コミュニケーションがおっくうな「すずめちゃん」

わたしの部下に「すずめちゃん」という女の子がいる。すずめちゃんは天真爛漫でよく笑い、走るのが早くて義理堅くて、若いのに貯金もちゃんとするしっかりもの。なんだけれど、それはお仕事をしていないときの姿なのです。お仕事中のほたるちゃんは、自分からは人に話しかけないし、だから誰も話しかけないでくださいね、というむっつり顔で、頼まれたことはテキパキやるけど「おお！すずめちゃんやるじゃん！次にさ、もっとこんなことに挑戦してみない？」というと「いや、いいです」と引っ込んでしまう、カタツムリか亀のようなようす。わたしはそんなすずめちゃんを、可愛らしいな、と思っている。周りのオジサンたちは、すずめちゃんにたくさん期待して、たくさん褒めておだててやる気にさせようと頑張った。でもそんなのすずめちゃんには通じないんですね。言えば言うほど、すずめちゃんはどんどんどんどん奥のほうへ引っ込んでいってしまいました。自分が何かに挑戦したり、何かを発言したら返ってくる周りの反応がこわいんです。だからみんなすずめちゃんをそっとしておきましょう。でも、きっとすずめちゃんもわかっている。すずめちゃんはわたしの部下じゃないほうが、きっと前に進めるんだろう。でもすずめちゃんを、まだもう少し、そっとしておきましょう。