Ryo Sato

小説や映画、まあ物語が好きです。 アメリカで小説をちょこっと学んで、 僕自身も文章を…

Ryo Sato

小説や映画、まあ物語が好きです。 アメリカで小説をちょこっと学んで、 僕自身も文章を書いてみようかなと。 短編、お酒のこと、映画のこと、 内容はまちまちだと思うので、お手柔らかに。

最近の記事

【短編小説】 水滴|後編

家に帰ると、暗い廊下に何かが擦れるような音が響いていた。手探りでライトのスイッチを入れて音のする方を見ると、蛇口から水が勢いよく出ていた。蛇口を閉めたその夜から、僕は水滴を眺め続けた。 水滴はペースを変えることなく、僕の視界を移動し続けた。それ自体が時間であるかのように、正確なリズムを空間に響かせていた。しかしその間、僕は彼女と別れた日のことしかしか思い出すことができなかった。耳をくすぐる彼女の髪、笑い声、真剣な顔、吐息、そして青い花柄のニット。人は飛べないのか。 僕は混乱

    • 【短編小説】 水滴|前編

      まえがき|この作品ができるまで 僕にとって「小説をかく」という作業に決まったプロセスはありません。 そもそも、創作の経験も浅いので、まだそれが固定されずに ふわふわと彷徨ってるだけだと思うんですけど。 とにかく、結末が浮かんで書き始めるのか 書き出しを閃いてからがスタートなのか この考えを文章に乗せたい、が引き金なのか そういうきっかけって作品によって変わってくるんです。 ちなみにこの作品では 「自分のクセ」を最大化して伝えたい、 と思ったことがきっかけでペンが走ってい

      • 【エッセイ】 居酒屋とバー、そして霊と科学

        アメリカから帰ってきて、日本の居酒屋が無性に恋しくなった。 というかアメリカにいた時から行きたくてたまらなかったんだけど。 アメリカにはそもそも居酒屋というものがほとんどなくて、 あるのはバーで、何が違うかといえば、 フードやドリンクの種類や値段、接客スタイル、年齢確認の厳しさ。 (アジア人は若く見えるらしくて、24歳の僕でも毎度年齢確認を受けた) 中でもフード・ドリンクの破格の値段には毎回参らされた。 というのも僕が渡米していたのは今年の5月までで、 その間、非常識な

      【短編小説】 水滴|後編