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中国で拡大する「アーバンアウトドア」とは?サンダル「SHAKA」が新市場を狙う

中国では近年、キャンプやアウトドアスポーツなどのアウトドア市場が拡大しています。登山のような本格的なアウトドアではなく、近場のキャンプやハイキングのような手軽なレジャー、アーバンアウトドア(城市户外)が若者を中心にトレンドに。その中で、アウトドアグッズやアウトドアウェア市場も拡大しています。そんな注目の市場で新しいポジションを狙うのが、unbotが支援する日本の”アーバンアウトドア” フットウェアブランド「SHAKA」です。

中国アウトドア市場の今と「SHAKA」の中国進出について、ブランドを展開する株式会社ブルームーンカンパニー(以下、BMC)の川原林毅彦・代表取締役とunbotのアウトドア市場担当者でお話ししました。

川原林毅彦・株式会社ブルームーンカンパニー代表取締役(右)、
unbot ・近藤雄介キャンプ/アウトドア担当営業(左)


◆成長する日中のアウトドア市場


−−アウトドアシューズを展開するBMCから見て、今のアウトドア市場は?
川原林代表:
国内のアウトドア市場は拡大していて、その成長とともにブランドも大きくなったという実感があります。コロナ禍でサンダル自体、鈍化していた時期はありますが、市場全体はまだまだ伸びるはず。過去のアウトドアブームと違い、しっかりと根付いた文化に成長して、底堅くなった。裾野も広がって、ライトユーザーのような方もキャンプやアウトドアに行っていると思うんです。

−−遊び方や取り入れられ方が変わったんですね
川原林代表:
本格的なアウトドアギア、グッズよりも、街中とアウトドア両方で履けるような、もしくは両方のスタイルに合う物が好まれています。アウトドアと街中の間の市場、アーバンアウトドアのニーズが生まれてきたのが、この数年の大きなポイントです。
 
近藤:中国市場でも、この2~3年で市場が急激に拡大していて、ライトユーザーはもちろん、 本格派のユーザーもお洒落なアウトドアを楽しみたいというニーズが大半を占めています。ライトユーザーにとってはSNS映えも非常に重要な要素なので、 キャンプの場合はテントやチェアでも差別化されたデザインが求められているように感じます。
 


ライトユーザーの楽しみ方のイメージ 出典:小紅書


−−「SHAKA」の中国進出も中国でアウトドアが流行した頃でしたよね
川原林代表:
2年前に中国の販売代理店から声がかかり、商品を卸し始めました。戦略立てて進出したというより、需要があるから卸すという感覚。中国のアウトドア市場が年間数千億単位で伸びている中で、日本で有名なブランドというところで声がかかったのではないかと思います。ただ正直なところ、この2年は苦戦しています。コロナの影響でインバウンドが止まり、中国内で評判を形成しないままローンチしてしまったことが要因だと考えます。

−−改めて戦略立てて中国市場で戦おう、となったのはいつ頃ですか?
川原林代表:
この半年〜1年ほどです。会社としても第2創業期という形で立て直していて、海外比率を高めることが一つの目標。現状は海外売り上げは全体の1割程度ですが、5割くらいまで拡大したいと考えていて、地の利を活かせる中国市場に力を入れるべきだと考えました。

−−中国市場にはどういった課題がありましたか?
川原林代表:
この2年間は販売代理店に任せきりで、中国市場については情報もなく、成功する方法も事例も、お客の姿も何も分からないという状態でした。販売代理店からは情報が入ってきますが、その情報を精査できるような情報も手に入らなかったというのも課題の一つ。なので、第三者視点で公平に情報提供してくれる人が必要でした。

◆日中の「アーバンアウトドア」消費者の違いは?


−−unbotとの取り組みの中で行ったことは?
川原林代表:まず消費者インタビューを実施し、同席させてもらいました。その中で消費者像の解像度がすごく上がり、また市場でのポジショニングを考える際にも競合他社の動きなどを一通りまとめていただき、どこをベンチマークすべきなのかということまでクリアになりました。
 
立川:「SHAKA」は戦略の肝が「アーバンアウトドア」ですが、中間市場のためグラデーションで実態が掴みにくいことが課題だと考えていました。僕は上海にいるので、市場の実態を吸い上げて提供することを重視したのですが、インタビューの中ではアーバンアウトドアというカテゴリーは日本ほどの発展をしておらず、これから拡大する市場だということが消費者の声から見えてきました。


unbot中国支社で勤務するマーケティングストラテジー部門リーダー・立川陽裕

−−ユーザー像や市場の実態が見えてくる中で日中の違いもありましたか?
川原林代表:似たところが多いですが、中国市場はより機能性を重視することがわかりました。日本はファッション性が重視される傾向が高く、機能性が購入の決め手になることはあまりない。中国はソールの履きやすさ、滑りにくさ、軽さなどがインタビューの中で強調され、特徴的でした。中国市場では「SHAKA」の機能性が強みになるのではないかと思います。
 
