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【どこよりも詳しい】スワローズ新外国人アンドリュー・スアレス投手徹底分析

こんにちは、シュバルベです( ・∇・)

21年末にスワローズは2人目の新外国人、アンドリュー・スアレス投手の獲得を発表しました。

29歳の左ピッチャーで185cm/88kg。背番号は50番。韓国LGツインズからの獲得となりました。左腕自体、同じく韓国から獲得したデイビット・ハフ投手以来ですね。

1年契約で80万ドル(約9040万)+出来高ということで、やはり昨年末に獲得発表したA.J.コール投手と同じ額になります。

MLB公式のビオグラフィーを見ていると面白いことが書いてありました。スアレス投手は2011年・14年と2度ドラフト指名をされますがカレッジスポーツの名門マイアミ大学への進学&在学を選択し、2015年ドラフト2位でナショナルズに入団しました。大学ではスポーツ心理学を学び、ストレスマネジメントなどを試合にも役立ているようです。

本noteではアンドリュー・スアレス投手のアメリカでの成績とその投球内容を見ていき、今のスワローズにどうフィットしていくか考えていきます。A.J.コール投手についての同じ分析はこちらのnoteで見られますのでぜひ。

なお、フェグリーさんが昨年末にnoteを書かれており、私の言いたいことをすべて書いてくれているのでこの先私が書いていることがどれぐらい有益なのかは分かりません笑。

以下は私個人が事前に知っておきたかったことをまとめてる+オリックスとスワローズの新外国人をコンプリートしておきたい、という自己満足なので流し見程度で見てください笑

1.アンドリュー・スアレス投手の成績

まずはじめに直近2021年のKBOでの数字からみていきましょう。

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22試合に先発し10勝、防御率2.18と素晴らしい成績を記録しました。奪三振率は26.6K%、与四球率は8.7BB%とスタッツ的にも高指標で、被弾もほとんど許していません。ただ1試合当たりの投球イニング数は5.2イニングで、規定投球回を満たしていません。

同チームで昨オフ引退した捕手のイ・ソンウ氏は、スアレス投手のウィークポイントについて次のように述べています。

球数が多いことですね。5回くらいで100球に到達してしまい球威も落ちました。球威が落ちたのは昨年(2020年)アメリカでわずかなイニングしか投げていなかったので、スタミナ不足だったのかもしれません。今年1シーズンプレーしたことで来季は体力的に問題ないとしたら、球数を減らすことが大事だと思います」

なかなか示唆的ですね。逆にストロングポイントについても述べているので、その部分は後の球種編で言及します。

さて、スアレス投手は2018年~20年にかけてMLBでの登板機会も得ていました。これまでのスアレス投手の実績は次のようになります。

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18年がキャリアハイで29試合に先発、イニングもしっかり160イニング超投げて7勝。サンフランシスコ・ジャイアンツの先発ローテーションに入り稼働しました。しかし19年・20年と登板機会を減らし、21年に韓国行きを選択。今年から日本に活躍の場を変える形になります。

KBOでは際立っていた奪三振能力ですが、MLBでの登板では1度も20K%を超えることがなく、HR/9も1を超えてしまいました。与四球率は18年・19年とも10BB%を下回り、制球面に関してはある程度信頼が置けそうです。

次の項目ではアンドリュー・スアレス投手の投球内容を詳しくみていきましょう。

2.アンドリュー・スアレス投手の投球内容

アンドリュー・スアレス投手はどのようなボールでピッチングを組み立てているのか。こちらは2020年MLBで投げた6試合での球種構成です。

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フォーシームとほぼ同じ割合でスライダーを投じており、このボールがスアレス投手の生命戦であろうと推測されます。19年からリリーフに転向したことで自信のあるボールに球種を絞ったのだと思いますが、スライダーは見極められ9イニングで6四球と結果を残せませんでした。

MLB在籍時の球種割合の推移は次のようになります。

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18年に最も先発として稼働していたときはカーブを投球割合の13%投げていましたが、年々減らして20年は計測無し。先発とリリーフの時の球種構成の違いは明白です。

