見出し画像

マドリード、拝観料0円でどこまで見れるかチャレンジ!

度々NOTEで触れていますが、観光スポットの入場料や拝観料のインフレが世界的に著しい昨今。

バルセロナの拝観料についてはこちらで以前書いています。

そして、トルコは外国人料金がありこちらで以前少し触れました。

どこの国も政府からの補助金が減っていたりいろいろ理由はあるよう。今や欧州でメジャーな美術館や博物館は公立でも拝観料は最低10ユーロはするのではないでしょうか?

今年、ルーブル美術館はオリンピックを前に29%の値上げをし22ユーロになったそうです。値上げによりフランス人の足が遠退いていることから、フランスの新聞社がフランス人に「何ユーロなら訪れるか」とアンケートをとったところ8割を超える人が10ユーロまでと答えたそう。私も個人的には大体10ユーロくらいかなと思います。

それを考えるとイギリスのほとんどの公立博物館や美術館が無料というのはレアなケースです(ただやはり国内では外国人対象に入場料を設けるかどうか議論があるようです)。


多くの市民に親しんでもらうべき芸術

普段の拝観料が10ユーロ超でも、欧米では芸術や公立の施設は多くの市民に親しんでもらうべきという観念が元々広まっています。そのため無料開放の日を設けている自治体が多いです。アメリカに住んでいたときも多くの無料開放の日を利用し、シンフォニーなどの無料コンサートなどにも行きました。

ヨーロッパでも同様で、私の住むバルセロナでも無料開放の日が月に一度ほどあり、それに加えお祭りのときなどの特定の日に無料開放を行っています。ただ、旅行者にとっては日程の関係から無料開放を利用するのはなかなか難しい現状でしょう。

スペインで博物館や美術館と言えば、やはり首都のマドリード。以前マドリードの美術館の無料開放の日を調べるとバルセロナよりずいぶん多いなと感じました。2~3泊すればいくつか利用できるなと思っていたところ、たまたま国際博物館の日があることが分かりマドリードを訪れることにしました。

今回定期的な無料開放と国際博物館の日(5月)を利用して2日半でどれだけ回れるかチャレンジすることにしました。いくつかの博物館や美術館の展示についてはまた追って書く予定なので、今回は無料開放の経験(混雑や待ち時間など)のみをまとめています。

マドリードにある博物館・美術館の種類

民間のものを除くとマドリードには主に4つのタイプの博物館や美術館があります。恐らく多くの人が訪れるのが国立王立でしょう。そのほかにも比較的小さい州立と市立の博物館や美術館もあります。

  • 国立(Nacional)

プラド美術館、ソフィア王妃芸術センター、ティッセン・ボルネミッサ美術館、ラサロ・ガルディアノ美術館は国立でも運営が民間と共同だったり、別途公共団体が運営するためそれぞれで拝観料を設定しているよう。そのため7ユーロから15ユーロとまちまち。

そのほかの国立博物館・美術館は考古学博物館、人類学博物館、ロマン主義博物館、ソローリャ美術館、アメリカ博物館、服飾博物館、装飾アート博物館、今回訪れたセラルボ美術館があります。スペイン政府が直接運営しているので拝観料はどこも3ユーロと良心的です。

国立の博物館・美術館は全て毎週無料開放の日が設けられています。無料開放の日はそれぞれ異なるのでオフィシャル・ウェブサイトで確認を。

  • 王立(Patrimonio Nacional)

王立の施設は王宮やエル・パルド王宮、ラ・エンカルナシオン修道院、ラス・デスカルサス・レアレス修道院、今回訪れたロイヤル・コレクション、郊外のエスコリアル修道院などがあります。

小さな施設を除いてどこも毎週無料開放がありますが、全てEU加盟国の国籍保持者及び居住者一部のスペイン語圏の国籍を持つ者に限定されています。祭日など特別な日の無料開放については制限がないので日本人でも無料で訪れることができますが、年に数日のようです。