立川:実際に「SHAKA」のTmall旗艦店の口コミは「何にでも合う」というファッション面の口コミだけでなく、「履き心地がいい」「歩きやすい」という機能性の口コミが圧倒的に多いんです。


「SHAKA」Tmall旗艦店

川原林代表:次は実行計画を作っていく段階ですが、マーケティング戦略を改めて作り上げたいと考えています。重視するのは「ブランド作り」。まずは評判作り、口コミを重視しており、その意味でもデジタル上の取り組みにも力を入れたいと考えています。
 
立川:評判作りの手法は色々ありますが、まずはKOLの活用が必要です。中国KOLだけでなく、韓国など海外のインフルエンサーや専門家が発信し、マスに広げていっていた他社事例もあります。

−−既に抖音(Douyin)*でKOLの起用を行ったそうですが
*抖音とは…TikTokの中国版アプリ。ショート動画だけでなくEC・ライブコマースも注目されている

川原林代表:Tmall旗艦店の売り上げを取るため「まずは考えるより動いてみたい」という意図でお願いしました。
 
立川:今回の抖音での施策はKOLのトラフィックと広告配信の2つでブランドの注目度を高めること、認知強化の目的で実施しました。10月に秋の行楽をテーマとした商品リンク付きの動画をKOL2人に投稿してもらい、同時期にTmall旗艦店への誘導を行う広告を配信しました。KOL投稿と広告の組み合わせ、また秋の行楽という時流に合わせることで、ユーザーの興味を惹きつけたことがポイントです。

川原林代表:動画のビュー数は計画比2〜3倍ととてもいい結果でしたが、やはりトップの人たちから落とさないと売り上げは動かない。ブランドへの信頼感、ブランド力がまだ足りない。その理由は本当の評判が作れていない、「ブランド作り」ができていないことにあるのだと実感しました。

−−評判作りをする上で、他に行っていくアクションは?
立川:
オンラインだけでなく、オフラインイベントを行うなど両輪で動かしていく必要があると思います。上海などの普段からSNSで発信する若者が集まる街、場所で仕掛けるのが最適です。当社ではこれまでにもオフラインイベントの開催事例があり、ノウハウを活用できるのが強みです。

▼unbotのオフラインイベント事例


上海最大のキャンプ場「英嘉庄园」が開催した一周年イベントへのunbot支援ブランド「FLOWS」の出展をサポートいたしました。同キャンプ場は3割がディープなキャンプ好き。今回のイベントは来場5回以上の愛好家を対象に、キャンプブランドと提携してブランド商品のプレゼントや抽選会を実施。各スポンサーブランドは商品を消費者に宣伝できるブースが設けられ、招かれたKOLが参加・宣伝を行いました。

キャプション>出店ブランドの展示風景
キャプション>出店ブランドの展示風景

川原林代表:特にフットウェアなので、タッチアンドトライをするためのリアルの場は絶対に必要だと思います。リアルの場で情報感度の高い人からマスに口コミを落としていく戦略設計をしていきたい。
 
立川:オフラインイベントを行う際は、オンライン上の口コミ作りが鍵になります。例えば口コミを投稿してくれた来場者を対象に公式SNSで抽選イベントを行う、などのイベントのオンオフ連携が必要です。また口コミはオンラインに貯めていくことが大事。Tmall旗艦店の購入者による口コミ、SNSアカウントのコーディネート画像など、口コミの量だけでなく種類もさまざま必要です。

◆「ブランド作り」でアーバンアウトドアトップブランドに


−−解像度が上がり、やるべきことが明確化したように感じます。今後は?
川原林代表:中国市場については、だいぶクリアになってきましたね。先ほど立川さんが話していたように、韓国や香港、日本から発信するなど斜めからのアプローチもあると考えています。中国に向けた施策でも中国本土だけでなく、周辺国のシーディングも必要だなと思いました。
 
立川:ブラックボックス化して現場の状況が見えない、PDCAが回せないということが大きな課題だったので、そこはこれまでの調査・分析で解決できたのかなと思います。当社はTmallやJD.com、抖音のEC運用や、マーケティング関連で伸びてきた会社なので、店舗の運用も含めてお手伝いできれば嬉しいなと考えています。
 
川原林代表:海外比率50%という目標に向けて、早く中国市場のアーバンアウトドア市場でトップブランドになりたい。そのためにも口コミ評判をしっかり作り上げていくのが数年の課題になると思います。

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