発達障害だと知らずに転職活動した場合
まず改めて、発達障害は主にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)の3つで構成されており、それぞれの特性の度合いによって千差万別である。
しかし、特性の傾向が似ていると、思考パターンやそれによる行動の結果が似寄る事も多い為、あくまで一例として参考にして頂きたい。
私はASDとADHDどちらの特性も強く、どちらかと言えばASD寄りだ。
新卒で正社員入社した会社は大学で学んだ事と無関係の半導体関係会社で、PCが趣味のひとつだったので選んだ会社だった。とにかく趣味にお金を使いたくて、お金を稼ぐ手段は何でも良いと思っていた。
その会社は吸収合併を繰り返し、人も社名もコロコロ変わった。私自身も色んな部署へ頻繁に異動があり、終始内勤である事に変わりはなかったが、酷い時には数ヶ月単位で違う仕事をしていた。兼務も多かった。
そして10数年後、倒産によって転職を余儀なくされる。そして私は、自分自身に全く市場価値がない事を思い知らされた。
事務という仕事は、誰にでも出来るという位置づけのもので、何年やっていようと、それなりに評価されていようとほぼ意味はなく、それなのに倍率は異様に高い。
しかも求められるのは若さという、自分ではどうにもならないものだ。更に追い打ちをかけられたのは、基本的には経験職種でなければスタートラインにすら立てなかった事だったりもした。
それでも何とか働かなければならない。結婚も無理だった。自分は自分が養うしかない。
その結果、私は少しでも自分に付加価値を付けようと、簿記の資格を取ろうと思い立ち、職業訓練を受ける。数々異動した部署の中に経理があり、一般事務よりは突破口がありそうだと思ったからだ。
今思うと、この選択が大間違いだったのだ。
自分の事は自分が良く知っているなんていうのは、不確かなものだ。非常に頼りない。
何せ私は算数が出来ない。足し算引き算すら桁が増えると怪しいレベルだ。
それでもPCは大好きだし得意でもあるので、何故か経理の実務は出来た。むしろ経理は究極のルーティンワークなので、好きだし楽しいとすら思っていた。それが勘違いの原因だ。
ところが、いざ簿記を習いに行くと、本気で何もかもわからない。何がわからないのかすらわからない。
結果、あろうことか先生の教え方が悪いのだという、失礼極まりない考え方をしてしまう。そもそも自分の脳に生まれながらの問題があるという、最重要事項が抜け落ちてしまっていたことによる大失態だ。悔やんでも悔やみきれない。
経理の実務が出来たと言っても、それはリストラされた担当の正式な後任が決まるまでのほんの数ヶ月の話で、大事な部分は全て上司がやっていたし、当然のようにミスもいっぱいあったのだが、強く責められる事はなかった。それもあくまで臨時だったからだ。今ならわかる。
転職で重要なのは、自分が今までやって来た仕事の棚卸しを行い、自己分析をした結果と照らし合わせ、新しい会社へ向け、自分のどういうところがどうその会社に貢献出来そうなのか、その裏付けになるもはどういうものであるのかを、いかに提示するかである。
やはりここでも、自己分析がキモなのだ。
簿記に全く歯が立たなかった私は、併設されていたOfficeの方に力を入れ、資格も取った。しかし結果的にはその資格も全く関係のない、たまたま知り合いから紹介された営業職に就くことになる。
そして、地獄の門が開く。