薬は諸刃の刃
§1. 花粉症の疑いから、記憶の奥へ
最初は、風邪だったんです。
暖かい日、寒い日の波を乗り越えられず、
とうとう微熱、頭痛、だるさ、
鼻水が出てきたので、大事をとって、
2日程のんびり過ごしていました。
引きはじめで押さえ込めたかと思われた
次の日、くしゃみ鼻水が、ど~~っと…
この出方はもしかして、花粉症?
花粉症かどうかの判断って、とても難しい。
たぶん大量の花粉って、花粉症とか関係なく、人体に影響を与えるんだと思うんですよね。
でもって、次の日は人前に出る仕事だったので、ご心配ご迷惑をおかけしないよう、
寝る前に薬を飲んでみました。
すると、数分後…
なんと、マスクの下で、
あんなにダラダラ垂れ流されていた鼻水が、
ピタリと止まり、なんたる爽快感!
嘘でしょ!
普段からあまり薬を飲まないので、
効きがいいのでしょうか?
朝までぐっすりと眠ることが出きました。
しかし、1日1錠タイプ、効果の持続が心配。
でも、その日は1日中、
なんの不快も感じず過ごせました。
さすが研究を尽くしてらっしゃる。
薬って、凄いです。
そして夜、そろそろ血中濃度も薄れた頃かと、
調子に乗って、ビールを飲んでみると、
なんと旨いこと!
なので、その夜は、薬は飲まずに
ほろ酔い気分のまま眠りにつきました。
するとですよ、朝には再び不快まみれ。
鼻水垂れまくり💧💧💧💧💧
やはり、薬を飲み続けなければ駄目なのか?
でも、夜飲むタイプを朝飲んだらどうなの?
なかなかの謎だらけ。
よくわからないので、
今日は飲まずに夜まで待ってみることにする。
いつまで薬を飲まなきゃいけないのか、
ネットで見てみると、
「症状が改善しても良好な状態を保つために
花粉飛散終了まで継続して服用するのが推奨」と書いてある。それって、長くね?
春のスギ花粉の後にも、色々飛ぶんだよね、
たしか…
二週間以上飲む時はお医者さんに相談とも書いてある。それは、なかなか面倒だ。
効き目があって改善されても、
飲用を止めて、また症状がぶり返すのも怖い。
止め時の判断が難しそうだ。
§2. 薬の止め時
以前、処方薬変更後、体調の悪さを感じ、
すぐに再診したところ、医師の単純な処方ミスだということがわかった。
薬を飲んで様子を見ても、なかなか改善しない私の病状に、提案出来ることも減ってきて、
医師の方も疲れていたのかもしれない。
重大な事態には陥らなかったし、
過ちを認め、誠実に謝罪する対応に、
事を大袈裟にすることはせずに
私の心の中で収めることにし、
その後も同じ医師の受診を続けた。
ただ、症状の改善が見られず、ただ薬だけに頼っていることに疑問を感じていたので、
環境を変えようと、必死に転職活動をした。
そして、なんとか次の職場が決まると、
医師にも相談し、
1ヶ月近い有給消化を利用して、
薬を絶つ決断をした。
自分の身体が薬なしでどうなるのか?
そればかりは、やってみないとわからない。
不安はあるが、
飲み続ける不安の方が大きかったので、
一か八かの賭けに出ることにした。
段階的に量を減らす。
離脱症状はすぐに感じた。
耳の奥の方で、ガラスの上で踏んだ砂粒が
擦れてジャリジャリしているような嫌な感じ。
でも、ネットで知っていたので、
そんなものだと焦らずにやり過ごす。
身体の変化に細心の注意を払いつつ、
無理のない生活を続けると、
少しずつではあるが、
ジャリジャリを感じることも、
気持ちの不安定も減ってきた。
そして、1ヶ月が経ち、
新しい環境での新しい生活が始まった。
完全に薬を断ってからも、
いつ何が起きても対処出来るよう、
頻度は少ないが通院は続けた。
新しい仕事にもなれ、
私は大丈夫だとの自信が湧いて出てきた頃、
通院も止めることとした。
その後、私は再発していない。
自らの決断は成功したのだ。
薬は、諸刃の刃。
信用しすぎず、
細心の注意を払うことも必要なのだ。
さらに続く…
§3. 生き方の選択
私は薬からの離脱に成功し、再発から逃れた。
でも、
同じ病気で休職し、復帰、
さらに再発した人を、私は知っている。
知っていたからこそ、
私は無理をせず、再発を回避出来た。
彼は、なる時は自分でわかるからと言って、
くれぐれも無理をしないようにという私の忠告は聞き流されてしまった。
治ったことに喜び、以前と同じように働いてしまう。そして、気持ちが躁状態になって、
また頑張りすぎてしまったのだ。
その時、彼が自分で、
再発の予兆を感じとれていたのかはわからない。
でも、結局、不調へと転がる身体を
自らの意志で止めることは出来なかった。
あの時、もっと強い気持ちで彼に臨んでいたなら、再発を食い止めることが出来たのだろうか?
今となっては、それもわからない。
ただ、私の後悔は今でも続いている。
大事な人の側にいて、力になることが出来なかったからだ。
ならば、どうしたら後悔しないで済むのか、
望む結末が得られる保証はなくても、
日々、それを考えながら、
生き方の選択を続けていくしかないのだ。
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