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誰かのために生きるということ:アイドルとファンの場合
世の中には、名前のない関係性というものがある。
アイドルとファン。明確なようでその関係性にも名前はない。
親子、家族、友達、恋人。
相関図があればこの言葉の下には、双方向の矢印が描かれている。
一方で「ファン」というのはアイドルに向けられる一方向の矢印。
じゃあ、「アイドル」は誰にむかって矢印を向けているんだろう。
かつて私は、あるジャニーズグループのファンだった。
小学4年生から高校2年生の
だってほかに言葉がないんだから恋って呼ぶしかない。
初デートなんて、清いもんじゃない。
下心にもとづく戦略的な食事会だった。
彼の好意は十分すぎるほどわかっていた。
わたしが思いを伝えれば、どうにかなってしまうこともわかっていた。
わかっていて、食事の誘いにのった。
年末はなんとなく、みんな早足。
わたしはスターバックスの窓際の席で、その様子をぼんやり眺めていた。
待ってる、と連絡をしたけれど、彼はたぶんこんなふうに早足では来ないと思う。その