【OAK】WBC出場選手紹介
ご存知の方も多いかと思いますが、3月に開催される予定のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に向けて各国の出場選手リストが公開されました。我らがオークランド・アスレチックスからは7名もの選手が選出されています。個人的にはこの人数を見た時に「けっこう多い!」と思ったのですが、MLB球団の中ではそんなに多い方ではないようです。残念。
カナダ代表
デンゼル・クラーク
(A)42G 193PA .295/.420/.545 7HR 14SB
(A+)51G 218PA .209/.317/.406 8HR 16SB
クラークはトロント生まれ、21年のドラフト4巡目(全体127位)で指名され入団しました。現在、MLB公式のプロスペクトランキングではOAK傘下13位に位置しています。
右投右打の外野手であるクラークの持ち味は何よりもまず196cm99kgの堂々たる体格が持つ身体能力の高さでしょう。お母さんは1984年のロサンゼルス・オリンピックに7種競技の選手として出場したドナさんで、いとこにはガーディアンズのネイラー兄弟がいるという恵まれた遺伝子を持っており、陸上選手の息子らしくというべきか走力の評価は平均以上とされています。また、初のフルシーズンとなった22年にはA級、A+級両方でFB%が40%を超えるなど打球を上げることにも長けており、身体能力をプレーに活かすこともできている印象です。
オールスター・フューチャーズゲームに選出されたほか、AFLでも打力を披露した22年シーズンはBB%が10%を超えるなど、アプローチや選球眼は悪くなさそうなクラークですが、最大の弱点はこのタイプのプロスペクトらしくコンタクト面です。K%が30%という危険水域で、ここを改善できなければメジャーでレギュラーになることは難しいでしょう。逆に、ほかの改善点は多くなくポテンシャルは青天井と言っても良さそうです。
カナダ代表でのクラークは、センターのレギュラーか代走・外野守備固めのどちらになるかは不透明です。個人的にはスタメンで出られるようになっていると嬉しいですね。
コロンビア代表
ジョーダン・ディアス
(AA)94G 407PA .319/.361/.507 15HR 0SB
(AAA)26G 120PA .348/.383/.545 4HR 0SB
(MLB)15G 51PA .265/.294/.327 0HR 0SB
ディアスは2016年8月に国際FAで入団した選手です。MLB公式のプロスペクトランキングではOAK傘下9位ですが、メディアによってはもっと上の順位にしていることもあります。
身長は180cmに満たないメジャーリーガーとしては比較的小柄な体格で、アジリティの面でもあまり優れていないディアスがどうして選手として高評価を受けるかというと、コンタクトスキルが非常に高いからです。鋭いスイングと卓越したバットコントロールで、来た球を高確率でバットに当てることができます。
弱点はアプローチが積極的すぎることです。初球から振っていくスタイルで三振は少ないですが、同時に四死球も少ないです。そして狙い球はもちろんそうでない球まで振ってしまい、持ち前のコンタクトスキルでバットに当ててしまい凡打に終わることもしばしば。打つべき球だけを振れるようになれば、中軸を担える打者になれるのではないかと期待しています。
なお、選出の可能性が取り沙汰されていたブレイヤン・ブエルバスは残念ながら選出されませんでした。次回以降に期待しましょう。
メキシコ代表
エイドリアン・マルティネス
(AAA)18G(18GS) 89.2IP ERA5.72 FIP6.38 100K 33BB
(MLB)12G(12GS) 57.2IP ERA6.24 FIP5.35 53K 19BB
マルティネスはショーン・マナエアとのトレードで加入した投手で、22年にメジャー初昇格を果たしました。たぶん22年開幕前の公式プロスペクトランキングでは傘下20位台だった気がします。卒業してしまって見れないのでわかりませんけれども。
マルティネスのストロングポイントはブリュワーズのデビン・ウィリアムズのようなリリースのチェンジアップで、上に載せたハビアー・バエズのほかアーロン・ジャッジ、アレハンドロ・カーク、ホセ・アルトゥーベなどから三振を取っています。速球は90マイル台中盤で、シュート成分が大きいですがあまり有効な球種にはなっていません。スピードと制球力は十分あるので、何かしらの改善を加えればチェンジアップとのコンビネーションがより有効になるでしょう。