  • 州立

マドリード自治州の博物館でマドリード市内にある博物館はラス・ベンタス闘牛場博物館とReal Conservatorio Superior de Música(州立の音楽院)博物館の2館。マドリード市外にあるものも含めて博物館はすべて無料です。今回は州立の博物館は訪れませんでしたが、郊外のセルバンテス邸宅博物館など興味深い博物館があります。

  • 市立(Municipal)

マドリード市が運営する11の美術館や博物館。今回訪れたマドリード歴史博物館やデボー神殿、消防博物館などがあり、プラネタリウム以外は全て無料です。

定期的な無料開放で訪れることができた施設

まず最初に断りを入れておくと、私が訪れた時期は5月下旬で、7月から9月にかけては特に混雑が予想されます。無料開放は外で待つことも多いのですが、マドリードは夏の最高気温は大体東京並みかそれ以上になることもあり、また冬はかなり寒いので注意が必要です。

国立セラルボ美術館

無料開放日:毎週木曜日17時~20時・毎週日曜日、その他特定の祭日など

まずは初日の木曜日に王宮の無料開放(EU加盟国の国籍・居住権を持つ者対象)を訪れようと王宮に向かったところ「本日は特別行事のため閉館」ということでした。どこか近場で無料開放の博物館がないか調べたところ国立セラルボ美術館が面白そうだったので行ってみることにしました。王宮からは徒歩10分ほどです。

開館20分くらい前に到着するとすでに20人強の人が並んでいました。

開館すれば早いかなと思ったのですが、開館時間になっても少しずつしか列が進まず、結局入館できたのは17時20分すぎ。受付が二階の奥にあるのでそこまで行くのに時間がかかること、そしてチケットオフィスで一人一人に荷物は必ずロッカーにいれてくれなどと注意を即すのでかなり時間がかかることが分かりました。

その代わり館内はそれほど混みあうことなくゆっくり楽しめました。普段は3ユーロと美術館にしてはかなり安いので、待ち時間を考えると拝観料を払っても良かったかな?とも思いました。日曜日の朝であれば比較的空いているかもしれません。セラルボ美術館の展示についてはこちら。

王室コレクションギャラリー

無料開放:毎週月~木曜日の18時~20時(EU加盟国の国籍又は居住権を持つ者、特定のスペイン語圏の国籍保持者のみ)、そのほか一部祭日等の特定の無料開放は日本人も対象。

国立セラルボ美術館の後は王室コレクションギャラリーへ。2023年にオープンしたばかりの新しい美術館です。その名の通りスペイン王室のお宝の美術品を展示する美術館。

18時を少し過ぎた時間に到着すると40人くらいの人が並んでいましたが、結構早く進み15分しないで入れました。内部もそれほど混雑はせずゆっくり楽しめたので良かったです。

かつては世界の1~2を争う時代もあったスペイン王室のお宝はやはり素晴らしく、プラド美術館などとまた違って楽しめました。詳しくはこちら。

ソフィア王妃芸術センター

無料開放:月、水~土 19時~21時、日12時半~14時半、その他特定の祭日等
ピカソのゲルニカで有名なソフィア王妃芸術センター。無料チケットをウェブサイトで予約可能だったので予約して行きました。着いたときは20時15分前くらいだったので特に列はなくチケットを見せてすぐ入れました。閉館15分前には「もう終わり」と追い出される感じになるので、結構急いで見ましたが、見たいものは見れました。ゆっくり見たければ19時前には行った方が良いと思いますが、その時間帯は列があるようなので、チケットを事前にとっておいたほうが無難でしょう。ソフィア王妃芸術センターの展示についてはこちら。

プラド美術館

無料開放:月~土18時~20時、日・祭日17時~19時

王宮と共に恐らくマドリードで一番人気の観光スポット。子供のとき訪れていてポストカードを買ったので意外と覚えています。

かなり並ぶとネットに書いてあったので53分前に到着しましたが、すでに40人くらい並んでいました。

列の先頭は先の建物が終わるところ

途中かなり西日が強く暑かったので立っているものやっと。結局地面に座って待ちました。まだ最高気温は25度くらいでしたが、真夏は30度を軽く超えるので西日が当たるようなら結構辛いと思います。18時前から少し列は進んだものの、入館できたのは18時20分。15分前までには閉館するので正味1時間半弱とかなり短かく、主要な作品は見ることができましたが、全ての部屋を回ることはできませんでした。

