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思わぬ経験
今日、足が痛む母を、マッサージと電気治療をしていただくために、予約してあった近所の鍼灸の治療院へ連れて行った。
初回がとてもよかったらしく、母の疼く足がだいぶ良いという。本当にありがたい。というわけで、今日は母のリクエストで2回目だった。
その母の治療が終わるまで、わたしは待合室で本を読んでいた。
すると、壁に、エステの案内の小さな貼り紙がある。
治療院でエステ?と思い尋ねてみると、受付に座っている奥様がエステご専門だとおっしゃる。なんだか不思議なくみ合わせだけれど、ご夫婦でお仕事をされているということのようだ。
気になった。
エステは今や普通なのだろう。もう20年も前、仕事仲間が普通にエステに通っていた。けれど、わたしはまだ一度もそういう類いのところに足を踏み入れたことがない。大体、知らない人の前で肌を晒すことに強い抵抗がある。
それに、旅行先のエステを覗いてみてみると、夜のフランス料理フルコースほどの料金表が並んでいる。それならば、美味しいものを食べた方がいいではないかと、まあ、贅肉を取るより、付ける生き方を選んできている。
そのエステを初めて挑戦してみた。
とにかく、気にはなっていたのだ。エステって、いったい、どんなことをしてるんだろう?と。
すると、実にリーズナブルな料金で、一回でもOKですよとおっしゃる。それから、部屋をご覧になりますか?と、治療院の奥を見せていただいた。そこは、小さなピンク色のお部屋で、オルゴールの音が流れていた。
そこに足を踏み入れた途端、あ、やっていただこうと思った。
最近、とても疲れていて、そのピンク色のベッドで寝たい!と思ったのだ。あの硬い椅子で母を待つより、ずっと快適だ。ちょっと不謹慎な発想だったけれど、結果、そのベッドに横になって大正解だった。
記憶があったのは、ほんの数分、あとはきっといびきでもかいていただだろう。時々目が覚めるのだけれど、またすぐに眠りの世界に引っ張り込まれる。驚くほど気持ちがいい。考えてみると、人にこれほど顔を触られることはなかったはずだ。結婚式の時だって、これほどじゃなかった。人の手って、こんなに気持ちいいんだ〜と思いながら、またもや、だんだんと記憶が遠のいていく。
それから、リンパに詰まった老廃物を流しますね、といわれて、クリームをたっぷりと塗られる。といっても目を閉じているので、一体何が起こっているのか、さっぱりわからない。すると、弱い電気が肩から顎にかけてゆっくりと滑っていく。目の下や瞼にも。
初めての経験だ。ピリピリと刺激があるけれど、そこがなんとも気持ちいい。肩こりに効く。あ、そこそこ、気持ちいいいいいとなった。
どれほど横になっていたのだろう。最後に紅茶をいただいて終了だった。
お顔が中心のエステと説明を受けたけれど、肩から首にかけてとても丁寧にマッサージをしていただけた。リンパなんてほとんど意識することなく暮らしていたけれど、その詰まりを流すとこれほど気持ちがいいってことを初めて知った。
わたしは化粧水も乳液も美容液もパックも20年ほど使っていない。ザーネクリーム一本だ。肌が弱いのだ。あ、日焼け止めだけは塗るけどね。美容にうるさい方にはドン引きされるような生き方をしているけれど、まあ、特に問題はない笑。
知らない世界ってまだまだあるものだ。
今日は、母のおかげで思いもよらない経験ができた。
※最後までおよみいただきありがとうございます。