胡乱エルフと夢のエルドラド【冒頭部分抜粋】
太陽がまぶしく輝くタオヤカ草原、今日も穏やかな日常が続いている。ところがそこに場違いな慌てて走る少女が一人いた。幼児に間に合わないのだろうか?いや違う! これは何者かに追われ逃げている姿だ! その証拠に少女の後ろからモヒカン軍団が追いかけている! 体力面ではモヒカン軍団の方が上、このままでは少女は哀れモヒカン軍団に捕らえられてしまう! 嗚呼この世に血も涙も存在しないのか!
「待たれよ! そこのモヒカン軍団! 少女を追いかけてなんになる!」
どこからともなく凛とした声が響く! 思わずモヒカン軍団は振り返る! そこには竹馬に乗騎し全身竹アーマーで武装したエルフ少女がいた!
「なんだお前は、竹馬なんかに乗騎しやがって! そしてお前は部外者だろ! 無関係の者はここから去れ!」
「たった今、私は無関係ではなくなった……貴様、おそらく悪人だな!このバンブーエルフのワッパが相手してやる!」
バンブーエルフ――ワッパは竹馬から下りて竹槍を構える。モヒカン軍団は一斉に手斧を取り出し威嚇する!
「バンブーエルフなどこの手斧の錆にしてやるわ……ものどもやっちまえ!」
モヒカン軍団はワッパに向かって一心不乱に突撃を仕掛けてきた! だがワッパは余裕しゃくしゃくな表情で竹槍をふるい、モヒカンの手斧の連続攻撃を捌いていく!
「こいつ奇妙な身なりをしている割に強い手練れだぞ!」
「このままではオレたちのほうが押し負ける!」
モヒカン軍団はワッパの達人クラスの竹槍捌きに防戦一方だ!
「モヒカン軍団は私のバンブーエルフ式竹槍術の敵ではない!」
ワッパは思い切り力を込めて竹槍を振るった!
「ウワーッ!」
モヒカン軍団はワッパの力を込めた竹槍のスイングに吹き飛ばされノックアウトだ!
「これであらかた片付いたな……む、これはいかん!」
ワッパの視線の先に少女の方に向かう竹槍スイングに漏れたモヒカンの姿が!
「私の足では間に合わない!」
これは大ピンチだ!
その時! ゆらりとノッポと小柄なエルフ少女が現れた!
「ん?」
次の瞬間、ノッポのエルフはモヒカンを掴み回転ジャンプし……そのまま地上に叩きつけた! これはザンギエルフに伝わる体術奥義スクリュー・パイルドライバーだ! モヒカンはこれにはたまらず頭に星を飛ばしノックアウトだ!
「ワッパ、逃げている少女のこと考えて行動しないとだめだよ~、私とインカが少女の安全を確保しに向かわなかったどうなっていたかわからなかったでしょ~?」
「そうだゆ! ワッパは猪武者だからこまるゆ!」
「すまない、ハマナス、インカ。少女の怯える表情を見て居ても立っても居られなくて」
ノッポのザンギエルフ――ハマナスと小柄なポテサラエルフ――インカの怒り顔にワッパは恐縮顔であった。
【to be continued?】