
部屋の掃除を続けていると、突然物音とともに急にモノクロになり色が消えてしまった。。。とりあえず掃除を終えてからドアを開けて出ると、作業部屋以外もすべてモノクロになってしまっている。
そしてチコリーを呼ぶがどこにもいない。
チコリーの部屋の前には「魔法の絵筆」が落ちている。プレイヤーは筆を拾うかどうかの選択肢を迫られる。
筆者はどちらかといえば至極真面目でいたずらや悪いことはしない主義、が現実なのだが、ゲームの世界でもそれを発揮してしまった故、「ダメだよ!」を選択。すると何も起こらないので、もう一度筆を選択するとまた同じ選択が。「ダメだよ!」を繰り返し合計3回ほど選択した時、突然のスタッフロールが流れ出し、早々とエンディングを迎えることになった。
みんな、ゲームの中でも現実と同じようにプレイする必要はないんだぞ!時にはいたずら心で楽しまないと!ファンタジックや好奇心を大事にできないやつにはエンディングを喰らわせてやる!ということか。まんまと凝り固まった心を遊ばれたようだ。
そうだよね、そんなやつにこのゲームやる資格ないよね、楽しまないとね。
このままではいかん、とゲームタイトル画面に戻ると、続きからを選択できた。プレイしてみるとまた筆を使うかどうかの選択に戻された。チャンスをくれました。
一旦先程のエンディングはなかったことにして、魔法の絵筆を使うことにした。(ちなみにもう一回ダメだよ!を選択したらすぐにエンディングになったので気をつけてね)
世界に色を取り戻すために奮闘するチコリーのファン
とりあえずチコリーの家から出ると、外の世界もやはりモノクロになってしまっている。
町を歩いて建物や住人に話しかけてみると、世界が突然モノクロになったことへの驚きや、チコリーではないものが絵筆を持っていることや使い手が変わったのかといった疑問、絵筆の使い方などを教えてくれた。
筆の使い方に苦戦するが、色を切り替えたり、筆の大きさを変更したりして画面内のオブジェクトを塗っていくことができる。また長押しするとエリア全体を色づけることもできるようだ。基本的には画面内のすべてに色を塗ることができる。
操作するキャラクターのイヌと筆先は、スティック操作が別々で担っており、イヌを操作して色を塗るのではなく、プレイヤーが塗りたいところに筆のカーソルを持っていくことができるシステムだ。それを生かしたアクションやギミックが存在する。ただ、慣れるまでに時間がかかる印象。
一旦は魔法の絵筆を引き継いだことにして、困っている人を助けたり、筆の使い方を教えてもらいに隣町まで行ったりして冒険を進めていくことになる。とりあえず必要箇所だけ塗って進めていったが、非常に細かく作られているので、時間をつかってきれいな町並みに仕上げることもできるだろう。
意図的にそれをさせて塗り絵のリラックス効果を発揮させようとしているかもしれない。
パズル要素や魅力的なボス戦
ゲームのシステムはアドベンチャーゲームなのでチャプターごとにストーリーがあり、また進めていくには様々なギミックやパズルを解いていく必要がある。そのどれもがこのゲーム特有のギミックで面白い。
色を塗ると発動するギミックや、色を消すことで起こるギミックなど様々なしかけが施されており、難しすぎないパズル要素がちょうどいい。
また、チャプターのボス戦も魅力的だった。若干操作がおぼつくものの、初見でもわかりやすい表現と思ったより難しいボス戦にわくわく感が詰まっていた。ボス戦がなさそうなゲームだったので、まさかアクション要素があるとはと驚きだった。
道中の冒険や魅力的な施設、住人とのふれあい
冒険の道中にはプレゼントが落ちていて、それを拾うとプレイヤーのコスチューム(服や帽子)がもらえたり、筆のパターンが増えたりする。線だけではなく、星型や丸型、ハート型などを書くことができるパターンが使えるようになった。ドーナッツのデザインを依頼されたときに星型を使ってみたりした。これからも進めていくなかでいろんな筆のパターンが増えていくだろう。
また、面白かったのは隣町の美術学校だ。講師の先生に話を聞くと一緒に授業を受けようと誘ってくれる。授業の内容が結構濃厚で、名画の模写だったり、自分で好きに表現をしたり、実際に書いた絵が評論されたり、それが美術館に飾られたり。
町の中には、住民がたくさんいて困っている人がいれば助けるようにしている。また要望もさまざまで、絵筆をつかって解決していく。
ゲームを進めていくうえで塗り絵に集中してしまうことがあるだろうが、町にある電話ボックスへ行くとプレイヤーのママに電話が繋がり、ヒントをくれるシステムが有る。次どこへ行ったらいいのかを教えてくれるので、安心してゲームを進めることができる。塗り絵に集中していいようにできている。
結末はいかに?世界を救うことができるのか?
まだ始まったばかりで美術学校ばかりに入り浸ってしまっているが、果たして結末はどうなるのだろうか。
じっくりと塗り絵をして素敵な世界に仕上げるのも楽しそうだし、もちろんストーリーを進めて行くだけでも十分楽しめるゲームだ。世界観に癒やされながらプレイするのもいいだろう。
早く色を取り戻して、問題解決に挑みたいところである。結末も気になるが、ずっと塗り絵をしてしまいそうで困る。