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【日記】訪れる転機

 私は病状を抱えてから、何故か小説や漫画が読みづらくなってしまっていました。頭の表面を文字が滑って行く感覚になり、物語が入って来ないのです。本が大好きなので、とてもつらかったです。

 現在でもその症状はありますが、かなり緩和されました。きっかけは、スマートフォンを持って電子書籍を読み始めたことです。長い間、私はガラパゴス携帯を使っていました。スマートフォンに切り替えてしばらくは電子書籍には触れなかったのですが、無料で読めるものもあるんだと知り、漫画を少しずつ読むようになりました。さっさっさと、気軽に読めます。これは嬉しいと思いました。

 やがて、無料で最後まで読めないものもあるんだと気が付いたり、興味が強く出た物語は紙の本で読みたいなと思ったりして、久し振りに紙の本を買うようになりました。ただ、すぐには読めなくて、部屋の片隅に積んでいました。でも、体調の良い時に紙の本も少しずつ読めるようになりました。

 大きなきっかけは「違国日記」という漫画だったように思います。最初は電子書籍で読んでいて、やがて紙の本で購入して読むようになりました。「違国日記」を読むと、小説やエッセイを書きたいという気持ちがどんどん湧いて来るのです。不思議です。

 先月、映画の「違国日記」を観てから、漫画も読み直していました。昨日、全巻を読み直し終わったのです。完結してしまうのがさびしいくらい、大好きな物語です。等身大の人物が生きています。私の大切な物語になりました。

 ここまで症状が回復するまで、長い時間が掛かりました。何年もの時間が過ぎ、その途中で「どうして本が読めなくなっちゃったのかな」と何度も思い、悩みました。小説家や小説家志望の方が沢山の本を読んでいるとは限らないし、読書量が多ければ良いというものでもないと私は思っていますが、そもそも私は読書が小さい頃から大好きなので、本が読みづらいという自分の現実がとてもつらかったのです。

 けれど、無理に本を読んでも疲れてしまうし、物語が頭に入って来ない現実を再認識してつらくなるので、あまり本を開かなくなって行きました。でも、ずっと「また本を読みたいな」と強く思っていました。

 私に再び読書をするきっかけをくれた、スマートフォン、電子書籍、そして「違国日記」にとても感謝しています。読書をする自分を諦めなくて良かったです。

 転機が訪れる為に、なにがきっかけになるかは分からないものだなと思いました。きっと読書だけではなく、これまで私が歩いて来た時間、これから私が歩いて行く時間の中で、こういったことはあったと思いますし、あるのだろうと思います。

 いまの私が過去の「本が読みづらい私」に思いを伝えられるとしたら、「焦らなくて大丈夫だよ」と伝えたいです。「転機は来るよ」と。

 変わらないものがあることはとても嬉しいけれど、変化することもとても嬉しいなと思いました。これからの私の時間を過ごす中で、とても大きな学びを得られたと思います。忘れずにいたいです。

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