「科学のなかの文学とはなにか」
ここのところ、ずっと「科学のなかの文学性」について考えている。
きっかけは、二〇一六年に講談社から上梓した『明日、機械がヒトになる』という科学ルポで、アンドロイド研究者の石黒浩先生と対話したことだった。
ぼくはこの本のなかで「人間と機械の境界を探る」、というテーマを立て、そこへアプローチするにあたり、まず2つの方向性を提示した。
その2つとは、「機械の人間化」と「人間の機械化」だ。
前者は人工知能など、人の知性をシミュレーションする技術で、後者はサイボーグやビッグ