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・鼈甲のやうな干しいも冬日透く  姫


夫の親友はブランド干し芋の産地、茨城県ひたちなか市に住んでいる。
サラリーマン一家だが、休日農業で名物のさつま芋を育てて、干し芋を作っている。

昨年は妻さんを亡くし、芋作りは休止したが、今年はいつものように送ってくれた。

友の丹精込めた手作りなので、輝くように美しい作品をすぐに食べることはできない。

琥珀色の宝石の如きそれを、しばらく眺め、愛でてから、そのまま頂く。

ほんのり甘く、温もりのある舌触り。
噛み締めると、しっかりとした滋味がじわじわと広がる。
固くなったらトースターで炙る。

デパートなどで干し芋フェアが開かれるが、各県の中でも、ダントツに高価だ。

色、形、味。
3拍子揃った優れもの。

夫の故郷の茨城は、偉大なる農業県だ。
第二のふるさと、愛知県も農産物には恵まれている。

毎年、茨城県米を送ってくれる友人もいる。
干し芋と米の味の勝負は、里に軍配を上げたい。

春隣友の手になる干しいも来 

干しいもに常陸の匂ひ冬ぬくし 

宝石とまがふ干しいも寒の月

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