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「彼と彼女の その後 (最終回) 彼と彼女、ついに……( 「夢の中で? 外で? 彼と彼女」 )
なっちゃん おはよー
きょうは、ピースとアースを見に行こう
ちょっと、寒そうだから、あたたかくしてね
ゆうちゃんから LINE。
そうそう、きょうは、ピースとアースの誕生日だからね。
白のコートに、青いマフラーで行こうっと。
シロクマの前には、人がいっぱい。
シロクマのピースとアースが元気に育っているのをお祝いしたい人たちだ。
小さく生まれてきたから、育つかどうか心配だったんだよね。
私は、休みの度に、ここに来てた。
「大きくなったね。ピース、アース」
「ほんとだね。よかった」
「あ、ゆうちゃん、来てたの? なんか、いつもとちがう感じの服だね」
「ま、まあね」
「初めてゆうちゃんに会ったときと、おんなじだ。隣にいた人が、私のひとりごとに返事をしたから、びっくりだったよ」
「僕は、よく会うなあと、思ってたけどね」
「見られてたんだー」
「なっちゃん」
うわ、ゆうちゃん真剣なまなざし。夢の中でみた瞳。
「なっちゃん。なっちゃんと僕のやさしさを合わせて、いっしょに笑って歩いて行こう。なっちゃん、僕と結婚してください!」
ああー
ゆうちゃん、ひざまずいてる。
はずかしがりやなのに……
これは、 これは、 もしかして もしかする?
もしかして じゃないよね
夢じゃないよね
ゆうちゃんが差し出した箱の中には
指輪が、
指輪が 光ってる。
青みがかったダイヤの指輪。
私の好きな曲が、流れている
♪♪♪
「はい」
いつのまにか、たくさんの人達に囲まれていた。
拍手の音が、だんだんと大きくなっていった。
ひとりの女の子が、近づいてきた。
「おめでとう、どうぞ」と、
アースとピースのための花束の中から、少し花を分けてくれた。
青いバラとカスミソウだった
ふたりで
「ありがとう」
ますます、拍手が大きくなった。
女の子のパパらしき人が
「写真、撮りましょうか」
と。
「ピース、アース」
カシャッ
最高の記念になった。
ピースとアースも、カメラ目線で。(私たちのこと、覚えてくれたのかな)
夜、
指輪を箱にしまおうと思ったら、箱の中に、小さく折りたたまれた紙があった。ゆうちゃんからの手紙。
この指輪、ずいぶん探したんだよ。
好きな曲が聴けるし、アラームにもできるからね。
なっちゃんの好きな曲だよ
指輪に話しかければ、いつでも聴けるよ
あー
プロポーズのときに流れてた曲は、この指輪からだったんだね
窓を開けたら 満天の星。
ひとつの星が 瞬いた。
よかったね なっちゃん
これは 天使のささやき?
まさか ね
あ、雪
雪が舞い降りてきた。
ゆうちゃんに知らせよう。
ゆうちゃん 外を見て。
おやすみ
夢でも、会おうね。
♪
♪
♪
Fly Me To The Dream
(終)
⭐︎ ときどき ひとりごと日記
その後の彼と彼女 まで、見ていただいて、ありがとうございます。最後まで書くことができました。スキやコメントが、支えでした。書いているとき、私の心は、ふわふわモードでした。まだ2作目で、拙い文章……恥ずかしいけれど、思いきって書いてみました。書いて、よかったです。
また、この続き、か、ちがうお話を書いてみたいなと思っています。
お話の中の曲名は、「Fly Me To The Moon」 から思いつきました。
大好きな曲です。
(Bart Howard)
ジャズでも、ボサノヴァ調でも、すてきな曲(歌)です。
お話の中では、オルゴール音にしようかどうか迷ったので、ご想像にお任せすることにしました。
動物園か水族館かも、迷いましたので、ご想像におまかせしました。(おまかせばっかりじゃん……)