会社の人間関係問題は人が少なければ避けられる?
転職理由のランキングを見ても、人間関係というのは常に上位である。
就労移行支援をされている方の動画で、「大企業に入社したらやはり人間関係が大変だと聞いた。小規模な会社の方が良かったのでは」という話をされていた。しかし、それはどうなのだろうか?
不本意ながら大中小全ての企業就業を網羅している私が、振り返ってみたいと思う。
結論から言うと、小規模な会社の方が逃げ場がなくなる確率が高いので、辛いという印象が強い。確かに人が多い方が問題は起きやすいだろうが、その分解決方法に何かとバリエーションがあったりもする。
最初の会社は規模でいえば中小企業の中にあたる。数百人程度。しかし、この会社で私は人間関係悩むことはほぼなかった。
それが何故なのかと考えたところ、人の出入りが激しく、組織替えも多く、例え多少合わない人が居ても割と短期間の付き合いだったので、さほど問題ではなかったのだ。それどころか倒産を告げられた終盤では、激しい戦争でかろうじて生き残った兵士達が最後まで戦い抜くような、謎の一体感すらあった。
2番目の会社は大企業。数千人規模。ここまで大きくなると、知らない人の方が圧倒的に多い状態になる。そして、部署毎に小規模な会社の集まりのような感覚で、他部署との距離も遠い。
そこで問題になったのは、退職理由のひとつでもある、部長と主任だ。
入社時の部長と現場で面倒を見てもらった主任は、どちらも尊敬出来る人達だった。ところが、ちょうどなんとか仕事が形になって来た頃に、人事異動で部長が代わった。
まず朝礼で怒号。割腹のいい中年男性だったので、迫力が凄い。空気が変わり、萎縮する。恐怖で心拍数があがった。全体的に成績が落ちていることを怒られているのはわかるが、具体的な話の内容が全く頭に入って来ない。
特に成績が悪い人は名指しされ、何故なのかを詰められて、怒られる。
これが、毎朝続いた。
その結果、一応全体的に成績は上がったのだが、その内容に問題があった。限りなく黒に近いグレーなことをする者が一定数現れたからだ。そのことにより、正統派の営業を貫いていた主任がしばらくして降格になった。更に後任の主任になった人は、黒を白だと言ってしまう部長のお気に入り。
しかし、辞める理由がこれだけならば、微力ながら戦う手段はあったと思う。そうでなくても人事異動で環境が変わるまで、耐え抜くという選択肢もあった。ただ、そうしようとは思わなかっただけだ。
最後に、3番目の小規模な職場。総勢一桁。フランチャイズのカルチャースクールだ。ここは正規雇用ではなく、パートである。
大企業を退職後、労災だった怪我のリハビリ期間を経て、Webデザインの職業訓練を受けた。少しでも好きなこと、得意なことを生かしたかった。しかし、問題なく修了しても今度は一向に転職先が決まらず、取り敢えずで決めたのがそれだった。以前、Officeの資格を取っていたのがここで生きた。サイト作成指導もあったので、かろうじて職業訓練とも無関係ではない。
しかし、雇い主であるオーナーに嫌われてしまう。理由は『愛想がない』ことだった。今度もまた、ASDの特性が邪魔をしたことになる。しかし、当時の私は知る由もない。
確かに私は媚びたり愛想笑いをしたりして、好かれようとするような言動は出来ない。不快感をなるべく与えないようにするのが限界だ。
たまに言われる「何を考えているかわからない」「怖い」は無表情からくるものだと今では知っているが、長い間、そんなことを言われてもどうしようもないと思っていた。
私は当時、生徒からの評判は良かった。向上心ある人達の手助けを出来るのは楽しく、やり甲斐もあった。
しかし、オーナー好みのパート講師は、生徒達には不評であり、「あの人に聞いてもすぐには応えてくれないし、教えてくれてもわかりにくい」とまで言われていた。まさか顧客満足度が評価対象にならないこともあるとは思わなかった。
例えどんなに理不尽でも、小さな組織のトップに嫌われてしまっては、もうどうしようもない。その人がルールで全てなのだ。
その結果、僅か半年未満で退職となった。
実はこのだいぶ後に、もう一度全く別の場所、別の職種で、ほぼ同じような目に遭う。
いずれも面接をしたのはその責任者。採用を決めた人が気に入らないと手のひらを返して来る恐怖。恐らく私の見た目が従順で、気が弱く、常に周りに気を遣うようなタイプに見えるのだろう。
外見と中身にギャップがある人は、小規模な会社こそ警戒して頂きたい。