「海馬万句合」第2回 大賞句&コメント大賞発表
お待たせいたしました。「海馬万句合」第2回、大賞句&コメント大賞を発表いたします。
まず、大賞句はこちら。
題「エノケンの笑ひにつゞく暗い明日/鶴彬」の特選句でした。
海馬による選評では、次のように書きました。
まず鶴彬の句を題として出されて、鶴彬の代作をしてしまうという発想に驚きます。また、それを言語的握力で作品化してしまう力技も、さらにはそれを公の場に提示することのできる決意にも圧倒されます。他にも魅力的な作品、これからもくりかえしどこかで言及される作品がありましたが、「海馬万句合」という場に、川柳史、それも歴史の総体の切りはなされたものではなく、戦前・戦後そして現在にまで現実の歴史と絡み合った川柳史が与える深度と、そこから波及して生み出される広がりを与えてくれたこの句を、今回の大賞句として選ぶのは必然だと思いました。まあ、こんな句を選んでしまうと、選んだ方も何というか責任を負わざるをえなくなりそうで大変ではあるのですが、受け取った以上しゃあねえなあという感じです。川合さん、ありがとうございます。
さて、コメント大賞ですが、こちらは嘔吐彗星さんによる「ずっと前ここには雨が降っていた/今田健太郎(題「おれ」)」についてのコメントを選びました(コメントは作者名発表前のもの)。
大賞句を選ぶ以上に、コメント大賞の選考は大変でした。それぞれの評者のスタイルもばらばらで、短い言葉でのシンプルな評もあり、全句評もあり、YouTube動画での評もありで、読む・聴くのは楽しかったですが、統一的な基準は作りようがないので最後はもう独断しかなく・・・。
その中で、上記の評を含む嘔吐彗星さんの3つの評は端正な文章で、それぞれの句にぴったりの深度での読みを示していて、これからの川柳句評の、これがスタンダードになると素晴らしいなと思うものでした。
嘔吐彗星さんによるあと二つの評は以下の通り。
というわけで、大賞句&コメント大賞が決定、これで「海馬万句合」第2回はついにお開きとなります。長い期間お付き合いいただき、ありがとうございました。第3回、じぶんが元気であれば、来年9月投句でまたやるつもりですので、そのときにまたお会いしましょう!
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