メモに頼るのはもうやめよう
何か疑問に感じたとき、「メモを取りなさい」と言われた事はありませんか?
大事な事はメモしておく事は大切ではありますが、このメモに頼りすぎるにも問題があります。
メモの内容が必ずしも正解ではない
メモを取っていても、聞いた内容に間違いがあった場合。
または相手の発言は問題なくても、何等かの聞き間違いが生じた場合。
こんな時は、仮にメモを取っていても意味がありません。
聞き間違いが生じる事もある
口頭では聞き間違いが生じる事もあります。
「1(いち)」を「7(しち)」と聞き間違えたり。
こういう数字でもミスは、致命的な痛手になります。
それなら間違いないかを聞き返せばいいのかと言えば、それでは今までの会話の中で出た、すべての「1」と「7」を聞き返すのでしょうか?
聞き間違いが生じてしまえば、メモは何の意味もなしません。
メモを見返せと言われても、そもそも間違って書かれたメモを見ても、それが正解ではないわけですし、本人は間違いないと思うだけです。
そうして貯まった不満から、色々とトラブルに発展する事は目に見えています。
聞きながらのメモは難しい
話を聞きながらメモを取るのは、困難なものです。
なにしろ、聞く、情報を整理する、書く、これらを同時に行うわけですから、これ専門の資格が出てもいいぐらいです。
メモを取る間に話を聞き逃したり、話を聞く事に集中してメモを取り忘れるという事も当然生じます。
会話の中で指示を出してはいけない
会話の中に自然と指示を織り交ぜるのもNGです。
指揮命令であるなら、それは指揮命令であるとハッキリと話を区切ったうえで出すべきです。
会話の途中で「あれしてほしい」と言われても、それが指揮命令なのか、
指揮命令と思っても、今すぐやるのか、はたまたいずれ将来的に行うのか、判別がつかないからです。
そして、会話が終わってみれば、その指示と思われる内容も忘れてしまうものです。
そのような、いきなり自然に出た言葉を、ピンポイントでメモをする感覚の持ち主は、よほど仕事が出来る完璧な人なんだなと思います。
しかし、世の中そういう人ばかりではありませんし、やったらやったで「まだやると言ってないだろ」と言われる可能性も考えてしまいます。
もし指揮命令を行うのであれば、会話の中に織り交ぜるのではなく、一度区切りを付けて指示内容を伝えるべきです。
そうする事で、口頭であってもその事が印象に残りますし、メモも取りやすくなります。
文章で伝える事が重要
正確な情報のやりとりには、何が必要か。
それは、文章で伝える事です。
今はパソコンやネットを使って、やりとりが出来ます。
IT企業やWeb業界では、なおさらです。
なら、その文明の利器を使わずして、何を使うのでしょうか。
特にシステム開発やWebエンジニアの仕事は、正確な情報伝達が必要です。
そのために、いつ誰が何を言ったのかわからない口頭は避け、文章で伝えるべきでしょう。
数字も文章にしてしまえば、決して間違いはなく、後で見返す事も出来ます。
あわよくば、そのままコピー・ペーストしてもかまいません。
デジタルな世界は、数字ひとつ間違えるだけで爆発炎上するものが多いのですから、正確な手段を使用して情報伝達を行うべきです。
ところで、なぜ「伝言ゲーム」などというのがあると思いますか?
それは、人間が正確に情報が伝えられないのを楽しむためです。
昔から人間は、情報を正確に伝える事が難しい生き物であると言われているわけです。
だからこそ、正確に情報が伝わる手段を利用する必要があります。
そのためには、情報を伝える側が、相手にメモを取らせるのではなく、自分自身が文書にすればいいだけの話です。
そうすれば、すべての情報が劣化なしに伝わります。
そのための手段が、今は身近に存在しています。
チャットワークでも、Slackでも、Teamsでもなんでもいいのです。
今は情報伝達ツールは世の中にあふれかえっています。
どれでもいいので、とにかく社内で文章の伝達が出来るツールを導入するべきです。
ただし、外部に送信してしまう可能性のあるメールでやりとりするのはご法度です。
コミュニケーションのための口頭と言われるが…
コミュニケーション能力を強化するために、口頭にしているという声もありますが、口頭ではなくてもコミュニケーションは取れるのです。
文章を書くよりも、口頭で伝える方が得意という人もいますが、そういう人は、そもそも情報伝達自体が下手だと思います。
口頭で説明するというのは、説明される側にとっては、聞かなければならないし、聞いた情報を整理しなければならないし、それをメモしなければならないしで、負担が生じます。
一方で、情報を伝える側としては、とりあえず自分が思った事を口にすればいいだけなので、むしろこちらの方がラクなのではないでしょうか。
本当にコミュニケーションが出来る人は、会話も出来るというだけでなく、良い文章も書けるものです。
どのような手段を使っても、人に正確な情報を伝えるのがうまい人が、本当の意味でコミュニケーション能力の高い人です。
しゃべればいいというものではない
当然、ただしゃべればいいという話ではありません。
口数が多くても、聞く側は情報を整理するのが大変なだけですし、活舌の悪い人がしゃべると、確実に聞き間違いが生じます。
ボソボソと声が小さい人でも、とりあえずしゃべればいいと思ってはいないでしょうか。
そんなボソボソ声では、ボイスレコーダーに収音機をつけなければ、聞き取るに値する情報を拾う事は不可能でしょう。
さらにタチが悪いのは、それでも本人は言ったつもりになっている事です。
相手にメモを取れと言うのであれば、そういう自分こそ声優並の発音を身に着けるべきです。
念のために聞きなおしても「もういいました」なんて言われたら、腸が煮えくり返ります。
メモを取れは逃げ口上
ハッキリ言いますけど、「メモを取れ」と言うのは、正確な情報伝達を怠った側の逃げ口上です。
今回の発言自体が、メモを取らない側の逃げ口上かもしれませんが、それならそれでいいです。
ただ、最終的にどちらが正確に情報が伝わるのかというのを、もう一度考えてみてください。
とにかく文章にするべき
もう一度言いますが、とにかく重要な事は、文章にするべきです。
文章にして複数人に共有する事で、常に同じ情報を参照でき、その情報の精度も100%です。
サービスによって無料版は数か月までの期限付きではありますが、文章にすれば、いつでも再確認が出来ます。
口頭で情報伝達を続け、聞く側がメモを取るという文化を続けていたら、必ずミスが生じます。
情報は伝える人間が多いほど、その情報の精度は劣化してしまいます。
そして、いくらメモを取っていても、そもそもメモの情報が間違っていては、意味がありません。
さらにもう一度言いますけど、目の前にPCがあり、ITやWeb関係の仕事をしている人は、必ず文章でやりとりを行うようにしてください。
特にエンジニアの場合は、正確な情報を必要とするので、なおさら文章でやりとりをするべきです。
昔からの習慣で、コミュニケーション能力を鍛えるとして、口頭メモをいつまでも続けるなんて、馬鹿としか言いようがありません。
昔のしきたりよりも、今の確実な手段のほうが大切です。
本当にコミュニケーション能力が高い人は、文章でも情報伝達が得意な人でもあります。
もう社会人であれば、文章よりも口頭の方が得意なんて言わず、文章でも何でも、確実な情報伝達が出来る手段を選んでこそ社会人です。
コミュニケーションも情報伝達も、常に有効なものを取り入れるべきです。