PS5ProとゲーミングPCでは、どちらが良いのか

プレイステーション5Proが発表されましたが、あまりの高額さにゲーミングPCを買った方がいいという話も出てきています。
12万円・・・確かにゲーム機にしては高すぎる。個人的にもそう思います。

ゲーミングPCを作るより安いけど…

PS5Proは、ゲーミングPCを作るよりは安いと言われています。
確かに性能面で観れば、その通りです。

しかし、忘れてはいけない事があります。

PCの用途は多彩

PS5Proは、あくまでもゲーム機です(過去の機種では家電という言い方もされていましたが)。
しかしPCは、ゲーム専用機とは違い、事務作業、動画などの創作活動、動画視聴、ネットで情報を探すといった事も行えます。

PCでは、モニターを見る娯楽の大半を楽しめるだけでなく、事務作業といった仕事を行う事も出来る、いわば万能な機械。いまや生活必需品と言っても過言ではありません。

グラフィックが向上する事で得られる満足とは

個人的には、グラフィックの良さはもう成熟しきっているのだと思います。
今でも十分に綺麗なグラフィックを描画出来ていると思うのに、これ以上そこに注力しても、ゲーム体験が格段に上がるとは思えません。

リアルなゲームを、さらにリアルにすると言っても、リアルにも限界があります。
なにしろ、自分自身が今見ている景色よりも、リアルはありませんからね。

これもあくまで個人的な意見ですが、そこそこきれいなグラフィックで、処理落ちもせず、フレームレートが60fpsを維持できれば十分なのではないかと思っています。

また、ハイスペックなグラフィックを堪能しようとなると、単にテレビにつなげてOKとはいきません。
テレビも4Kや8Kで、リフレッシュレートが144Hz以上サポートしていていなければ、超高性能ゲーム機の性能を最大限に活かす事は出来ないでしょう。
場合によっては、スピーカーも強化する必要があります。

グラフィックの繊細さだけがゲームではない

グラフィックの品質は超繊細ではないにしても、面白いゲームは、たくさんあります。
むしろグラフィックの品質だけがゲームではありません。

特に中小企業やインディーゲームで、高精度のグラフィックを作るのは、開発規模や資金の面からも困難な話です。
だからこそ、それ以上にアイデアで楽しませようというゲームも数多くあります。

多くのゲームは、フルプライスでも7千円程度で販売し、それで元手を取らなければならなりません。
グラフィックばかりに労力を割いていては、それで元手を取る事すら出来なくなってしまいます。
特に今のゲームの開発費は、とんでもなく高くなってきています。
だからこそ、開発費が高騰しやすいグラフィック面ではなく、アイデアの方が受け入れられる土壌を作る事が大切なのです。

SIEは危ない方向性に向かっているのでは

初代プレイステーションでは、中小企業はもちろん、音楽アーティストや映像作家も参入できるようにと、開発機材を安価で提供し、開発の敷居を下げる努力をしていました。
しかし、プレイステーション2が発表されてから、グラフィックや本体の性能が主張され、今となってはプレイステーションは画質の良いゲーム機の代名詞になったのではないかと思います。

中小企業の方も、次第に開発に慣れていったとはいえ、開発費の高騰には悩まされたのではないかと思います。
開発費用が高騰しやすいグラフィック方面の主張を強めていったのは、プレイステーションにおける最大の特徴であり、最大の問題点のようにも思えます。

ハードウェアの性能を主張する方針になると、高性能で生産コストのかかるハードウェアを量産し続ける必要がありますし、ソフトの方でも、そのハードウェアの性能をフルに発揮しなければならず、開発費も高騰します。
顧客の関心も、ハードウェアの性能を最大限に引き出したソフトへと向くはずです。
そうなると、それ自体が開発を行う際の敷居になってしまいます。

高画質を謳わないゲームもPlayStation Storeにはたくさんありますが、その多くのソフトはSteamや他機種でも販売されており、本当にプレイステーションだけのソフトが少ないのも残念な所です。
昔はプレイステーションが独占状態にあり、本当にプレイステーションでしか遊べないソフトも多かったのですが、今はSteamや他機種でも配信され、プレイステーションはそれらのプラットフォームの1つにすぎず、ソフトを作る会社も、安定した利益を見込むためには、出来るだけ売れる手段を取らなくてはなりません。

最悪、ゲーム業界では利益が見込めないという判断が下された場合、ゲーム業界からの撤退も余儀なくされ、PlayStation Storeも閉鎖される可能性だってあります。
そうなれば、12万円もしたPS5Proも、何もできないただの機械のかたまりになってしまいます。

なによりSIEがハードもソフトも作るのにコストがかかる、超高画質の方針へと舵を切ったのは、大きな失敗のように思えます。
思い切って路線を切り替え、初代のように才能発掘みたく個性を重視したソフトを自社でも開発し、開発の敷居を下げ、ユーザーの関心も高性能ではなく個性的なゲームに目を向けさせる必要があったのではと思います。

PS5Proは誰向けのハードなのか

結局の所、プレイステーション5Proは、誰向けのハードかと言えば、超高画質なゲームを手軽に楽しむと言うよりは、超高画質ゲームが遊べるゲーミングPCを作る予算と自信はないけど、超高画質なゲームを遊びたいという人向けなのではと思います。

ただ、一番注意したい所は、PCとは違って、あくまでもゲーム機なので、使えるのはPlayStation Storeからダウンロードしたゲームソフトやアプリケーション、または別売りディスクドライブを購入して使う専用ディスクだけです。

別に高画質にはこだわりなく、ゲームを遊びたいというだけならば、PCを選ぶ方がよいでしょう。
適当なゲーミングノートPC、またはAYANEOやLOG Allyのようなゲームコントローラー付きのゲーミングUMPCでも、よほどスペックが求められるゲームでなければ大半は動作しますし、スペックが必要なゲームでも、意外と奮闘する場合もあります。
なによりもゲーム以外の目的で使えるのがPCの利点です。

PS5Proを買うかどうかは、本当に趣味で決めてしまってもいいとは思いますが、価格が価格だけに、なかなかそうもいかない所が現実です。
プレイステーションのサービスに、よほど魅力を感じるか、本当に現時点で最高のグラフィックを楽しみたい。その気持ちがよほど強いかどうか、考えてみた方がいいかもしれません。

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