淋しい夜に、宮部みゆきを読む
もう10年以上、ひきこもっている。生きたいと思えなくて、でも死ぬ勇気もなくて。現実逃避の日々。誰とも話さない。
なんにもできないから、昔はずっと本を読んでいた。
宮部みゆきさんを読んで、時代小説が大好きになった。
藤沢周平さんとか、京極先生の 巷説百物語シリーズ。杉本章子さん、宇江佐真理さん、諸田玲子さんの捕物帖なんかを、夢中になって読んだ。
海外ミステリもちょこちょこ読んだ。フェイ・ケラーマン、ローラ・リップマン、百番目の男シリーズ(懐かしい。恥ずかしいけど、羊たちの沈黙的な、ヒーロー捜査官ものが好きだった。当時、猟奇殺人ものが人気で、小説や海外ドラマで、それ系の作品がたくさん作られていた)とか。
日本の作家だと、桐野夏生作品や、宮部さんの現代もの読んだときは、衝撃だったな。宮部さんの「模倣犯」とか、暗い内容なのに、大のお気に入り作品で、何回も読み返していた。長編では、火車、理由、スナーク狩り、クロスファイア、R.P.G、どれも夢中になって読んだ。
連作短編ものでは、鳩笛草、淋しい狩人、長い長い殺人、ステップファーザー・ステップ、大好きだったな。どれも名作で、超おすすめだ。
こういう連作短編も、長編とは違った味わいがあって、とても心に残っている。古書店が舞台で、おじいちゃんと孫が活躍する「淋しい狩人」。
宮部さんの十八番・超能力者もの短編集「鳩笛草」。 表題作も好きだけど、「燔祭」が私には衝撃でした(長編クロスファイアの前日譚となります)。
誰もがびっくりする、驚きの語り手!!の「長い長い殺人」。これも大好きだな~。宮部作品の中で、これが特に好き、印象に残ってるっていう人、多い気がする。個人的に、おすすめの一冊。図書館で借りて読んでほしい。
そして、楽しいクライムコメディの「ステップファザー・ステップ」。
これも お気に入り作品だった。こういう軽妙で、楽しい作品もっともっと読みたい !!って当時すごく思ってた。荒唐無稽だけど、楽しくて、どんどん読ませていく。こういう作風なのは、この一冊だけなんだよね。
元警察犬マサとかよちゃんの、蓮見探偵事務所のお話しも、繰り返し読んでいた。←宮部さんファンには、とても懐かしい作品と思う(^^)。
宮部作品の魅力って、代表作の模倣犯、火車、理由なんかは特にそうだけれど、「事件」と「時代」と「家族」の三位一体の面白さ、というか。
ミステリだから、まず当然「事件」があって、そして「家族 」!!
宮部さんの作品には、必ず家族が登場する。
うまくいっている家族も、そうでない家族も描写される。
とにかくたくさんの家族たち。(宮部ファンの人なら、今走馬灯のように、作品に登場した家族の描写が、ばーーっと頭に浮かんだはず !!)
そして、時代。宮部さんて、移り変わってゆく時代をかく作家さんでもある気がして。というのも、初期作品の東京下町殺人暮色の解説?で、宮部さんのインタビューが抜粋されていて。自分の生まれ育った東京深川の下町に、だんだんと高層ビルが立ちはじめて、自分が慣れ親しんだ風景が変わってきている、と。
模倣犯でも、犯人に対するのは、被害者の祖父である、有馬さん。
戦争を経験した、おじいちゃん世代の方でしょう?その人から、若い世代の犯人はどう見えたのか。移り変わっていく世の中は、どう見えたのか。街や人は、どのように変わったのか。
宮部さんの作品には、特殊な人は、あまり出てこない。犯人も、被害者も、事件を調べる刑事も、事件に翻弄される家族も、みんな普通の人。
みんな私と同じように、普通で、淋しくて、寄る辺ない。
私は20代の頃が、最も病んでいた時期で、読書だけが、唯一の慰めだった。
宮部作品は、本当に夢中になって読み、読んでいる間は、淋しさを忘れていられた。
この文章、宮部さん好きの人の目に留まってくれるといいのだが。
初期作品について書いたから、懐かしい~!!と思ってもらえると嬉しい。
時代小説も、大好きな作品がいっぱいあるから、いつかそれについても、書いてみよう。
では、読んでくださった方、ありがとうございました(#^^#)。