マルティネスは先発としては支配的になれるほどの出力がないことやチェンジアップという圧倒的な決め球があることから中継ぎ転向も選択肢として考えられています。WBCではほかのメンバーを見るに中継ぎでしょうから、ここでの投球次第ではそのままシーズンもブルペンで過ごすことになるかもしれません。もしそうなったら勝ちパターン入りするだけの能力はあると思います。
イスラエル代表
ザック・ゲロフ
(AA)87G 402PA .271/.356/.438 13HR 9SB
(AAA)9G 38PA .257/.316/.714 5HR 1SB
ゲロフは21年ドラフトの2巡目(全体60位)で指名された選手です。22年にはMLB公式が発表するプロスペクトランキングで全体のTop100に入った実力者で、将来のコアとして期待されています。
右打者のゲロフはパワーとコンタクトのバランスが取れた打撃を持ち味としており、選球眼にも優れています。また身体能力もドラフト当時の評価より高く、公式に至ってはRunツールに60グレードを付けるほどです。守備位置は元々サードですが、最近はセカンドでの出場を増やしています。運動能力の高さや肩の故障歴などからその方が合っていると判断されたのかもしれませんね。
オールラウンドなツールセットから、理想像はメジャー2年目の時のマット・チャップマンでしょうか。その能力の片鱗を大会本番でも見られることを楽しみにしています。
ジェイク・フィッシュマン
(AAA)33G(0GS) 56IP ERA2.25 FIP4.11 54K 21BB
(MLB)7G(0GS) 11IP ERA4.09 FIP2.84 6K 0BB
だいたいこちらの記事で書きたいことは書ききってしまいましたので、こちらをお読みください。大会でもグニャグニャとボールを曲げてほしいですね。ちなみに元アスレチックスで似たタイプのアダム・コラレクもイスラエル代表に選出されています。
パナマ代表
ジョシュワン・ライト
(A+)81G 296PA .274/.319/.361 1HR 5SB
名前くらいは聞いたことあるし映像も10秒くらい見たことがあるけどどんな選手かさっぱり知りませんでした。The AthleticのMelissa Lockard記者のツイートによれば「この人は打てます(Dude can hit)」とのこと。えらいざっくりな書き方。
ライトは173cm88kgというずんぐりむっくりな体格の22歳で、主にセカンドとサードを守るほかレフトやライトも守るユーティリティープレイヤーです。パワーレスではあるもののコンタクト能力はあり、また三振も少ないです。P/PA(一打席あたりの投球数)は約3.6で、これは22年のハビアー・バエズがメジャーで残したのと同じくらいの数値です。このタイプの選手でショートを守れないことから正直あまり将来メジャーに昇格しそうな感じはしませんが、そこそこいい選手のようです。選ばれたからには出場機会を得て活躍してほしいですね。
ジェームス・ゴンザレス
(A)17G(14GS) 70.2IP ERA5.48 FIP5.78 71K 30BB
(A+)5G(1GS) 8.1IP ERA11.88 FIP6.00 5K 6BB
本当に知らない人が来ました。助けてください。 ゴンザレスは188cm116kgの体格を持つ左ピッチャーです。トムベースボールから契約に関するツイートがあったので全くの無名選手でもないのかもしれません。名前すら聞いたことがなくて驚きましたね。スカウティングレポートも見当たらないので速球の最速すらわかりません。大会で投げてからのお楽しみということで。
終わりに
アスレチックスからは楽しみなプロスペクトから聞いたことのない投手まで多種多様な選手が選出されたWBCは3月7日開幕です。贔屓球団からの選手もそうでない選手も楽しみに見ていけたらと思います。個人的にはアメリカ代表のリアルミュート選手を見るのが楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければNoteのフォロー、この記事への「スキ」、Twitterのフォローもよろしくお願いします。それでは次回、またお会いしましょう。
※サムネイル画像はA's公式Twitterの招集告知ツイート(記事内に埋め込みあり)から引用
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