ただし1章で紹介した記事によれば、イ・ソンウ氏は「変化球はスライダーが一番の武器ですが、タイミングを外すチェンジアップもいいですし、ブレーキの利いたカーブも決め球に使えます」(2021年12月21日付室井昌也氏の記事より)と述べており、KBOでの先発復帰に伴いカーブも解禁したと考えられます。

日本でもフォーシームとスライダーを主体にチェンジアップとカーブを混ぜる投球が先発時に基調になるでしょう。右投手ではありますが、スワローズからKBOサムスンに移籍したアルバート・スアレス投手のピッチ構成と極めて似ています。

3.アンドリュー・スアレス投手の球質についての考察

東京ヤクルトスワローズは昨年導入したホークアイデータの一部公開に踏み切りましたが、2022年になってからは削除されてしまいました。ローカルで一部のデータは残っているものの、その理由等は公開されていないので、ここではスワローズのデータは割愛いたします。

でもスアレス投手の球質は気になるので、この2022年の来日外国人左腕と昨年アメリカに戻った元オリックスの左腕アンドリュー・アルバース投手と比べて見ることにしてみました。

比較対象はオリックスのジェシー・ビドル投手、西武のディートリヒ・エンス投手、元オリックスのアンドリュー・アルバース投手で、フォーシームの平均変化量は次のようになります。

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スアレス投手のフォーシームは他の左投手に比べてシュート成分が大きいことが分かります。シュート成分の多寡に関しては、来日の前後でスワローズのホークアイデータを参照した限り傾向はあまり変わらず、スアレス投手のフォーシームは日本でもある程度シュート成分の強いボールになるでしょう。アームアングルもスリークォーター気味なので順当なところです。

回転数は平均2,022回転とやや少なく、オリックス新外国人のビドル投手が2,546回転という高スピンであるのと比べるとかなり両者の球質は異なります。こうしたホークアイがないと分かりづらい違いを念頭におきつつ、今後の試合観戦をすると楽しみが広がりますね。

4.アンドリュー・スアレス投手に期待すること

最後に、スワローズに入団することが決まったスアレス投手に期待することを考えてみましょう。

獲得後間もないころに髙津監督はスアレス投手とコール投手の2人の新戦力について先発起用を考えていると発言しています。

外国人枠は22年も5人まで登録可でベンチ入りは4人までとなります。クローザーorセットアッパーのマクガフ投手と野手の主軸選手であるオスナ・サンタナ両選手の3名に関しては故障などが無い限り登録されることは間違いなく、残り2つの登録枠をサイスニード/A.J.コール/スアレスの3投手で争います。

サイスニード投手は21年シーズンに6勝をあげており実績および来日時期を考えても最初は枠の中に入ってきますが、役割としてスアレス・コール両投手とも先発起用ならばがっつり競わせる思惑でしょう。

いずれの投手も先発として不調だった場合はリリーフ起用に移行することは自明で、そうなった場合はスワローズのリリーフ左腕が手薄という状況を鑑みるとスアレス投手に一日の長がありそうです。

ただ世界的なオミクロン株の流行に伴う入国厳格化に伴い新戦力の来日は遅れています。日本に来たらマウンドもボールも違う上に、トレーニングも改めて必要になるので戦力化されるのは最短でGW明け、遅いと夏に差し掛かるのではないでしょうか。

スアレス投手のライバルになるサイスニード投手も1月末に米国出立予定が、出国前のPCR検査で陽性になったために来日は3月にずれ込みました。

コロナウィルスの影響は年単位で長引くことが想定され、今年のスワローズではマクガフ・オスナ・サンタナの既存外国人選手が遅れながらも2月キャンプ途中に合流できたことを考えれば、新戦力の2人も今年ある程度結果を残すとリスクヘッジとして翌年の契約も見えてきます。

チームの中期的な将来を考えてもスアレス投手が日本の野球にアジャストできるかは影響を与えるかもしれませんね。日本で結果を残し、大金を稼いでJapanese Dreamを掴んでほしいと思います。

ここまで書いていたらまさに本日来日しました!笑

2人ともがんばって!!応援しています!!

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