「クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST」をよんで
クリエイションに取り掛かる前の準備体操の本
プールで泳ぐ時、身体のコンディションを整えるために準備体操をしますよね。お掃除ロボットで掃除するときには、床に置いてあるモノを片付けます。
クリエイションをする前にも準備体操が必要だ、ということをこの本を読んで気がつきました。
きっと勉強も音楽も、お料理も、良いパフォーマンスをするには準備体操が(言語化されていないだけで)不可欠なのでしょう。この本はそんな準備前の作業にやるべきこと、そのための心構えのことが書いてあります。パラパラと読んでいても力が沸いてきます。
美大はこの本のような授業をやるべき
私は武蔵野美術大学と金沢美術工芸大学(大学院)という2つの美大に通いました。ムサビでは工芸工業デザイン、金美の院ではファッションデザインを専攻していました。
2つの大学の授業カリキュラムで共通していたのは、技法を習得する実習に多くの時間が当てられていることです。
「what(何を)創るか?」や「研究する方法」を学ぶ授業はほとんどなく、HOW(どのような技法で作るか)ということに全フリしています。とりあえず習った技法を使って、何でもいいから作ってみましょう、という授業でした。
色々な技法が身についたけれど、コンセプトを詰める能力を開発したり研究したり訓練する授業が少なかったので、すごく苦戦しました。
またせっかく技術を取得しても、環境や設備によって技術を継続することが難しいこともサステナブルではありません。私は織物も染色もだいすきで、手織り機で織物をしていましたが卒業すると工房を使える環境はなく、習得した技法を活かせる機会は殆どありません。
卒業後にほとんど使わなくなる技術より、コンセプトメイキングや研究の掘下げ方の授業をやるべきだと思います。
クリエイターになりたい人の必読書
大学教員として再び大学に戻ったときに、what(何を創るか)を学べるを授業を10代や20代で受けたかったな、と思いました。つまり、この本に書いてあることを、1年生の前期にやりながらデッサンをやりたかった。
本書には、「たくさんの好きをみつけて、それをまずは真似しなさい。好きなバンドの新曲を、自分で作るみたいなファンアートをどんどんやりなさい、それがあなたのクリエイションになるんだよ」ということが書いてあって、すごく納得した。
優れたクリエイターのソフトウェアを自分にダウンロードして、アウトプットする遊びって単純に楽しそう。私は小6くらいでやりたかった。
まとめ
もし高校生のときの自分に会えるのなら、私はこの本を渡したい。
何かを作ることが好きな子どもたちに、この本をベースにした授業をしたい。
まずは自分の担当している授業に取り入れることができないか、模索したいです。
オースティン・クレオン著 千葉敏夫訳
「クリエイティブの授業STEAL LIKE AN ARTIST」実務教育出版(2012)
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