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DX推進のKPI設定の異様(投資額の増大が偉いとされた時代の終焉)
STDの伊藤です。本日はDX推進におけるKPI設定の課題について考察します。
DX推進においておそらく皆違和感に感じていながら、どの企業も目をつむって突き進んでいるのがKPI設定です。
こと事業投資におけるKPI設定は、”投資に対しどのぐらいの効果が得られるか”といった指標で設定されることが多く、その効果とは追求すると”PLにどのくらいインパクトを示すか”であります。
それがシンプルであり、PLにインパクトを示さない投資はその必要性が示しにくくなるのでGoされず、結果事業活動の健全性が保たれる構造になっています。
一方でDX推進(DX投資)に関するKPIはどのようなものが多いでしょうか。各企業のDXレポートや統合報告書等を見ると明らかですが、この数年来、DX推進におけるKPIにDX投資額が入っている企業が多くみられます。
通常のビジネスの概念ではイレギュラーな指標管理ですが、DX推進においては”不確実性が高い””単年度で効果がでなくても、継続的な投資が望ましい”とする風潮があるため、そのような概念での推進が多いのだと推察されます。
実際に、DX銘柄(デジタル技術を活用して業務改革や新たなビジネスモデルの構築に成功した企業を選定する制度)における調査項目のガイドラインにおいても、「定量的なリターンの大きさやその確度を求めすぎず必要な挑戦をしている」と記載されています。
このような情報や視点から、DX推進においてはPLにインパクトを出すような効果指標よりDX投資額に目標値を置くような傾向が出ているのがこの数年の動きです。
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実際にDX投資額は膨らんでおり、2030年には2021年度比で約3倍になるとされ、6兆円を超える規模の市場になるとのデータも出ており、投資額の増大は加速化していると言えます。
伸びる投資額の一方で、DXの導入に対する課題の上位には”費用対効果が不透明”と出ています。
DX投資額は増加傾向にあるものの、DX導入の課題では約44%が費用対効果が不透明と回答。投資は増えるが効果は出ていない。これが今企業が対峙しながらも目をつむっている課題感となっている。
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このような背景や現状が続いた現在では、効果指標を置かないDX推進には限界が来ていると考えており、感覚値が入りますが、ここ1~2年でDX推進に要求されるKPI指標は”成果=PLインパクトを出す指標”が追加される(追加を要求される)と考える。
この数年続いたDX投資額をKPIに設定し、投資を伸ばすのが偉い時代は終焉を迎えつつあるだろう。
投資が3倍に膨れ上がり、効果は出ない、そのような状況を投資家や経営が良しとし続ける世界はあり得ないからです。
では、PLインパクトを出すDX推進をするためにはどうすべきか。事業部単位でDX推進のテーマ策定=事業×DXの戦略策定を行うと同時にそのテーマに対するKPI策定とモニタリング機能を設定することが重要である。
いつまでもDX・IT部署がDX推進の責任を負い、推進する構造では、PLインパクトを出すKPI設計はしにくい。
なぜなら、PLインパクト=事業との連動性の高さになるからである。事業部が責任を持ち、事業の変革をDX手段で設計し、その実現に対するKSF(キーサクセスファクター)を定義し、KPIを設計する。当たり前の事業活動に変革を・DXを取り入れた構造を追求することで実現するであろう。
事業部単位で成果を出すDX推進の成功の要諦はまた別途語らせてください。