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ひつじ雲
空を埋めて走る白い羊の群れ
頭の先に茜色が差しているのを見て胸がいっぱいになった
自転車ごとぼくは転がり落ちたようで
大の字になって眺めていたのは土手の斜面から見えたそんな景色
好きな子に告白して真っ直ぐにはっきりと断られた今日という日に
とても似合いのフィナーレだなこれは
それから何年かして大人になったぼくはまた恋をして
また同じように粉砕されて夕暮れの直線道路を車で走っていた
失恋して泣いているときに空に浮かんでいるのは
どうしていつもひつじ雲なんだろう茜色まで差しやがって
それにしてもまた真っ直ぐにはっきりと断られたものだ
ぼくが好きになるのはみんな性格のいい子なのだろう自慢したい
モーツァルトのピアノコンチェルトそいつの二十番とやらが失恋に
効くって昔教えてくれたのはぼくを振った片想いのあの子だった
流してるよ今
ひつじ雲に合うよこれ
どうしてわかったんだろうな
茜が差しているよ
胸がいっぱいになる