はじめてのペア読書で感じたメリットとは?
「ペア読書は、ペアでする筋トレと似ている」
今日はじめてペア読書に挑戦してみた感想です。
・短い時間で高い集中力で取り組むことができる
・より追い込める
・フィードバックや気づきが得られる
というメリットは、トレーナーの補助つきで行うベンチプレスと似ていると思いました。
頭と体の違いはありますが、短時間で質の高いトレーニングが行える点、
得られたフィードバックや気づきを活かそうというモチベーションが高まる点は、まさに両者に共通している点です。
(このnoteもペア読書でうまれたモチベーションで書いています)
読んだ本
今回は、
菊と刀(日本文化の型)
ルース・ベネディクト著、長谷川松治訳
という本を題材にしました。
おそらく自分なら選ぶことのない本なので、その点もペア読書のいいところだなと思いました。
1年ほど前、職場で「お互い読みそうもない本を貸し合って読む」ということをしたことがあります。
私は美術にあまり関心がないのですが、西洋絵画の解説本(ライトなもの)を渡され、とりあえず読んでみました。
その結果、「美術に興味をもつようになった!」というわけはないですが、この作品は面白いなと思った絵を書いた画家は、そういやブリューゲルという名前だったなと、過去の記憶と結びついたり、好きなギリシア神話をモチーフにした絵の解説は興味を持って読めたりと、その本を読む前よりは、美術への関心がちょっぴり高くなり、駅の広告などに目がいくようになりました。
今回のペア読書でも、日本文化や日本人独特の考え方というものへの関心が高まりました。
ペア読書の手順
今回は日経新聞スクラム読みで出会った、マツバラさんとクボタさんと私の3人でペア読書を行いました。
ペア読書をひんぱんに主催されているというマツバラさんにペア読書の手順を教えてもらいました。
▼前半30分:個人パート
目的意識を持って本を読む
▼後半30分:発表パート
読んだ感想を共有、気になったところをディスカッションで深堀る
▼前半パート
前半の個人パートで本を読みますが、30分という限られた時間しかないので、当然、全て読むことはできません。
そのため、自分がその本から何を得たいのか、目的意識をはっきりさせた上で本を読む必要があるとのことでした。
背表紙に書いてある紹介文や、Amazonなどにあるレビューから、その本から得たいことを考えるとよいとのことだったので、「菊と刀」の背表紙を読み、
「日本人の独特な思考や気質とはなにか?」
「日本文化の型とは?」
を理解すること
を今回の読書の目的にしました。
以前の仕事で外国人と一緒に働くことが多かったのですが、信頼関係を築く際に彼ら彼女たちの文化や気質を意識していたこともあり、「外国人から見た日本文化、日本人」という点に興味を持ったのがこれを選んだ理由です。
「目的を決めたら、”はじめに”や”あとがき”を読んで本の概要をつかみ、その目的にあった箇所を探して読むのがよい」
とのことだったので、手順どおりに読もうとしましたが、残念ながらこの本では”はじめに”、”あとがき”と書かれた箇所が見つけられなかったため、とりあえず第一章と最後の章(第十三章)を読みました。
読み方は一文一文をしっかり読む精読ではなく、「ざっと目を通しながら今回の読書の目的に選んだ内容に関係がありそうな箇所を拾い読みし、ピンときた箇所に赤線をひく」という読み方です。
この読み方、普段、本を読んでいるときよりも集中力と頭を使うため、20分くらいで疲れてきます。
疲れてくると、書いてある内容が頭に入ってきにくくなるので、30分が限界だなと思いました。
▼後半パート
後半パートでは、
・それぞれどんな目的をもって読んだのか
・どういうことが書いてあり、どう感じたか
を話していきます。
クボタさんは「日本人の根底にある価値観とは?を理解すること」を目的とし、3章の階層制度を中心に読まれたとのこと。
アメリカでは法の前に平等。だけど日本は不平等が生活の基礎、階層構造が当たり前に染み付いている
不平等も単純な身分だけではなく、家族の階層構造も重んじている
といった気づきを共有し、それに対して、
不平等が当たり前の意識は今もあるのではないか?
たとえば、ジェンダー、所得格差に対する議論やアクションがヨーロッパやアメリカほど盛んではない
という話から、
今の国の制度は明治時代の官僚制度がもとになっている
アメリカではギルド制度がベースになっている、職能が重要
↓
大企業の行動様式がこれに近い。調整ごとが発生した際は、上から落とそうとする行動様式がある。顔を立てる、根回しの文化
と議論が広がっていきました。
私は「日本人の独特な思考や気質とは?日本文化の型とは?」という目的意識を持って読みました。
私が気になったのは、以下の箇所です。
日本人の辞書では、ある個人もしくは国家が、他の個人もしくは国家に辱めを与えるのは、誹謗や、嘲笑や、侮辱や、軽蔑や、不名誉の徴標を押しつけることによってである。
日本人が辱めを受けたと思いこんだ時には、復讐が徳になる。
(中略)
日本人は、彼らが非常に憤慨するあざけりと、降伏条件によれば、一切の軍備を奪われたうえにさらに苛酷な賠償義務を負担させられるという内容を含む「当然の結果」とを、截然と区別するからである。
引用元:菊と刀 第十三章 降伏後の日本人
この箇所を読んだとき、頭に浮かんだのは「任侠道」という言葉でした。
面子や仁義を重んじることを大切にする価値観は程度の差はあれ、我々日本人の中に深く根付いていると思います。
ペア読書ではここから、そうした文化が生まれた背景として、
日本は昔から村文化であり、土地に縛られている
コミュニティを変えづらく、なのでそのコミュニティの中で生きづらくならないようそうした文化が定着したのではないか
と話が発展しました。
現代でも、例えば地方では選挙は政策ではなく人付き合いで選ぶ、仕事で失敗した人に肩書を与えて”出向”として送り出す。
といったところに面子や仁義を重んじる価値観があらわれています。
日本人は外と内の区別がはっきりしており、Twitterで複数アカウント使っているのは日本独特という話は非常に興味深かったです。
このように、「人と読む」ことで話が広がったり、深まったりするペア読書の醍醐味を味わいました。
まとめ
ペア読書への初挑戦して感じたメリットは改めて以下のとおりです。
・短い時間で高い集中力で取り組むことができる
・より追い込める
・フィードバックや気づきが得られる
興味が湧かない本、難しい本の場合は読み出すためのハードルが高いですが、ペア読書を行うことで取っ掛かりがつくれ、その後「続きを読んでみよう」となるメリットもあります。
「イマイチだったな・・・」
という本でも、「どうイマイチだったか?」で盛り上がることもできるそうです。
新聞をみんなで読むスクラム読みでは、種類の異なる記事や考え方を"つなげる”のが魅力ですが、ペア読書では同じ本をみんなで読むことで、一つのテーマを"深堀り"できるのも魅力だなと思いました。
ペア読書、本から学ぶ方法の一つとして、これから積極的に活用していきたいと思います。
日経新聞スクラム読みについて書いたマガジンはこちら↓です。
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