見出し画像

タンザニア 中深煎りとカスタードプリン

深くて落ち着きのある焙煎香。細くて力強い苦味は、途中、酸味とともにまろやかな山となって、余韻でまたひとりになる。

すこし冷めると、酸味が引き立つ。苦味がやわらかになって、コクと一体化するのがよい。

プリンに進む。よく焼いたカラメルたっぷり、しっかりと起立している。カラメルの程よい苦さを、全卵のやさしさを感じる程よい甘味とやさしい口当たりが包み込む。特に後口がプリンらしい。正統派大人の湯煎焼きプリンだ。

コーヒーと合わせると、コーヒーの酸味が引き立つのがよい。カラメルの苦味とは喧嘩しない。それどころか、カラメルだけとプリンを合わせると素晴らしい相性だ。ハッとなる。

元町から丘の上の日伯協会までの道で、偶然見つけた。クラシックな昭和喫茶の内装と雰囲気が心を落ち着かせる。深緑のベルベットの椅子、ランプを模した照明、からんからんと上品な音色のドアベル、プリンが鎮座する金属の食器。神戸らしいおしゃれが散りばめられている。

2021年10月 モトマチ喫茶(神戸・元町)にて

画像1


この記事が参加している募集

いただいたサポートは、本や資料を買い、酒と食の取材旅行に出かけ、地域で対話して知見を深めるために使わせていただきます! 何より応援していただくことが書くことのモチベーションになります。よろしくお願いいたします!