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【詩】笛ふきヤカン

祖父母の家には笛ふきヤカンがあった
水が沸騰すると笛みたいな音が鳴るやつ

トースターも
手動のもので
よく祖父が食パンを真っ黒に焦がしていた

ふたりは
緑茶を好んでよく飲んでいて
暑い夏でも熱いお茶を飲んでいた

祖父と毎朝一緒に散歩して
田んぼを抜けると一軒だけコンビニがあって
そこで缶コーヒーを飲みながらの一服

祖母が作る
お鍋いっぱいのおから
炊飯器に5合炊く油揚げごはん

懐かしいと思うし
笛ふきヤカンの音も聴きたいし
また食べたいと思うけれど

この世界には ふたりはもういない
残ったのは優しいおもいでの数々

おもわず涙腺を弱くさせるような
優しいおもいでたち


【34歳のぬくもり】

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