絵は嘘をつかない
言葉ではなんとでも言える。
腹の底では違うことを思っていても
面目や人脈や立場のために
思ってもいないことを言える。
自営業の家に育って
お愛想よくね、と言われて。
大人たちはさっきまでニコニコ話していた人の悪口を言うこともあった。
目の前の人が言っていることが本当か
わからない。
わたしは人が怖くてしょうがない。
でも
芸術は誤魔化せない。
絵はその人のひとの心を映すとよく言われる。
去年は私は裸の女の人ばかり描いていた。
そうしたら友達に
「何をそんなにさらけ出したいの?」
と言われた。
ちょうど自分に自信がなくて
いろんなところに顔を出したり
足を突っ込んだりして
手っ取り早く認めて欲しくて、
マッチングアプリに登録するも。
気に入られるためにニコニコしたり
なんの暇つぶしにもならないし
心から好きじゃない人と何もする気になれなくて。
褒められても本当だと思えなくて、
いっそのこと何にも纏わない自分で
生きたいと思っていたときだ。
芸術を前にすると嘘はつけない。
だからわたしは
言葉に代わるコミュニケーションツールとして
取り憑かれたように絵を練習しているのかもしれない。