長い待ち時間や館内の混雑、時間の余裕を考えると拝観料15ユーロを払って入った方がいいなと思いました。プラド美術館の展示についてはこちら。

国際博物館の日に無料で訪れた施設

国際博物館の日はスペインで無料開放される美術館や博物館が多くバルセロナでも利用しています。マドリードでは今回、郊外のエスコリアル修道院とティッセン・ボルミネミッサ美術館を訪れました。

王室エスコリアル修道院

無料開放:水・日15時~18時(夏季は19時)(EU加盟国国籍保持者及び居住者と特定のスペイン語圏の国籍保持者のみ。)、そのほか特定の祭日等。

初日に王宮が閉館していたので国際博物館の日は王宮に行こうかと思ったのですが、いろいろ調べてみると王立はマドリード市内に限らず全てどこも無料ということ。王宮は素晴らしいことは素晴らしいでしょうが、他の国でも王宮はいくつか訪れているので何かちょっと違ったものが見たいと思い、世界遺産に登録されているエスコリアル修道院に行ってみることにしました。

近郊電車がちょうど良い時間がなく1時間以上前に到着してしまいましたが、開館数分前まで誰も列を作ることはなく、がらーん。マドリードの主要観光サイトとのギャップに戸惑いました。正直この修道院が今回の旅で一番心に残っていて、しばらく余韻に浸ったほど。その素晴らしさはまた別途お伝えします。

帰るころには随分混んできましたが、朝一で訪れたので終始ガラガラの中見学ができかなり満足でした。毎週の開放日は午後なのでもう少し混むと思いますが、EU加盟国在住の方は無料開放を利用できるのでお勧めです。エル・エスコリアル修道院についてはこちら。

ティッセン・ボルネミッサ美術館

無料開放:月、土曜日21時~23時、特定の祭日等
バルセロナに帰る直前の夕方に訪れたティッセン・ボルミネミッサ美術館。二日前にチケットが予約できたので予約して行きました。丸1日の開放のため列もなくスムーズでした。館内はそれほどそれほど混みあってはいませんでしたが、特定のビジターの行動によりなかなか見たい絵が見れないことが何度かありました。それについてはこちら。

いつも無料の博物館

州立と市立の博物館は無料のマドリード。たまたまマドリード歴史博物館の前を通ったので訪れてみることにしました。

マドリード歴史博物館

いつも無料なのでガラガラでした。有名な画家の絵もあり、昔のマドリードの地図や絵画など興味深いものも多かったです。国立や王立の博物館に比べると規模も小さめですが、2回目以降のマドリード滞在や長期滞在者にお勧めです。

果たしてどれだけお得に周れたか?

今回周った美術館や博物館の通常の拝観料はこのようになっています。

国立セラルボ美術館…………………….….€3
王室コレクションギャラリー…….…..€14
(ウェブサイト購入は+手数料)
ソフィア王妃芸術センター……..….….€12
プラド美術館……………………..……..…....€15
王立エスコリアル修道院….….….….….€14
(ウェブサイト購入は+手数料)
ティッセン・ボルネミッサ美術館….€13
マドリード歴史博物館……………………無料

合計額€71

これは1人分の拝観料なので2人以上だとかなりの額になることが分かります。ただ、プラド美術館に限っては拝観料を払って見学したほうが無難だなと思いました。

以上以外にも色々訪れましたが、それらも拝観料なしだったので、今回マドリードでは、交通費、食費、宿泊費以外はゼロでした。バルセロナに比べて国や自治体が運営する施設が多い分お得に楽しめるのは嬉しいです。

その他無料で訪れたところも追ってご紹介します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?