見出し画像

犬も歩けば介護予防⑦ いつもの散歩で

犬の介護予防の鍵となる歩行には、

無題125_20200711053528

、というのが理想です。

散歩には目的に見合った内容がある

いつもの散歩コースで、愛犬の身体にどんな負荷がかかっているかを考えることはありますか?
このとき、真夏の暑い時間帯や、真冬に室内との温度差を考慮せずに外へ連れ出すなどすることを犬の「負担」。
犬の能力、身体機能をバランスして使わせる動きのことを「負荷」と呼びます。

犬のリハビリ、筋力トレーニングや身体バランスでは、この「負荷」を身体にどうかけるか?を主眼に運動をさせます。
器具やバランスディスクを使った筋トレやハイドロセラピーを好む方は、そういった施設へ愛犬といっしょに通うのもよいでしょう。愛犬と参加できる、インストラクターの付いたキャンプや登山を楽しむツアーもあります。

しかし、どこに通うこともなく、ふだんの散歩を工夫することで効果を上げることもできます。愛犬が若いうちから、またシニア犬になっても、負荷をかけることをいつもの散歩に取り入れていくこと。
それが犬の介護予防につながります。

愛犬が高齢になっても、いつまでも楽しく散歩がしたい。
そのためにはどこに視点をおき、どう工夫すれば、適切な運動という意味を持たせた散歩になるのでしょうか。

裏山さんぽ例

いつもの散歩に適切な運動を取り入れるために、冒頭にあった「散歩コースは裏山」を当てはめて考えていきます。

画像2

まず、そういった場所では、道の高低が一定でなく、思いがけない段差やおうとつ、登り下りがあります。
すべりやすい箇所ではグリップを効かせ、よろければ即座に体勢を立て直す反応も必要です。足を上げ、身体をくねらして回り、くぐる動きをしなければ通れない場所もあるでしょう。

立ち位置を変えるのに強く踏み込み、ぬかるみを迂回し、段差を注意して降りなければならないために歩幅も均一ではなくなります。
日照条件により植物の種類も変わり、土の湿り気や匂いも変わります。

状況の予測がきかず、新鮮さの一方でケガなどの危険も考えられます。
特別ではなく自然と、五感と身体機能を研ぎ澄ました行動が引き出されます。これらが、裏山を散歩コースにする効果です。

自然を日常に置き換える

これらの動きを念頭に、あなたと愛犬のいつもの散歩コースに置き換えていけるものを探しましょう。
近くに散歩コースのある雑木林、土地の起伏や古墳などの元々ある地形を活かした公園があるとラッキーです。

画像5

田舎では日常にある風景ですが、都心とその近郊で同等のものを見つけるのはむずかしいかもしれません。
まずは歩道や公園の並木に大きな木を見つけ、その根っこをゆっくりとまたいで歩いてみる。都市でも見つけやすい負荷から始めてみるのはどうでしょうか。

公園があれば、周囲の柵をくぐる、パーゴラの柱や公園入口にあるU字型の車両止めをぐるりと左右に回る、駐車場の車止めをじぐざぐ歩きする/またぐ(車両には必ず注意を!)、階段を昇り降りするなど。

「上手に歩くねえ♫」、「かっこいいねえ!」などと犬を(心から)褒めながら歩くと更にGood!
特にシニア犬には、声かけとおやつでやる気をアップさせるのは大事なポイントです。

※ふだんから運動をしていない飼い主さんの場合には、適切な靴選びのほかに、思うより足が上がっていない、思わぬところでよろけるなど転倒の恐れもあります。注意して行ってくださいね。

無題127_20200713105026

いつもの道で「介護予防」を見つけるポイント(若い犬も行うとよい)

・坂を歩いて、次は小走りでそれぞれ往復する(筋力の負荷、心肺機能を鍛える)

・坂を上下左右に歩く(重心を違えて負荷をかける)

・急坂をかなりゆっくりと往復する
(深奥部にある筋肉への負荷)

・大きな木の根っこをまたぐ
(足を上げることは基本の動作だが衰えやすい)

・植栽や公園の遊具、水栓、ベンチなどの周囲を左右に回る、じぐざぐ歩きをする
(必ず、左右とも行う)

・公園の柵など低くなったところをくぐる(全身の連携が必要で、シニア犬になるほど苦手になる動き)

・狭い箇所で、来た道をそのままの体勢で後ずさる
(後ろ足の筋力が弱ると苦手になる動き。認知症の立ち止まり行動と混同されることも多い)

・小川のある公園に設置された飛び石など。飛び移って移動する
(バランス感覚、知覚)

・芝生、草地、土、砂利、砂、落ち葉、アスファルトなど道の種類にバラエティを持たせる
(五感、脳トレ)

・風や水域、植物や土のほか自然の匂いを嗅ぐ
(五感、脳トレ)

・猫に蝉、カエルや鳥などの生き物の気配を感じる
(五感、脳トレ)

・日光に当たる、雨の日に水たまりを歩く、雪道を歩くなどの天候の違い
(骨を強くする、五感、脳トレ)

・いつもの道とは違う寄り道
(リフレッシュ、脳トレ)

下の写真は草地、アスファルト、砂利、木、土と、それぞれ地面の種類を違えて歩く様子。
生えた草の高さによっても歩き方は変わる。

画像5

本来の犬らしさがお手本

出かけた先の小さな山で、そこがいつもの散歩コースである飼主さんとその犬に出会うとき、その身軽さと歩行のスピード感にまるっきり違いを感じることがあります。犬の身体の動きや使い方がしなやかで美しく、何より生きいきとした印象を受けます。

野山を歩く際の自然な行動と感覚、身体の使い方は、本来の犬らしい動きを引き出してくれるお手本の歩き方です。
四つ足をしっかりと地に着けて歩くことは、犬の心の安定と同調していきます。それは犬の器を大きくすることにもつながっています。

犬種の違いで差はありますが、小型犬から大型犬まで、犬は犬であり、骨格や筋肉の使い方の基本は同じです。
繁殖では犬の小型化が更に進み、細くきゃしゃな体型の犬が増えましたが、小型犬に鍛えた筋力がたっぷりあってもよいのです。
小型化や犬種特有の体型は、犬への負担を作り上げることと同義です。健康を下地にした可愛さも愛犬に与えてあげたいですね。

下の写真は、散歩中にしている犬の仕草を集めたもの。
足かきをする、他犬との挨拶、かがんで匂いを嗅ぐ、ぶるぶるする、
聞き耳を立てる、舌を出す、足を上げる。
小さな動きもシニア犬にとっては全部がリハビリ効果♫

画像6

散歩はコミュニケーション

運動は愛犬の身体に痛みのないことが前提です。
無理をせずにその子のできることから始めましょう。

爪や足裏の毛が伸び過ぎていないか、肉球が乾燥で傷つきやすくなっていないかも大事な要素です。また、草むらを歩くときにはダニ被害にも充分注意しましょう。

愛犬の観察で犬をよく知ることは、飼主さんができる愛情表現のひとつです。
見る目を養い、愛犬の状態や行動、感情の動きなどを汲み取ってあげてくださいね。

散歩の目的はさまざまあり、それぞれ楽しくよいものです。
どんなお散歩でも1番大切なことは、愛犬とのコミュニケーション。
目の前にいる愛犬との時間を大切にされてくださいね!

分かりやすい♬おもしろい♬役に立つ♬「愛犬おうち介護note.」をお伝えしていきます!