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世界遺産、ローマ皇帝も滞在したタラゴナ近郊のヴィラ

世界遺産に登録されているスペイン・タラゴナのローマ遺跡群。タラゴナにイースターの行列を見学に行った時に簡単に紹介しました。

タラゴナ遺跡群は全部で14の遺跡から構成されており、市の中心にあるものが多いですが、市の外れや郊外にもいくつか分散しています。町はずれにある通称「悪魔の橋」と呼ばれる水道橋には前回訪れています。

水道橋に感動したので、他のまだ訪れていない遺跡も見学してみようと、タラゴナからバルセロナ方面に10キロほど行ったところにある地中海沿の町、アルタフヤ(Altafulla)にあるローマ時代のヴィラ(Villa Romana de Els Munts)を訪れてみました。


アルタフヤまでの交通

アルタフヤはバルセロナからは電車で1時間2〜30分ほど。バルセロナとタラゴナを結ぶローカル線上にあります。タラゴナからは電車で10分ほどと近いです。

無料開放の日を利用

このヴィラは国立タラゴナ考古学博物館(MNAT)の運営。MNATはこの他にタラゴナ市内にある考古学博物館、ネクロポリス(墓地)、 ローマ劇場、 市の中心以外にあるセンセーリェスのヴィラと霊廟、ベラ凱旋門、スキピオの塔を運営・管理しています。タラゴナ市が運営する闘技場などのメインの世界遺産と異なり、こちらは第1日曜日が無料となっています(このブログ記事の日付現在の情報)。今回はこの無料の日を利用して訪れました。

遺跡の入り口

ローマ時代のヴィラとは

このローマ時代のヴィラは、アルタフヤのビーチ近くの小さい丘の上に位置し、紀元1世紀に建設されたたとされるラグジュアリーな別荘。タラコ(ローマ時代のタラゴナ)の高い地位の者の別荘だったそうで、ローマ皇帝のハドリアヌスも滞在したと考えられているそう。この当時のヴィラは通常は農場が併設されていたそうで、農場と居住区の二つから成っていたそうです。このヴィラの特徴はリラクゼーション目的で使用されていたことで、大きな浴場もあったそうです。

ローマ時代にタイムスリップ

受付の2階で簡単な展示を見たあとは早速外へ。まずは別荘の周りから。

アーチだけが残っている建物。

こちらもきれいなアーチの残る貯水槽。

豪華絢爛なヴィラ

屋根のある部分が別荘の母屋。2階建てで2階部分にはバルコニーがあったそうです。今は2階部分はすっかり無くなっています。写真を撮り損ねましたが、母屋付近からは海が一望。

別荘の母屋と浴場を結ぶ廊下。

3つの部屋からなるダイニングルームがあった場所。フロアは全面モザイクがちりばめられています。残念ながらカバーがかけられていますが、どんな模様かは見ることができます。合わせて7つの小さな噴水があったそうです。

母屋の廊下。その奥にはいくつもの部屋があります。アトリウムやゲストを向かい入れる部屋など重要な部屋があったそうです。壁には赤を基調に人物などの絵が描かれています。

手前から見るだけで中には入れないので見にくいですが、廊下のモザイクの柄が見えます。

部屋の一つも真っ赤な壁。

充実した浴場施設

浴場の方に移動します。ちょっと小さいキレイなアーチが残っています。裏方用の出入り口でしょうか。当時は奴隷がお風呂を温めていたりしていたそうです。

今のサウナのような温められた部屋があった部分(↓)。床下に熱気を通し部屋を温めていたそうで、レンガが積み上げられている部分は床下。

冷水の浴場。彫刻が飾られて豪華だったようです。

浴場のレセプションがあったドームのある部屋。

浴場の廊下の壁にも網目模様の装飾が施されていました。

なぜかトイレだけが再現されていました。浴場とトイレはパイプでつながっており、浴場で使ったお湯を汚物を流すのに使用していたそうです。

紀元260年頃には火事でヴィラのほとんどが焼失。再建され5世紀初頭まで別荘として使用された後廃墟となったそうです。

訪れてみて

ポンペイ遺跡やエルコラーノ遺跡を見てしまうとかなり物足りない感がありますが、ローマ遺跡としてはまあそこそこ保存状態が良いということ。ローマ帝国の歴史などに興味があるのでなければ、わざわざこのヴィラを見にタラゴナから訪れるほどではないです。

次回はアルタフヤの町を歩きます。町は小さいながらも海岸沿いに昔ながらの家々が並び、丘の上にある町の中心も雰囲気がありなかなかでした。

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